第5話 正体不明の使い
手に入れたミノタウロスの霜降り肉は言われていた通り美味かった。塩と胡椒を手に入れていた事も大きい。
ララも大満足したようで元の姿でだらしなく、へそ天で寝ている。
ララが目を覚まし毛づくろいも終わったので探索再開。階段を使って地下3階へ。降りて直ぐにアダマンタイトの鉱脈があったので当然確保する。
さて、何が出て来るか?
「この辺でサッキングバッドのスキルを使ってみるか」
[ソナーストラクチャー]要はソナー探索によって周りの環境を把握をするみたいなスキルだ。
早速発動。
「ほぉ~、なるほど、なるほど」
頭の中に線で3D化された地形が映し出される。なかなか面白い感覚だ。
こうして観ると、この階は今までの階より広くはなさそうだ。動いている点は魔物なのだろう。
「ん?」
この点滅しているのは何だろう?
「ララ、注意しながら行こうか」
「にゃ」
点滅していた付近に着くと1つの人影が見えた。その周りに居たのが点滅していた物だ。
「ファントムにそれを従えているリッチか」
それにしてもソナーストラクチャーは優秀なスキルだな。理屈は解らないが幽体でも存在を知る事が出来るとは。
おっと、悠長にはしていられなかった。目の前のリッチは言わずと知れた強敵だ。しかもファントムを従えている。
[リッチ]LV72 冷徹、探究者……
[ファントム]LV59 性的妄想癖が有る
執念深い
芝居好き
リッチは[探究者]繋がりでレイスLV1にファントムは[執念深い]繋がりでバイパースネークLV1に変更。
ララはライトニングウェーブを撃ち、俺はキマイラの業火ブレスを使った。
ララと俺の魔法とブレスが過ぎ去った後には黒王の宝玉、知力の指輪、妄想の指輪が落ちていた。
この戦い以降はリッチは出現率が低いらしくレベル65前後のファントムとスペクター、"バインドという拘束をするスキルが厄介な目玉の魔物ヴェイグアイズばかり出てきた。
だけど、この程度なら今は難無く倒す事が出来た。
探索する地域が西側の一角になった時に現れたのがヒュドラだった。
ヒュドラLV85 暴虐、冷酷、傲慢、酒好き、女好き
ヒュドラと言えば、神話では魔神と女神から生まれたエリートなんだけど、ここに来て女好きが入っているとはラッキーだ。
君はゴブリンに決定。
ララによって黒い霧にされたヒュドラは時の指輪をドロップした。そして持っていたスキルも半端なかった。
時の指輪:5秒間時間停止(C,T 1095日)
これはクールタイム1095日、つまり3年だ。時間を停めるんだがらこれでも短いかも。ピンチの時の切り札だだね。
スキルは自動再生、魔法抵抗率87%、状態異常無効
なんか凄い。
ヒュドラを倒した後、西側の一角を調べたが下に降りる階段は無かった。
階段は無かったが大きな扉が有った。つまり……。
1,このダンジョンは地下3階までしかないので扉の中に入れば外に出られる。
2,扉の中にラスボスがいる。倒せば階段が出て来るか外に出られる。
3,扉の中に階段が有る。
のどれかだけど戻るのは面倒なので入るしかない。
身体強化して扉を押す。結構重たい。
石が擦れる音を出しながら扉は開いた。
中には何も無く魔物の気配も無かった。右の隅に魔法陣が見える。これで外に出れるのだろうか?他に転移させられるのか?
思案していると急に膨大な魔力を感じた。
「にゃう!」
空間が裂け死神が持つような鎌の先が見える。それが空間を切り裂いて行き、そこから骸骨が現れた。
こんな事が出来るんだ、ただのスケルトンではない。俺の適性鑑定が反応する。
名称 $%#!!¥¥¥¥%の使い
LV 999
文字化けしていて前半が解らない。今の俺のレベルでは鑑定出来ないと言う事だろう。
誰かの使い魔か……レベルが999ってカンストしてるだろう。冗談ではないぞ。
かなりのピンチだ。これで変更可能な職業が無かったらアウトだ。
俺の視線が映し出された文字の次の段へ……そこには記憶に新しい傲慢の文字が有った。
た、助かった。通常は強い魔物でも職業ストック帳の中で
一番格下なアラクネに直ぐに変更した。
その時には大きな鎌が俺の首を刈りに来ていたのだがララのダークバレットが骸骨の額を撃ち抜いていた。
黒い霧が俺の首を通り過ぎて行く。生きた心地はしないが俺とララの連携は板について来たようだ。
「ララ、ありがとう」
「にゃ~」
正体不明の使いがドロップしたのは、みすぼらしい短剣だった。ただの鉄の短剣。
な訳が無い。刺せば相手は即死で闇属性の究極魔法アビスを唱える事が出来るらしい。きっと深淵を覗けるのだろう。見たくないけど。クールタイムは30日だ。
異変が有った。左の隅に新たに魔法陣が出現したのだ。
う~ん、どっちかが何処かへ転移で、もう1つは外に出る為の物だと思うが、どっち?
悩んだあげく、先程のオーガの巫女の骨占いで決める事にした。決められないのだから仕方ない。
表が多ければ左だ。骨を空中へ投げる。表が4個だ、左に決定。
決まった物はしょうがない。覚悟を決めてララと乗る。光に包まれ気がついたら森を見下ろしていた。
どうやら遺跡のてっぺんに来たらしい。よく見ると床には何やら彫ってある。
俺には大きな太陽を中心に描かれた宇宙に見える。天体観測所だったのかも。
脱出の手がかりはないかともう一度周りを見ると、ここからちょっと行った所に綺麗な湖が見え、ずっとずっとずっと行った所に街らしき物が見える。
まだまだ遠いいが、これで希望が見えた。だけど、どうやって降りれば……一瞬焦ったが右脇に階段が有った。俺達のダンジョン攻略はようやく終わったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます