19
『大丈夫?おっぱい揉む?』
これは……。
「歩夢……オマエッ、そのセリフを何処でッ……!」
これこそが……全人類の男子が女子に言われたいセリフーー……堂々のナンバーワンのセリフッ……!
「ネットで見た。こう言うと元気になる。なった?」
元気になるけどもぉ!元から元気いっぱいですけどっ!元気すぎて困っておりますとも!
いやいやいやいや待て待て待て待て。落ち着け、慌てるな。まだそうと決まった訳では無い。そうだろ?これは……この事象はまだ確定された未来では無い。未来はいつだって不確かだ。掴み取る未来は自分で決められるんだ。まだ何も終わっちゃいない。逆転の一手はまだ残されている。俺達にはまだ希望があるんだ。だからここで絶望に屈して膝をついてしまってはいけないんだ。ここが正念場だぞ。今までの努力はなんの為にあったんだ。今この時、この場所で、乗り越えるべき苦難に立ち向かう為の物だった。そうだろう?そうさ。俺達は明日へと進む為。輝かしい未来に人類を導く為のおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい。
「も、揉む……揉み……もももも、もん、揉んで……いっ、いい……のか……?」
「ええよ」
MA・G・KA・るッ……!MA・G・KA=MA・JYO・
「ほほほほホントにホントにホントにホントにライオンなん?」
「がおー」
猫の手ポーズでガオーってする歩夢。いや可愛いな。
なんでライオン?どっからライオン出てきたの?間違ったわ。
「ごめんミス。ホントにおっぱい揉んでよろしいのでしょうか?」
「よろしおす」
よろしおす!肯定系だ!否定形のよろしミスじゃなかった!何それ初めて聞いた……なんの話し?
「あばばばばばば」
「ご乱心?」
「だってだっておっぱい揉んでいいって……揉んでいいって……!」
「…………???アオちゃん。揉んだことある。みんなのおっぱい」
「いや……それはそうだけど……」
そうである。ご存知の通り俺氏はおっぱいを揉んだことが無いわけでは無い。なんなら先日みんなお風呂した時に洗うついでに勝手に揉んだ。
でも、それとはまた別じゃん?アレはどさくさに紛れてちょっとだけって感じだったじゃん?ちゃんと同意があったかと言えば否であり。裁判になったら負けていた事案だ。
だがしかし。今はそれとこれとは話が別なのである。
完全なる合意に基、おっぱい揉み揉み鷲掴みとなればそれは話が別でしょうがッ!
「落ち着けきたまへ」
「あばばばばばばばばば」
「大丈夫?おっぱい揉む?」
「ひょぉっ……!」
あああーーー………………。
このセリフ……実際に言われてみてわかったけど……思った以上に頭悪いな。脈絡も何も、会話の流れも知らぬとばかりにぶった斬られる。そりゃ私の理性も真っ二つになってしまうと思うんだよね。
「揉むッッッ!!!」
答えは決まっている。
答えってのはひとつじゃない。無数に存在する選択肢と同様、それに対する答えもまた無数に存在している。
だが、自分が選べる答えってのはいつもたったひとつだけなんだ。
「アオちゃん元気なった。このセリフすご」
「それな」
ホントそれな。
ホントバカみたいなセリフだよ……でもそれでいいんだ。だって男はバカな生き物だから。そんなんで元気になっちゃうの。
「なんの話してんだ?オレも混ぜろよ!」
「ひゃんっ……!」
ガシリッと歩夢の逆サイドから乳圧と共に肩に腕が回される。言うまでもなく紅で、言うまでもなく何も考えてなさそうな馬鹿面である(大失礼)。
「大丈夫?おっぱい揉む?」
「なんだそれ。急におっぱいがなんかしたのか?」
「って言うとアオちゃん元気になる」
「そうなんか?」
「そうなん」
「ふーん?アオ、大丈夫か?おっぱい揉むか?」
「揉むッッッ!」
「あっ、ホントだ」
脊髄反射で俺は即答していた。
「なんだいなんだい?3人で何の話をしているのかな?僕だけ仲間はずれは頂けないね!」
「ひんっ……!?」
今度は背後から押し付けられる乳圧。背中からお臍辺りに腕が回されて絡みついてくる。ついでに耳に生温い吐息。歩夢に紅とくれば3人目は1人しか存在せず当然これは泊。
「大丈夫?おっぱい揉む?」
「何かなその頭の悪いセリフは?ネットミームかな?」
「って言うとアオちゃん元気になる」
「そうなのかい?」
「そうなのだい」
「アオくん大丈夫?僕のおっぱい揉む?」
「揉むッッッ!」
「ハハッ!すごくいい返事だ!本当に元気になったねアオくん!」
あひゃひゃひゃひゃひゃ!ここは!ここは楽園だ!3方無自覚たわわ攻め!しかもそれのどれもこれもが揉んでヨシ揉んでヨシ揉んでヨシの揉み放題ときたもんだ!
なんぞこれ!なんぞこれッ!?こんなことがあっていいのかッ!?死ぬ?俺もう今日ここで死んじゃうぅっっっーーー!?!!
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