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一旦、泊のパンツは鞄の中に戻した。なるべく奥の方に押し込んで上に教科書等を乗せてパッと見では分からないようにしておく。


これで気がつかなかった感が出るな。


窓の外を見る。うちのお隣さんは泊だ。位置取りは丁度、俺の部屋の隣が泊の部屋になっていて窓のすぐ外に泊の部屋の窓が見える。


泊の部屋の窓のカーテンは閉まっている……ということは泊はもう寝たということだ。


……よし。


ガサゴソし始める俺氏。


だいたい俺がナニするタイミングは泊が寝た後の今の時間帯だ。日中もまあ辛抱たまらずトイレに駆け込むことは頻繁にあるけども、お外だと全集中の呼吸とまではイケない。やはり、この時間こそ俺の空想バトルフィールドを最大展開できるパラダイスタイム。ヤルんだよ!今!ここで!


ちなみにあえてカーテンは閉めない。急に泊が起きてカーテンを開けて俺のひとり遊びが目撃されるリスクがあるのにも関わらずカーテン閉めない。


それは何故か……勘のいい諸君らならば分かるだろう?えっ、わかんない?嘘だー。カーテン開けっ放しで「外から見られちゃうかもしれない」シュチュエーションプレイを楽しむ為に決まってんじゃんかよー。分かるよね?あとやっぱさ。大きなおっぱいって透明なガラスに押し付けるのが大正義じゃん?それで「誰かに見られちゃうよー」って羞恥プレイは鉄板じゃん?異論は認めない。異議申し立てがある方はコメント欄まで。いやコメント欄って何処やねん。


まあ、いいや。


さて今日は誰をオカズに……ここはやっぱりイマジナリー泊……いやいや泊だと我慢出来ずにリアル泊パンツ使ってしまうかもしれないから、紅か歩夢で……せやな。今日はイマジナリー歩夢を召喚しよう。


いくぞ!領域展開『無料乳処』ッ!




…………。



…………。



…………。




『アオちゃん。これじゃ外から見える。恥ずい』


「くくくっ、そう言ってるわりにはコッチは嫌がってないようだがぁ?」


『……んっ。そんなこと、ない』


「そうかなぁ?本当はいつもより興奮しているんじゃないか?」


『バレた』


「あっさり暴露」


『このスリル……わかる』


「でしょー?」


『変態。腐れちん○ん』


「言ったなコイツッ……!」




…………。



…………。



…………。




ふぅ…………(賢者タイム)。



寝るか。











翌日。




「おっはよぉー!」


「おはよ……。朝から煩い……今日も元気かよ」




自宅を出て幼なじみ達を待っているとまずは紅が姿を現した。


今日も今日とて朝っぱらから元気ハツラツの紅にゲンナリしながら挨拶を返す。


昨晩はイマジナリー歩夢がなかなか寝かせてくれなかったから眠い。というかいつもだいたい眠い。理由は言わずもがな。授業中に寝よ。




「今日も眠そうだなアオ。ホント、アオは朝弱いよな!」




ーーと、いうことにしている。


眠い理由の説明など出来るわけがないので、そういうことにして押し通している次第である。




「アオちゃんコウちゃん。おはよ」


「おう!おっはようクロ!」


「おあよ……」




適当に相槌を打ちながらやかましい紅の相手をしていると次は歩夢が現れた。歩夢はいつも通りにぬぼっと何を考えているか分からない表情。


くくくっ、昨晩はあんなに乱れていたというのに冷静を装いおってからに。その仮面を剥いでメス顔を晒してやろうか?おおん?うん。やめなさい。



幼なじみ3人が揃う。あとは泊だけだ。今日の1番最後は泊か。今更だけど我々は何か示し合わせた訳では無いがみんな揃って学校に行くのはいつもの事である。



「みんな、おはよう。おや?今日は僕が一番最後だね」



3人揃って間もなく泊がひょっこりと姿を現して4人全員が揃った。



「ハクちゃんオハヨ」


「おはぁ……」


「おっはよーハク!ハクが1番最後になんの珍しいな!なんかあったか?」



確かに……と紅と同じことを思う。いつもなら泊はだいたい1番最初に居るのに……何か、あった、か?



「いやちょっとね。探し物をしていて」



……ギクッ。



「探し物?なんか無くしたのか?」


「うん。それがね。下着が1枚、行方不明になってしまってね」



ギク、ギクぅッ……!



「下着?パンツ?なんでパンツなんか無くすんだ?」


「うーん……。それが僕にもよく分からなくってね。なんで無くなったかも分からないんだが……確かに下着が1枚減っているんだよ」


「パンツロスト」



泊がパンツを1枚無くしたらしい……。なるほどね……。そっか……うん。なるほどね……。なるほどなるほどなるほどねー……。



「よし!それならみんなで泊のパンツ探そうぜ!」



紅なら……そう言うよな。うん。知ってた。当然の流れだ。


だが……!これは……!不味い流れッ……!



「あっ、いや。それは大丈夫だよコウくん。実は無くした下着は元々捨ててしまう予定の物だったんだ。だから見つからなくても特に問題は無い。わざわざみんなで探すこともないよ」



なん……だと?



「そうなん?んなら、いっか」


「ごめんね?余計な気を使わせて。この事はもう忘れてしまって大丈夫さ。ほら、みんな。学校に行こうよ」



泊に諭されて幼なじみ一同は学校へと向かう。



へぇー……。


そうなんだ。


泊はパンツを1枚無くして……そしてその無くしたパンツは……捨ててしまう予定の物で……いらない物で……見つからなくてもいい物なんだ……。


へぇー……。






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