13




学校終わり、今日は歩夢の部屋でみんなで遊んでから我が家へ帰宅。寝る前に明日の準備をしようとカバンを開けたら中からパンツが出てきた。


パンツが出てきた。



「ふぅ……」



一旦、落ち着こうか(鞄の中から出てきたパンツを固く握り締めながら)。


まず最初に説明しておこう。俺が今手にしているパンツは俺のパンツでは無い。


見るからに女物のパンツっていうか所謂ショーツと呼ばれる女の子の下半身を守る物である。俺がこんな物を履く筈はない。いやまあ履いてみたさは無いと言えば、ちょっと嘘にーーいやなんでもない。そんなこと思ってないです。はい。


大変可愛らしい水色のショーツだ。エロ漫画で見るようなキワッキワのハイレグドスケベスケスケ下着では無い。若干の幼さが感じられる如何にも中学生が履いてそうなショーツだ。


俺が履いてる男物とは全然違うフワフワの感触。なんだ、このフワフワ。こんなんで一体何が守れるっていうだっていうぐらいに肌触りがとてもいい。


だってほら、これギュッに握るとギリ俺の手のひらの中に収まっちゃうもの。こんなもんちょっとオラッ!ってしたら簡単に破けちゃうよ。防御力0みたいなもんじゃんか。ははーん。なるほどね。こんなんだからパンツの上からクニクニしただけで「んあッ……!」ってなっちゃうワケね。把握。


女物の下着などなどは見た事がない訳じゃない。俺に対して完全無防備をキメこんでいる幼なじみ達のパンツなんかはもう見慣れてるまである。


だがしかし。触ったことは無かった。


紅のバカあたりは「パンツ触らして」なんて言ったら「別にいいけど……人のパンツなんか触ってどうすんだ?」なんてキョトン顔で言うだろう。そして普通に触らせてくれるだろうが、そんなこと出来るわけが無い。


気になってたよ?女の子のパンツがどうなってんのか気になってたし、なんなら欲しいまであった。


そして、それが今は我が手にある。


勝ったな……。


じゃなくて。


なんで俺のカバンにショーツなんて入ってるの?


おそらくは幼なじみ達の誰かの物であろう。多分。


それがなんで俺のカバンの中に……?


一体、これは誰のショーツだ?


このショーツをどうするにしろ一番の問題はやはりそこであろう。


紅ーーの物では無いだろう。アイツはこんな可愛いパンツは履かん。もっとスポーティーなのをいつも履いてるし。


となると泊か歩夢になるわけだが……。


歩夢は猫とか兎とか動物がプリントされているお子ちゃまパンツを履いていた筈。となると歩夢も違くて。


そうだな……確か泊がこんな感じの可愛いらしいショーツを履いていた気がする。っていうか履いてた。覚えている。だって泊のパンツが一番えっちでムラムラしたもの。


つまり俺の推理が正しければこのショーツの持ち主は泊だ。間違いない。


……で。なんで泊のショーツが俺のカバンの中に入ってんの?


まったく意味がわからない。


とりあえず泊本人に聞いてみーー……。



……いや、待て。



落ち着こう。


まず泊が俺のカバンに自分でパンツを入れたーーというのは考えられない。だって意味が分からないし、しっかりしている泊がそんなことするハズないもの。


となると、だ。何かしらの手違いで俺のカバンに泊パンツが混入してしまった、という線が濃厚だ。


泊はああ見えて結構ドジっ娘だったりする。何も無い所でつまづいた拍子に俺を押し倒して回転して俺の股間に顔を埋めたりなんてTOラブるしたりするし。


それがナニを意味するか……泊は何らかの理由で俺のカバンに誤って自分のパンツを入れてしまった。そして、泊が何も言ってこないことを加味すると泊はその事実に気がついていない。


つまり……泊は今、俺の手の中に自分のパンツがあることを知らない……!



「ーーーーッ」



……黙ってればバレないんじゃね?



泊は今「あれれ?僕のパンツどこに行ったかなぁ?」となってる筈だ。このまま俺が泊のパンツがここにあることを黙っていればパンツは行方不明の消息不明になる……。


だから俺がこのまま泊のパンツを隠し持っていても……。



待て待て待て待て。



それって人としてどうなのよ?


最近、隠し事は無しとかって約束したばっかりじゃん?


いや、そんな約束してるにも関わらず隠し事をしている俺が言えたギリじゃないが。


それでも、これはまた別問題だ。


泊はパンツを無くしておそらく困っている。そりゃパンツ無くしたら困るでしょう。そんな困っている幼なじみを見捨て、自分の欲望に負けて親友を裏切っていいのか?良くは無いがッ……!


泊のパンツはめっちゃ欲しいッ……!


だって男の子だもん!女の子のパンツ欲しいじゃんッ!


ぐぬぉ……!だが!だがしかしぃ……!


クソがッ!どうなんだよ!青田流!オマエはこのパンツをどうするつもりなんだよ!



「……ハッ!」



そこで俺は名案を思い付いた。


パンツはとてもとても欲しい。


だけどやっぱりパンツはちゃんと泊に返そう。


だが……。


泊にパンツを返すのはで無くてもいいのではないのか?と。


そうだ。パンツは2、3日後に返せばよかろう。そうだそうだ。ちゃんと返すんだからナニも問題にはならない。盗むわけじゃない。裏切り行為にもならない。だってパンツ返すもん。取ったわけじゃないもん。つーか、知らぬ間にカバンに入ってたんだから俺の責任じゃなくね?そうだそうだ。「なんかカバンにパンツ入ってたんだけどさー、これって泊の?」ってシレッと後で返せばそれでいい。そう。俺は自分のカバンにパンツが入っていたなんてことにまるで気がついていなかったのだ!


よし。この作戦で行こう。


だが、もし、泊に「僕のパンツ知らない?」と聞かれた場合は素直にパンツは返そう。それは仕方ない。しかし、問われなかったのならば……その時は2、3日後に返そう。それでいい。


もうここまで来たら祈るしかない。


泊が「僕のパンツ知らない?」と聞いてこないことを祈るしかない。


なんだったらパンツの存在を忘れて欲しいまである。


今晩は……危険だ。


明日一日……明日一日は様子を見よう……。


そして、このパンツを明日の晩に使して、明後日に洗ってから、明明後日に泊に返す。


完璧な作戦だ……。


頼むぜ……泊ッ!


パンツのことは忘れてくれ!









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