第11話 トラブル発生 ①

 リサとダンジョンに行く約束の日が来た。ダンジョンへの定期馬車乗り場で待ち合わせている。


リサはすぐに手をふってやって来た。あたり前の話だが、教会の時とは違い、剣にバッグ、胸当てなどの装備がバッチリで俺より冒険者らしかった。


「ちゃんと来てくれたんだ」

「約束したからね」


リサは移動中、ララをずっとモフモフしていた。普通のフォレストキャットより毛が長いので気持ちがよくてハマってしまったようだ。


「私、ダンジョンは今日が初めてなの、宜しくね」


「俺達は地下10階まで行ってる。オークファイターとかオーガが多いね。これ、そこまでの地図よかったら使って」


「ありがとう」

「じゃ、行こうか」

「うん」



ダンジョン内においてのみ使用可能な転移の巻物が有る。入口の指定された場所に巻物の半分で魔法陣を作っておけば自分達が行った階の安全そうな場所に残り半分の巻物で魔法陣を作れば入口に戻れるし、逆をすればに行けるという物だ。


もちろん一回使い切りで金貨1枚もするので稼げる冒険者じゃないと頻繁には使えない。


ちなみに金貨1枚は元の世界の10万円くらい。

金貨1枚=銀貨100枚=銅貨100だ。金貨の上も有るが俺はまだ見た事がない。


そう言うわけで転移の巻物はまだ持っていない。名誉な事なのかどうか判らないが、"見えざる神の手"などという二つ名をもらったので、そろそろガンガンやっても良いかもしれない。


まぁ、今日のところは必要ないと思うが、俺とララのステータスも上がったので、今度買っておこう。



名称  ララ(シンの従魔)

種族  ボルテックスタイガー

LV   70

体力  5555

魔力  47777

属性  風・雷・闇

スキル 隠遁    (∞)

    気配察知  (∞)

    危険察知  (∞)

    認識阻害看破(∞)

    魔力操作  (∞)

    知覚共有  (∞)

長所  用心深い・シンが大好き

短所  甘えん坊

変更可能職業 魔法同属性全て可

加護  女神セシル




名称  モチムネ・シン

種族  人族

LV  55

体力  8192

魔力  26700


属性  無し

スキル 職業適性鑑定師(∞)

    ・マスター特権 使用/変更(∞)

    ・職業ストック帳


    鑑定  (6/10)

    魔力操作(7/10)

    錬金術 (5/10)

    亜空間 (7/10)160x160 192個


加護  女神セシル



俺もララもスキルレベルが上限に達し∞の印に変わっていた。何でもOKという事かな?


それに俺達以外でスキルレベルが有る人を見た事がない。

転移、転生、召喚者のみなのかもしれない。





リサは中々の腕前で剣を使っても良し、魔法を使っても良しでかなりのものだ。持っているスキルによるものだろう。



なので、ララとリサでさくさくと進んでいく。俺は特にやることも無い。


「ララって凄いのね」

「にゃうぁ」

「もう!可愛い」


魔物を倒すたびこれである。勝手にやっててくれ。


そして地下11階に来て暫く歩いた時だった。


「にゃう」

「どうしたララ?」


「なんか違和感が、あのへんよ」

「にゃ」


俺だけが何も感じない。2人に判って俺に判らない?スキルの差か?


ララとリサに共通スキルは気配察知、魔物でもいるのか?

俺もソードブレイカーの気配察知を使って見る。確かに魔物ではない異質の気配が有る。


リサが岩壁をあちこち触っていたら何か出て来たらしい。


「あっ、地図に載っていない扉よ。新発見!ギルドから褒賞金が出るわ」


リサが扉を開けようと手をかける。


「あっ、バカ!罠かもしれない」と言った時には半分開いていた。


部屋の中から光が溢れる。俺は咄嗟にリサの手を掴んだが遅かったようだ。俺達は光に吸い込まれてしまった。







「ど、何処かしらここ?」


俺はソナーストラクチャーで辺りを探る。そんなに広くはない場所だ。


この感覚、何処かで味わった様な……遺跡のダンジョンの地下3階の感覚だ。


つまりここはバカラルのダンジョンの最下階だ。


「どうやら俺達は罠にかかりバカラルのダンジョンの最下階に飛ばされたらしい」


「そ、そんな……私、おっちょこちょいで、よく皆に迷惑をかけるの……こんな事になるなんて、シン、ごめんなさい」


自分でもおっちょこちょいと解っているんだ。こんな事なら転移の巻物を準備しておけば……などと意味の無い事を考えても仕方ない。


「前向きに考えよう。道は2つだ。この階のボスを倒し地上に戻るか地道に上階に上がって行くかだ」



「どっちも無理じゃない。……本当にごめんなさい」


「泣くなよ。チャンスは有るんだ。但し、これから見る事は秘密にして欲しい。良い?」


「……解った。約束する」


この子の性格上約束は守るだろう。


ボスを倒せば直に地上に出れるが、それはこのダンジョンをクリアした事になり世間の注目の的になる。それは避けたい。


なので〈地道に上がっていく〉の1択だ。


「良し、ボスを倒すより階を上がっていく方が楽だ。階段を探そう」


「でも……」

「心配しなさんな、ララもいるだろ」

「そ、そうね」


ソナーストラクチャーで階段を見つけたので注意しつつそちらに向かう。


だが階段の前に魔物が陣取っている。気づかれないように様子を伺う。


「ヒュドラだわ」

「にゃ」


レベル111のヒュドラで間違いない。遺跡のダンジョンよりレベルが上だ。強いのかな?


「私は、小さい時から父さんに魔物の知識は叩き込まれたの最初から超難敵だわ。」


「商人の娘なのに?」

「そ、それは商隊を護る為に必要な事だからよ」

「ふ~ん」


「と、とにかく、超猛毒攻撃や魔法攻撃と厄介で、おまけに再生能力があるのよ」


その通り。


「だからって、ずっとここにいる訳にも行かない」


俺は女好き繋がりでヒュドラをゴブリンLV1にしてから、

身体強化をしミノタウロスのスキル剛力を使いミノタウロスの斧を持って奴の前に出た。


「あっ、シン何をやっているのよ」


俺を止めようとしたリサだがララに遮られる。


ララとアイコンタクトを取った後、昇速を使いますを詰めミノタウロスの斧でヒュドラの腹を刳った。


ヒュドラはなすすべもなくハラワタを撒き散らして絶命した。


「うそ……」


目の前の光景に驚きながらもリサは俺に慌てて忠告してくれる。


「ダメよ、直に離れて再生するわ」

「大丈夫」


ヒュドラは黒い霧となって魔力の指輪、浮遊の指輪、霧の指輪をドロップしたので亜空間に全て入れる。


「秘密だからね」


リサは返事はせずコクコクと何回も首を振った。


「さぁ、上に行こう」


何が起こったのか納得出来ずに、ボ~っとしているとリサを無理矢理押して階段を歩かせている。その一生懸命さとリサの呆け具合がおかしくてたまらなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る