第3話

 飲み会の日、私は生理に当たってしまい、乗り気がしなかった。私は生理痛がキツい。下っ腹が痛かった。こんな日に飲み会の日程を組んでしまうなんて、うっかりしすぎもいいとこ。なんでちゃんと計算しなかったんだろ。幹事失格。

 大学は県庁所在地にある。私の家はそこから1つ市をまたいでいた。飲み会だから電車で行こうかと思ったけど、飲む気分になれないだろうから車で行くことにした。

 予約した19時にお店にいくと、みんな集合してた。

「幹事おっせーぞ」と悟が声を上げた。

「ごめんなさい」と私はうつむいた。お腹痛いし、なんなら帰ってもいいんだけど。

「とりあえず注文しよ」と聡美さんが言った。聡美さん、就職して痩せた気がする。丸顔から面長になり、体型もやや縮んだ気がする。もとは太ってたから、豊満なバストが羨ましい。以前は化粧っ気がなかったけど、チークもバッチリ入れてる。さすが、社会人になると違う。

「そういえば梨花は?」と私は言った。梨花がいない。自分から言いだしたくせに、なにしてるんだろ?

「梨花ちゃんまだ。とくに連絡ないし」渉が言った。

 梨花と渉は付き合っていた。今はもう別れちゃったみたいだけど、2年から3年のときはラブラブだった。

「なのしてるのかしら?この飲み会の言いだしっぺは梨花だよ」お腹がキリキリした。

「なんか、買い物でもしてるんじゃない?とりあえず飲み物だけ注文しちゃお」

「さんせー。みんな、なに飲む?」と俊彦がまとめてくれた。

 私がウーロン茶と言うと、みんなに避難の視線を浴びせられた。でも女子の日でお腹が痛いことを告白すると、すんなり納得してくれた。

 飲み物が運ばれてきたタイミングで、梨花が居酒屋に入ってきた。きらびやかな服装と化粧に包まれて、明らかに浮いている。

「ごめーん、買い物してたら遅くなっちった」梨花は息を切らせながら言った。

「とりあえず飲みもの来ちゃったから、お前だけエア乾杯な」かつての恋人が言った。

「うん、私はいいから、飲んじゃって飲んじゃって」梨花はそう言って元気に拳を上げて「かんぱーい」と叫んだ。

「懐かしいよな。卒業してから来てない。だれか来た人いる?」俊彦が言った。

 みんな首をふった。

「コロナで飲み会なんてできなかったっしょ」悟が一番軽いカクテルを飲みながら言った。

「だよねー。別の部署だけど、忘年会でコロナ感染が広まって、すごい騒ぎになってたよ」県職員の元会長が言った。

 それからお決まりの、大学時代は良かったトークが始まった。あの企画はどうだったの、誰と誰が付き合ってただの、私も懐かしい気分で聞いていた。

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