無気力社畜、エルフにショッピングモールに無理やり付き合わされてみた(3)

最新テクノロジーを体験した後、二人はモール内をさらに歩き回った。倦太はいつものように無気力な態度を装っていたが、リシェルの楽しそうな様子を見ていると、どこか心が和んでいくのを感じていた。やがて、リシェルがふと足を止め、鼻をクンクンと動かしているのに気づいた。


「倦太さん、この香り…何か美味しそうな匂いがします!」


リシェルの視線の先には、モールのフードコートが広がっていた。様々な料理の匂いが混じり合い、そこを通り過ぎるだけで空腹感を刺激されるような場所だ。


「フードコートか…まあ、ちょうどお昼時だし、ここで何か食べるか」


倦太はリシェルを誘導するように、フードコートの中へと足を踏み入れた。広大なスペースには、さまざまな国や地域の料理が並び、カラフルな看板が目を引く。リシェルはその光景に目を見張り、まるで宝の山を見つけたかのように興奮していた。


「すごい…こんなにたくさんの料理が一度に見られるなんて!一体どれを選べばいいんでしょう?」


リシェルは目を輝かせながら、次々と店を見て回った。倦太は少し呆れながらも、その無邪気な姿に思わず笑みがこぼれた。


「お前が食べたいものを選べばいいさ。何でもあるんだから、気に入ったのを試してみろよ」


倦太がそうアドバイスするが、リシェルはあまりにも多くの選択肢に戸惑っているようだった。彼女は一つの店の前で足を止め、異国の料理を見つめた。


「この料理…見たことがないですけど、すごく美味しそうですね」


リシェルが指差したのは、エキゾチックなスパイスがたっぷり使われたアジアンフードの店だった。倦太もその店を見て、少しだけ興味を引かれたが、リシェルがそれを試したいと思っていることに気づいた。


「じゃあ、それにしてみるか?お前が食べたいなら、付き合ってやるよ」


倦太はそう言い、二人分の料理を注文した。リシェルは嬉しそうに「ありがとうございます!」と礼を言い、二人は席を見つけて腰を下ろした。


料理が運ばれてくると、リシェルはその香りにうっとりとしながら、じっと料理を見つめた。倦太もまた、その食欲をそそる香りに食欲が湧いてきた。


「じゃあ、いただきます!」


リシェルはフォークを手に取り、一口食べてみた。口の中に広がる異国のスパイスと、独特な味わいに彼女は驚きの表情を浮かべた。


「わあ、これ…すごく美味しいです!ちょっと辛いけど、癖になりそうな味ですね」


リシェルは興奮気味にそう言い、さらにもう一口を口に運んだ。倦太もそれを見て、料理を一口試してみた。確かにスパイシーだが、どこか癖になる味わいだった。


「うまいだろ?こういうのも悪くないな」


倦太は少し得意げに言いながら、もう一口食べた。リシェルもそれに同調するように、次々と料理を楽しんでいた。


「人間の世界には、こんなにいろんな味があるんですね。倦太さん、これを教えてくれて本当にありがとうございます」


リシェルの純粋な感謝の言葉に、倦太は少し照れくさそうに頷いた。「まあ、たまにはこういうのもいいもんだな」とつぶやきながら、彼もまたこの新しい体験を楽しんでいることに気づいていた。


しばらく二人で料理を堪能しながら、リシェルはその日の体験を嬉しそうに語り続けた。彼女の無邪気な喜びに、倦太もつられて自然と笑顔が増えていった。


「次は何を食べようかな…」


リシェルが次の料理を選ぼうとする様子に、倦太は「欲張りすぎるなよ」と笑いながら言った。しかし、彼自身もまた、次に何を食べようかと密かに楽しみになっていた。


二人はフードコートでの食事を満喫しながら、また次の冒険へと心を躍らせていた。

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