07
ーー俺はその日、運命的な出会いをした……。
幼なじみ達の大きなおっぱいに翻弄されて悶々とした日々を送っていた俺はフラりと何の気なしにカードショップに立ち寄った。
ショーケースには多種多様で煌びやかなカード達がまるで高級ブランドのように並べられている。実際、10万円越えのカードもザラにあり、下手な高級ブランドよりも高価で取引される物だってある。それらはとてもじゃないが中学生の身では到底手が出せないが、安いものなら10円以下で買えるモノもある。ピンキリだ。
そんなカードのショーケースは眺めているだけで楽しめる。アレいいなコレいいな。アレ高いコレは安い。コレ強くてアレは弱い……などと中学生の小遣いなどたかが知れていて滅多に買いもしないのに品定めしたりする。
その中で一際、俺の目を引いたカードがあった。
純白のドレスに悪魔の角を生やした白銀の城のお姫様。
一目惚れだった。
幼なじみ以外でこれほどまでに目を惹かれる事があっただろうか?いやない。幼なじみ以外では初めての経験。
おっぱい!が!大きいッッッ!!!
その姫様のおっぱいは幼なじみ達に負けず劣らずの実に素晴らしい大きなおっぱいであった。
所詮はカード。2次元。ただの絵。しかしだからこそ幼なじみ達とは別腹。2次元に恋するのはリアルではノーカウント。浮気には入りません!
そうして俺は一目惚れした姫様を主軸としたデッキを完成させる為に貯めていたお小遣いを全額つぎ込んで幼なじみ達には内緒でコッソリとカードを揃えたのだった。
そんなこんなで完成した我が魂の姫様デッキが負けるはずがない!
「ランページ三連打ァッ!」
「いぎゃーーーー!!!」
「はい!オレの勝ち!」
紅ーWIN!
「黄金卿2体でグスタフを出し、効果を使わせて貰おうかな」
「うぎゃーーーー!!!」
「僕の勝ちだね」
泊ーWIN!
「サニーちゃんパンチ。サニーちゃん効果。キスちゃんリィちゃんパンチパンチ」
「おぼぉーーーー!!!」
「アオちゃんの負け」
歩夢ーWIN!
全戦、全敗ッ!
俺の姫様はみんなに寄って集ってボコボコにされて分からせられてしまった。姫様の泣き顔が目に浮かぶ。なにそれカワイイー!
「クソがぁッ!俺の全財産を費やした姫様デッキが、なんで1100円のお手軽デッキ共に負けんだよ畜生ッ!」
「アオ弱すぎ」
「貧弱だね」
「雑魚乙」
ブルジョワな俺の姫様デッキに対して幼なじみ達3人が使ったデッキは構築済みデッキと呼ばれる安価で買ったらそのまま使えるお手軽デッキである。
「僕らの構築済みデッキが安いわりには完成度が高いって言うのはあるけど。どちらかと言えばアオくんがそのデッキ使いこなせていない気がするね」
「それな」
「ぐぬぬっ……!」
「アオくんのそのデッキ。上級者向けの扱いが難しいヤツではなかったかな?」
確かにそうだけど!
泊の指摘は最もだ。俺の姫様デッキはトリッキーな動きをする上級者向けデッキ。使いこなせれば大会環境でも活躍する強さを見せる。しかし、結果は全敗。デッキパワーは申し分ないのに関わらず勝てないとなれば、その原因は使用者のプレイングに他ならない。つまり俺が下手くそすぎるのが主な敗因。
クソったれー!俺に姫様は使いこなせないって言うのかッー!
……でも!
でも、俺はッ!
俺は、姫様がッ……!
姫様の大きなおっぱいが好きなのッ!
「バカには扱えねぇデッキだな」
「わかる」
「紅てめぇ!誰がバカだ!」
「バカにバカって言ってなにが悪いんだよ?バーカ!」
「それな」
「うるせぇ!バカって言ったヤツがバカなんだよバーカ!」
「わかる」
「おん?なんだヤンのか?1回も勝てねえ雑魚の癖によ!悔しかったら勝ってみろよバーカ!」
「それな」
「まだ本気出してねぇだけだし!もう1回!もう1回!」
「いいぜ!何度でも相手してやるよ!」
もう何度目になるのかガンを飛ばしあって火花を散らす俺と紅。しかし、そんな2人の一色触発の空気に割って入る人物が居た。
「まあ、待ちたまえよ」
泊である。
「止めてくれるな、泊!俺は紅のヤツをぶっ潰さなきゃならねぇんだ!」
「このまま無策で挑んでもこれまでの二の舞だよアオくん。また負けてしまうよ?」
「確かにそうかも知れないが……!だったらどうしたらいいって言うんだよ泊先生!なにか策でもあるのか?」
「策というか。なんてことは無い。僕が直接アオくんをサポートしてあげようと思ってね!」
「マジかよ!俺の最強デッキに泊先生の天才的なタクティクスが加われば……まさに無敵!怖いもの無しだ!これでバカ紅をボコボコに出来る!」
「2対1かよ!ズリぃぞ!」
「大丈夫。コウちゃんにはボク」
「よし!クロはオレの味方だな!頼りにしてるぜ!」
「おまかせ。アオちゃんの手札覗いてくる」
「流石クロ!やることが汚ぇ!」
「いや、それは普通にダメだろ(真顔)」
こうしてアオシロ連合VSアカクロ同盟の戦いの火蓋が落とされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます