無気力社畜、ダークエルフに無理やりオシャレ部屋に改造された(1)
休日の朝、無動 倦太はいつものようにソファに腰を沈め、スマホをいじりながらダラダラと時間を過ごしていた。特にやることもなく、何となく動画を眺めるだけの退屈な時間。平日と違って、こうして何もしないで過ごす休日は彼にとっての貴重な休息だった。
しかし、その静かな朝の時間は突然破られることになる。
「おはよう、倦太!」
元気な声と共に、玄関のドアが勢いよく開かれる音がした。驚いて顔を上げると、そこにはナーヤが立っていた。彼女は明るい笑顔を浮かべ、まるで遊びに来た子供のように楽しげだ。
「な、何だよ、急に…って、どうやって入ってきたんだ?鍵、かけてたはずだけど…」
倦太は驚きと戸惑いが入り混じった表情でナーヤを見つめた。彼女がここに来る理由もわからなければ、そもそも玄関をどうやって開けたのかも謎だ。
ナーヤは無邪気に笑いながら、「あ、そんなの簡単だよ!魔法でちょちょいっとね!」と軽く答えた。その言葉に、倦太は呆れながらため息をついた。
「…やっぱり、そういうことか」
彼の言葉には若干の諦めが含まれていたが、ナーヤはまったく気にする様子もなく、そのまま部屋に入ってくる。
「今日、何かする予定ある?」
ナーヤはそんな倦太の様子にはお構いなしに、無邪気に尋ねる。その問いに、倦太は少し迷ったが、結局は「いや、特にないけど…」と正直に答えた。
すると、ナーヤは目を輝かせながら大きく頷き、勢いよく言葉を続けた。
「じゃあ、決まりだね!今日はお部屋の模様替えをするから!」
「模様替え…?」
倦太は思わず聞き返したが、ナーヤはその質問を無視して、すでにバッグから何やらたくさんのアイテムを取り出し、倦太の部屋を一新するための準備を始める。
「最近、プチDIYで模様替えするのが流行ってるんだよ!賃貸でもできる簡単な方法だから、倦太の部屋ももっとおしゃれにしてみよう!」
予定を聞かれることもなく、いきなり模様替えを宣言された倦太は、完全にペースを崩された。彼の休日の予定は、どうやらこの時点で大きく変わることが決定したようだった。
「さあ、まずはリメイクシートから始めようか!」
ナーヤは笑顔を浮かべながら、すでに模様替えの計画を頭の中で練り始めている様子だ。
倦太は、ナーヤの勢いに押されるまま、部屋の模様替えを始めることになった。ナーヤがバッグから取り出した色々なアイテムの中でもまず目を引いたのが、木目調リメイクシートだった。
「これ、リメイクシートって言うんだよ。貼るだけで壁の色やデザインを簡単に変えられるの!しかも賃貸でもOK、壁に傷をつけないから安心して使えるよ!」
ナーヤは楽しそうにシートを広げながら説明した。倦太は半信半疑でシートを手に取り、触ってみた。質感は柔らかく、裏面には軽く粘着がついているが、強すぎることはなさそうだ。
「ほんとにこれ、ちゃんと剥がれるのか…?」
「大丈夫!試しに一枚貼ってみよう!」
ナーヤはすでに動き始めていた。彼女は壁の一面を選び、シートを丁寧に貼り付けていく。倦太も、ナーヤに促されながら、シートの端を持ち、少しずつ貼り付けていった。
「コツはね、空気が入らないように、ゆっくりと貼ることだよ!」
ナーヤはそう言いながら、スムーズにシートを貼り続けていく。倦太も最初は不器用だったが、次第にコツを掴んでいき、二人で協力しながら作業を進めていった。
「ほら、こんな感じ!」
壁の一面が鮮やかな色に変わり、部屋の雰囲気が一気に明るくなった。倦太はその変化に少し驚きながらも、どこか満足感を覚えた。
「思ったより簡単だな…でも、これで終わりじゃないんだろ?」
「もちろん!次はもっと面白いことをするから、楽しみにしてて!」
ナーヤはいたずらっぽく笑いながら、次のアイテムに手を伸ばした。彼女は倦太に対して、まるで遊び感覚で進めているようだったが、その手際はプロ顔負けだった。
「でも、まあ…これなら確かに賃貸でも安心だな」
倦太は、ナーヤのアイデアに感心しつつ、次の作業に備える気持ちを少しだけ高めた。ナーヤはまだまだエネルギーに満ちていて、これから何をするつもりなのか、倦太にはまったく予測がつかなかった。
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