無気力社畜、エルフにショッピングモールに無理やり付き合わされてみた(4)
フードコートで新しい味を楽しんだ後、リシェルと倦太はさらにショッピングモールを探索し続けた。食後の満足感に包まれながら、二人はモールの中央に位置するファッションエリアへと足を踏み入れた。
「倦太さん、ここにはたくさんのお洋服がありますね。どれも人間の世界ならではのデザインで、見ているだけでワクワクします!」
リシェルは興奮気味に店のディスプレイを見つめ、その目はキラキラと輝いていた。倦太は彼女の興奮を少し冷めた目で見ながらも、心の中ではその無邪気な姿に微笑ましさを感じていた。
「お前、本当に何でも興味持つんだな…」
倦太は少し呆れながらも、リシェルに付き合うことにした。彼女は次々と店のウィンドウに飾られた服を見て回り、「これ、可愛いですね!」と声を上げていた。
やがて、一軒のブティックの前でリシェルが足を止めた。そこには、シンプルでエレガントなデザインのワンピースがディスプレイされていた。リシェルはそのワンピースをじっと見つめていた。
「これ、試してみてもいいですか?」
リシェルが店員に尋ねると、店員は快く「もちろんです、お試しください」と言って、リシェルを試着室へと案内した。倦太は少し離れたところでその様子を見守っていたが、どこか落ち着かない気持ちを感じていた。
「待ってる間、どうしてりゃいいんだ…」
倦太は小さくつぶやきながら、試着室の前で待つことにした。やがて、リシェルが試着を終えてカーテンを開け、姿を現した。彼女が選んだのは、シンプルな白いワンピースだった。
「どうですか?」
リシェルは少し恥ずかしそうに、しかし期待を込めた表情で倦太に尋ねた。彼女の姿を見た瞬間、倦太は一瞬言葉を失った。普段のリシェルも美しいが、そのワンピースは彼女の美しさをさらに引き立てていた。
「…すごく似合ってるよ」
倦太は照れくさそうに、しかし率直にそう答えた。リシェルはその言葉に嬉しそうに微笑んだ。
「本当ですか?よかった…これ、すごく気に入りました」
リシェルはワンピースの裾を軽く揺らしながら、鏡に映る自分の姿を見つめた。その姿には、自信と喜びが満ちていた。倦太はそんなリシェルを見て、なぜか自分まで少し誇らしく感じていた。
「じゃあ、それ買うのか?」
倦太が尋ねると、リシェルは「はい」と頷き、ワンピースを大切に抱えてレジへ向かった。
「お前がそれを着て歩いてるとこ、見てみたいな…」
倦太は自分の心の中でつぶやきながら、リシェルが再び現れるのを待っていた。彼女が選んだ服が、彼女自身の美しさを一層引き立てているのを見て、彼は不思議な満足感を覚えていた。
リシェルがワンピースを買い終えると、二人は再びモールの中を歩き始めた。
「倦太さん、本当に今日はありがとう。あなたと一緒に過ごす時間が、どんどん楽しくなってきています」
リシェルの言葉に、倦太は少しだけ頷いて「まあ、たまにはこういうのも悪くないな」と返した。彼の無気力な日常に、リシェルとの冒険が少しずつ色を添えていく。
二人はその後も、ショッピングモールでの冒険を楽んだ。
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