無気力社畜、ダークエルフに無理やりオシャレ部屋に改造された(3)

カラーボックスでの収納棚作りが終わり、部屋の片付けが少し進んだところで、ナーヤは再び新しいアイテムを取り出した。次は照明だ。


「次は照明で部屋の雰囲気を変えてみるよ!光の当て方一つで、部屋全体が劇的に変わるんだから!」


ナーヤは自信満々にスタンドライトやLEDテープライトを取り出し、さっそく部屋のあちこちに配置し始めた。倦太はその様子を見ながら、半ば呆れつつも興味を引かれていた。


「でも、照明なんて変えるだけでそんなに違うのか?」


「そうだよ!特に賃貸の場合、天井に穴を開けたりできないけど、間接照明を使えばオシャレで落ち着いた雰囲気になるんだから!」


ナーヤはスタンドライトを部屋の隅に置き、光を壁に反射させるように設置した。次に、LEDテープライトをカラーボックスの裏側に取り付けて、間接的に光を放つように工夫していく。


「こうやって光を反射させると、直接的な光じゃないから目に優しいし、部屋が広く見えるんだよ!」


ナーヤはスタンドライトのスイッチを入れて、部屋の暗い隅にやわらかい光が広がる様子を見せた。倦太はその変化に驚き、たしかに部屋が以前よりも明るく、しかも心地よい雰囲気に包まれたことに気づいた。


「本当だ…なんか落ち着くな」


倦太はその光に照らされた部屋を見渡しながら、小さく感心した声を漏らした。これまでの殺風景な部屋とは全く違う空間になっていた。


「さらに、このLEDテープライトは自由に配置できるから、家具の裏や棚の上にも取り付けてみて!」


ナーヤはテープライトを貼り付けながら、デザインを意識して配置していく。暗い場所に柔らかい光が差し込むことで、部屋全体に心地よいアクセントがつき、まるでオシャレなカフェのような雰囲気に変わっていく。


「だいぶ変わるな…」


倦太は感心しながらも、半ば呆れたように笑った。こんなにも簡単に部屋の雰囲気が変わるとは思っていなかった。


「照明を工夫するだけで、部屋の印象はガラッと変わるんだよ!それに、この間接照明なら賃貸でも全然OKだから、思い切って楽しんでいいんだよ!」


ナーヤは最後にもう一度部屋全体を見渡し、満足げに頷いた。倦太もその変化を実感しながら、確かにナーヤの言うことに納得せざるを得なかった。


「ここまで変わるとは思わなかったな…」


部屋の照明が落ち着いた雰囲気を醸し出し、心地よい空間に変わったところで、ナーヤは最後の提案を始めた。


「さあ、いよいよ最後の仕上げだよ!今度は家具の配置を変えて、部屋をもっと広く使えるようにしよう!」


倦太は、やや疲れた顔をしながらも、「家具の配置換え?これ以上、何が変わるんだよ…」と少し疑いの目を向けた。ナーヤはそんな倦太の反応にお構いなく、部屋を見渡しながら「まずはソファを動かしてみよう!」と意気込んで言った。


「このソファを窓際に持っていくと、光が入ってくるから部屋がもっと明るく感じるんだよ!」


ナーヤは倦太と一緒にソファを窓際に移動させた。すると、確かに窓からの光が部屋全体に広がり、自然な明るさが加わった。


「ほら、全然違うでしょ?ソファが壁際にあると部屋が暗く感じるけど、窓際に置くとこんなに開放感が出るんだよ!」


倦太はソファを新しい位置に置いてみると、確かに部屋が広く感じられ、さらに自然光が加わって居心地が良くなったことに驚いた。


「なるほど、言われてみれば…悪くないな」


倦太は少しだけ満足げに頷きながら、次にナーヤが何を提案するのかを待っていた。ナーヤはその勢いで部屋の他の家具にも目をつける。


「次はこの本棚!これを部屋の端っこに寄せると、部屋の中心がもっと広く感じられるから、動きやすくなるよ!」


ナーヤの指示に従い、倦太は本棚を部屋の隅へと移動させた。今まで無駄に場所を取っていた本棚が壁際に移動することで、部屋の中央に大きなスペースが生まれた。


「ほら!広々として、すっきり見えるでしょ?」


ナーヤは嬉しそうに笑いながら、ソファに座り込んだ。倦太もその広くなった空間を見渡し、少し驚きながらも納得していた。


「確かに、今まで動線が悪かった気がするな…これなら使いやすいかも」


「そうでしょ?配置をちょっと変えるだけで、部屋全体がすごく違って見えるんだから!」


ナーヤはさらに、机や小さなサイドテーブルも動かし、部屋のバランスを整えていく。部屋の中央が広くなり、動きやすくなったことで、倦太は新たな快適さを感じていた。


「賃貸だと限られたスペースしかないけど、家具の配置を工夫すればもっと広く感じられるんだよ。これなら、リラックスするにも仕事するにもピッタリでしょ?」


ナーヤは満足げに立ち上がり、改めて部屋全体を見渡した。倦太もその変化に満足しながら、今までの無駄なスペースがどれだけあったのかを実感した。


「うん…これはなかなか良いかもな」


倦太は素直にそう言い、ナーヤの工夫に感謝の気持ちを抱いた。部屋の配置換え一つで、ここまで快適になるとは思っていなかった。


「これで、模様替えは完了!どう?ちょっとは気に入った?」


ナーヤは得意げに笑いながら、倦太に尋ねた。倦太は少しだけ微笑みを浮かべながら、「ああ、ありがとう」と素直に感謝の言葉を口にした。

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