第3話 クリーチャー討伐
路地を塞いでいるマギア・スカーレットは、ゆっくりと
「マギア・プレアの仲間?他の支部の人かしら?」
「えっと、今さっき力を貰って、何がなんだかわからないんだけど」
「そう、一度拠点に戻ってカムイに相談しないと…」
カムイとは、北海道支部の魔法少女たちのサポートをするフクロウのマスコットのことだ。
紫音は考えた。先ほどのクリスは、追放されたと話していた。魔法少女をあるべき姿に戻してほしいとも。
そこから導き出される答えは、魔法少女の上層部がどうやら怪しい動きをしている。そうなれば、カムイもまた怪しいだろう。
「ごめん、拠点には行けない」
そう言うと、紫音は地面を思っ切り蹴り、壁を跳ねるようにしてビルの屋根まで登った。
「あ、待てー!」
スカーレットも逃すまいと、地面を蹴り魔力を使って浮遊した。
スカーレットが路地を出る頃には、もうすでに紫音は周りには見えなかった。
「も〜〜!魔力の反応もないし、完全に逃がしちゃった」
悔しそうに言い放つと、どこかへ飛び去ってしまった。
◇
「行ったか…」
紫音は、クリスが魔力を抑えるマフラーをくれた意味を理解した。
マギア・プレアたちは、魔力を頼りに仲間の位置や敵の位置を把握しているのだ。その為、紫音が隠密行動する為には魔力を隠しておく必要がある。
紫音は、変身を解く。変身を解いても、クリスがくれたマフラーだけは、消えることはなかった。
(クリスさん。俺、強くなります)
そう、心の中で誓いを立てた。
◇
その日の夜。
空間に裂け目が入った。バチバチと黒い稲妻が纏った裂け目は次第に広がっていき、ついにクリーチャーが現れた。
紫音は、眠っていたところ、妙な違和感を感じて目を覚ました。
なんとなくだが、荒々しい魔力を感じて、居ても立ってもいられなかった。
「
紫音は、マギア・プエルに変身して、窓から夜の街へと飛び出した。
◇
一方その頃、マギア・スカーレットも裂け目の発生した場所に向かっていた。
◇
スカーレットよりも早く、紫音が到着した。
紫音の目の前には、地球上のものとは思えないほど禍々しいオーラを纏った怪物が、雄叫びをあげている。
「クリーチャー__。」
誰に言うでもなく、目の前にいる怪物の名前を口にする。
クリーチャーとひと口に言っても種類は色々いる。地球上の生物に似ているものや、空想上の生物に似ているものまで、種類は多種多様だ。中には魔法を使ってくるものまでいる。
マギア・プレアの組織内では分類や名称を決めているが、一般市民には一括りにクリーチャーという名で通っている。
紫音の目の前にいる、クリーチャーは熊のような胴に、真っ直ぐ生えた一本ツノを持つ、二足歩行の怪物だ。組織では、鬼といった名称になる。
どういう原理か、羽もないのに浮いている。
「グァオオオォォォォーーーーー」
「ふーーっ」
紫音が力を込めると、紫色の粒子が手の中に集まってくる。
そのまま、魔力を溜めてから、クリーチャーに向かって一気に放つ。
「はあっ!」
「ギ?グアァァァ……」
紫色の波動が、一直線にクリーチャーに伸びていき、クリーチャーは跡形もなく消滅した。
倒したクリーチャーから光の粒子が霧散し、紫音の中に入っていく。
紫音はそれが何だったのかを気にも止めず、たった今クリーチャーを倒したという達成感でいっぱいだった。
「嘘!?鬼を一撃で!?」
「え?」
紫音が声のする方に振り返ると、そこにはマギア・スカーレットが浮遊していた。
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