38






「「「ごっくんっ」」」



「うげっ……。不味いなこれ…」


「うむ。実に濃厚な味わいだ。喉に絡みついてきて……これがアッーの味……なんだか癖になってしまいそうだね」


「苦い。だが悪くない」


「あっ、アッーが小さくなってる」


「そうだね。アッーはバトルフェイズを行うと戦闘モードからスフィアモードに戻ってしまうだ」


「これで終わり?」


「いや……まだまだこれからだよ。アッーの欲神竜は何度でも蘇るさ。そうだよねアオくん。この程度じゃ終わらないよね?」


「……………………」


「ふむ。戦闘を行ったアッーが少し汚れてしまっているね。ちょっと綺麗にしてあげようか……あむっーーししゃしょしぇ死者蘇生|……!」


「ーーーーッ!!!」


「おおっ……!アッーがまた戦闘モードになったな!これでまたバトルフェイズが出来るってワケか!」


「なるほ」


「こうすりゃ何回でも出来んの?」


「そこは重要なポイントだね。一度の決闘デュエルでアッーの欲神竜が何度バトルフェイズを行えるのかは調べてみないと分からない。それに攻撃を重ねる度にゴッドブレイズキャノンの威力は下がっていくから、それもちゃんと測定していかないとね」


「なるほど」


「さてさて、アッーの翼神竜は何回ゴッドブレイズキャノンを打てるかな?限界までーー試してみようか」


「試してガッテン」


「それではみんなでアッーのサポートをしていこうじゃないか」


「おう!任せろ!」


「搾り尽くす」




…………。



…………。



…………。




現実は小説より奇なりとは言ったもので……。


まさかこんな風になるとは……っていうかこんな風にされるシチュエーションはイマジナリーしてなかった……。


ああ……もう、まともに頭が働かないよ……。




…………。



…………。



…………。




「ーー回目でこの量かい。流石にもうかなり攻撃力が落ちてきたね」


「でもーーこうすりゃ……。おっ!まだ戦闘モードになるみたいだぜ!」


「まだアッーのバトルフェイズは終わってない」


「いやー!まだまだイけるみたいだね!流石だねぇアオくん!キミのアッーの翼神竜はとても優秀だ!」


「オラオラッ!コイツでゴッドフェニックスしてゴッドブレイズキャノン出せ!オラッ!」


「アッーの弱点。見抜いたり」


「ーーーーッ!!!」




…………。



…………。



…………。




「も、もう……無理……ゆ、ゆる……ゆるして……ユルシテ……」


「いやまだイけるぜアオ!アオのアッーならまだ戦える筈だ!」


「がんばれ♡がんばれ♡」


「こんなこともあろうかと装備カードのドーピングを用意しておいたよ!さぁ!アオくん!この装備カードをアッーに装備すれば攻撃力が上がるよ!だからまだまだ出来るよね?」


「し、し、し……じぬぅううう……」




…………。



…………。



…………。




「……………………(ゲッソリ)」


「ーー流石にもう限界か?」


「アオちゃんの意識がない。ただの屍」


「そうだねぇ。そろそろデッキ切れのようだね。アッーの測定はこのぐらいにしておこうか 」


「そっか……。まだまだアッーで遊んでたかったんだけどな。限界じゃ、しゃーねぇな」


「ライブラリーアウト」


「んで、測定はどうだったんだ?」


「そうだね……これは中々に大収穫だよ!アッーの欲神竜のサイズも申し分無いし。持続力は少し低めだけど、攻撃回数ヨシ。一度の攻撃力もヨシ。攻撃力の低下も緩やかで継戦能力がかなり高いね!ふふっ、これも日頃の鍛錬の成果かなぁアオくん?」


「……………………」


「アオくんのアッーの欲神竜のステータスは概ね把握出来たね。でもこれで全てじゃない」


「そうなのか?」


「そうだよ。あとはアッーの欲神竜の回復力かな。1晩挟んでアッーの攻撃力がどれだけ回復するのかを確認しなくてはいけないね」


「明日も決闘デュエル?」


「そうだね。一先ず1週間ほど毎日決闘デュエルを行って、どのくらいの時間でどれだけアッーが回復するのかを測定していこう!」


「明日もやんだな!へへっ!そいつは楽しみだぜ!」


「やったんゾ」




…………。



…………。



…………。




天国とは地獄にあった。


酷く疲れた1週間であった。



でも。



後に思う。



この初めの1週間こそが。



1番、楽だった……と。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る