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「まあでも。お母さんも若い頃に比べれば大分丸くなった方だ」


「そ、そうなの⋯⋯?」


「ああ。お父さん部屋の外に出して貰えない時期が数年間あったし」


「ヤンデレ監禁⋯⋯ッ!」


「あの頃に比べれば、こうしてお母さん抜きで出歩けるのは奇跡みたいなもんだ」


「なるほどぉ⋯⋯」




なかなか壮絶な話だった。


父がどうしようもないゴミカスクソダメキモデブオヤジであって弁護のしょうがない最悪最低な犯罪者であったことは揺るぎないのだけど⋯⋯もういろいろと壮絶すぎる。


俺もちょっとだけお父さんの事をあーだーこーだ言えない事案があるので、他人事は思えない。まあ実父だし。




「あっ、ちょっと待って。今までの話を加味すると⋯⋯もしかして俺に兄弟が居たりするの?腹違いの」


「おっ。いい所に気がついたな。そうだぞ。流には妹が居るぞ」


「ですよねー⋯⋯」



元種付けオジさんお母さん以外に種付けしてないはずも無く⋯⋯。



「それもなかなかの数の妹が居るぞ」


「何人いるのォ⋯⋯」


「それはまだ内緒だ」



この言い方からして1人や2人では無いのだろうとお察し。お父ちゃぁん⋯⋯ヤンチャしすぎだよぉ⋯⋯。



「ふむ。そろそろかな」



ふと父は腕時計にて時間を確認する。



「そろそろ?これからまだナニかあるの?」


「ああ。もうそろそろお母さんが新しく家で一緒に住むことになる流の妹を連れてくる」


「うひょ⋯⋯!?」



マジで!?











神薙かんなぎ柑奈かんなです」


神薙かんなぎ柑理かんりです」


「双子ォー!?」



父の衝撃に次ぐ衝撃発言の末に母降臨からの俺の腹違いの妹らしい双子の姉妹が召喚された。


何を言ってるか分からねぇと思うが俺も状況がイカれすぎててついていけてないんだぜ!



「アナタ達の苗字はもう神薙ではありません。青田です。弁えなさい」


「「⋯⋯はい」」



お母さんが双子姉妹に注意を飛ばした。


ピシャリと空気が凍る感覚。


な、なんだかお母さんがいつもと違って冷たい⋯⋯?


ちょっと驚きだ。お母さん俺に対してはデレデレの甘々でいつもニコニコしてるのに⋯⋯。



「まあまあ。お母さんそうイライラしないで?はい、あーん」


「あーんっ♡うーん!美味しい♡やっぱりパパに食べさせてもらうものが1番美味しいわ♡」



一瞬見せた冷たい表情は何処へやら。


テーブルを挟んだ対面でピッタリと寄り添って父にパフェをハイアンさせてもらいデレデレになる母。

相も変わらず砂糖を吐きたくなるような仲の良さ。

イチャイチャすな。



「「「⋯⋯」」」



その対面には俺を挟み込んで双子姉妹が座っている⋯⋯なんでこのようなポジションニングになったのか⋯⋯全ては母の指示。


とても、とてもとても気まずい空気ですぅ⋯⋯。



「さて、流」


「アッ、はい。なんでしょうかお母様」


「柑奈と柑理とは今日から一緒にひとつ屋根の下で暮らして貰います」


「うっす⋯⋯」


「あとは分かりますね?」


「⋯⋯な、なにが?」


「アナタの使命です」


「俺の、使命?」



なにそれ?よく分からないんだけど?


とりあえずこの双子姉妹と仲良くやってねってこと?


それならまぁ問題は無いと思うけど⋯⋯。



「いいですか流。アナタの使命は、アナタの血で忌まわしい女の血を薄めることです」


「?????」



なにそれどういうこと?ホント意味が分からないんだけど?


忌まわしい女の血?なにそれ誰?


それを薄める?それは俺に何をしろと?



「流には幼なじみの女の子達も居て大変だと思うが流はお父さんの子だからな。多分、大丈夫だ」


「あのー⋯⋯なんのこと言ってるかサッパリなんですけどぉ⋯⋯?」


「仲良くヤルんだぞ!流っ!」


「だからなんの話なのぉ!?」


「それではパパとママは2人で世界1周旅行に行きますので!さあ!パパ2人で愛の逃避行をしましょう!」


「HAHAHA。逃げてどうするのお母さん。まったくお母さんはお茶目だなぁ!」




俺を置いてけぼりで二人の世界に入ってしまうイカれ夫婦⋯⋯どうかしてるぜぇ。

















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