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最初こそ多少トラブルがあったが、2泊3日のお泊まりオフ会はほしさんと一緒に楽しく遊んだ。


ライディングデュエルしたりデュエルしたりライディングデュエルしたり⋯⋯デュエルしかヤッとらん?まあ、俺もほしさんも生粋のデュエリストなワケだし。カードゲームなんていつまでもなんぼでも出来ますからね。



「俺は白銀城のラビリンスを特殊召喚だぜ!うひょー!姫様超可愛いッ!」


「⋯⋯⋯⋯」


「ほら見てほしさん!姫様めっちゃ可愛いよね!おっぱいも大きいし!」


「⋯⋯⋯⋯」


「んじゃ、姫様の効果で1枚破壊」


「⋯⋯⋯⋯」



ピラッ(セットカードを表にする音)



「ゲッ!それはデモソズチェーン!?姫様の攻撃を封じて効果が無効にするカードッ⋯⋯!」



ピラッ(セットカードを表にする音)



「ゲッ!それは拷問車輪!?姫様の攻撃を封じて毎ターンダメージを与えるカードッ⋯⋯!あっ、いや既にデモチェの効果で攻撃封じられてるけど?」


「⋯⋯⋯⋯(ニヤニヤ)」


「くっ⋯⋯なんも出来ねぇ!ターンエンド!」


「⋯⋯⋯⋯(テキパキ)」


「えっと⋯⋯なんやかんやで⋯⋯あっ!ちょっと待って!ユペル出さんで!それキツいっす!ヤメテ!永続魔法ナイトメアペイソがある状況だとユペルが受ける戦闘ダメージは俺が受けることになってしまう!」


「⋯⋯⋯⋯(ニチャァ)」


「アッアッアッ!おぼォ⋯⋯!身動きの取れない姫様がサンドバックにされちゃうっ!ヤメテ!そんな酷いことしないでッ⋯⋯!」


「くっくっくっ⋯⋯」


「あああああッ!これが君の愛なんだねェエエエ!」



流 LP0 ! You Lose !




レッドデーモソズのデッキだとほしさんといい感じで拮抗した戦いになるのに何故だか、姫様デッキを使うとほしさんは全力で叩き潰しにくる。


なんでなんだ⋯⋯姫様で一回も勝てへん⋯⋯。




そんなこんなもあり時は流れて気がつけば、別れの時⋯⋯。楽しい時間は一瞬で過ぎ去っていく。


結局、観光とかはせずにほしさん宅に篭ってずっと遊んでいた。そこは元々ほしさんと会って遊ぶのが目的だったわけだから特に問題無し。



「俺、そろそろ帰らないと」


「⋯⋯⋯⋯」



目に見えて肩をガックリと落としているほしさん。結局、一度もヘルメットを脱ぐことはなく素顔を見ることは無かったが、ヘルメットの下で悲しい表情をしていることだろう。俺と別れるのがそんなに寂しいんだね⋯⋯俺もほしさんと別れるの寂しい。



「ほしさん⋯⋯」


「⋯⋯⋯⋯」



だきっ!


なんか感極まってほしさんと抱き合った。


ほしさんの身体は見ての通り華奢であり、強く抱き締めれば折れてしまいそうだ。


なのに体力はそこそこあるんだよなぁ⋯⋯。こんな小さな身体の何処にあんな⋯⋯。まあ、それはいいか。



「また絶対に会いに来るからね、ほしさん!」


「⋯⋯⋯⋯ぐすっ」


「離れていても俺の魂はずっとほしさんの傍に居るから!だから大丈夫!」


「⋯⋯⋯⋯ッ!」


「(友達として)大好きだよ!ほしさん!」


「ーーーーッ!」



コクリコクリと俺の胸の中でほしさんは頷く。


俺とほしさんの熱き友情が通じあった瞬間だ。持つべきものは親友である。リアルだろうがネットの中だろうが、そんなのはなんも関係ないんだぜ!





そうして俺はほしさんとの別れを惜しみつつも帰路につく。


お泊まりオフ会、楽しかったなぁ⋯⋯。


あっ、そういえばほしさんから交通費って言われて渡された封筒があったな。帰るのに使うからちょっと中身確認しよ。


うーむ、なんかこれ⋯⋯分厚くね?いくら入ってるんだろ⋯⋯。


そして、開けてビックリ。なんかEXデッキの厚さぐらいのお札入ってるんですけど!?


えー⋯⋯これいくらあるの⋯⋯(ドン引き)。


流石にこれを貰うのは⋯⋯。


ん?


なんかお札とは別の紙入ってる。ほしさんからのメッセージ的な奴かな?



『今回の交通費と今後の交通費です』



なるほどね?


次来る時用の軍資金的なのも含まれてるのね?


いやでもこれを使い切るには一体何度ほしさんの家にお伺いすればいいのか⋯⋯俺ん家からほしさん宅までの交通費がーーぐらいだから⋯⋯えっと⋯⋯まあ!計算はいいか!とりあえずいっぱいほしさんとこ通わないとね!



⋯⋯ん?まだなんか紙というか封筒が入ってる。


なんだろ、これ。



『18の誕生日を迎えたら開けてください』



なんだこれ???18の誕生日?何の話?


これがなんなのかさっぱり予想が付かない⋯⋯これには一体何が入っているのか。誕生日に開けてってことは誕生日プレゼント?


レアカードとか入ってる?いやこれはカードの硬さじゃないな。おそらく普通の紙が入ってると思われるけども。


⋯⋯今、開けちゃう?


いやいや。ダメだダメだ。こういうのはしっかり約束は守らんと。おさらくこれはほしさんが仕掛けたサプライズ的な何か。それを台無しにする訳にはいくまい。


これはちゃんと18の誕生日まで大切に保管しておこう!


なにはともあれちょっと楽しみが増えた!


いろいろあったけどお泊まりオフ会楽しかったぜ!



























【注】

18の誕生日とか言ってますが本作の登場人物は全て20歳以上で既に成人していますのご了承ください。



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