第3話 スキルアップデート
ここ何日かは俺のレベルを上げる為にララには遭遇する魔物の半分は致命傷を負わせない様に手を抜いてもらっている。
そいつらに俺がとどめを刺すというパターンだ。合わせてかたっぱしから森の樹々を鑑定をする。
スキルレベルを上げる為もあるが、食べられる木の実や香辛料があるかもしれないからだ。
亜空間は造れば消さない限り、俺が指定すれば側に在るが如く呼び出せるのでアイテムBOXみたいに使えるし、かなり便利だ。
3日目から遭遇する魔物の強さが上がってきた。フォレストウルフ、グレートウルフ、オークなどが多く出て来る。
魔物との戦いにも慣れて職業ストック帳に載った魔物の種類も増えたしスキルの使い方にも慣れた。
要は長所、短所などの性格みたいな物が1つでも一致すれば変えられるのである。
例えばゴブリンは繁殖力強で性欲強いで、これはオークも同じなのでオークと対峙したときにスキルが発動して『職業を変更しますか?』と訊いてくる。
変更とすれば、どんなにレベルの高いオークでも外見は変わずにゴブリンのレベル1のステータスになってしまう。
レベル1のゴブリンなら今の俺なら楽勝だ。なので俺は楽しくてしょうがない。
しかし調子に乗っていたようだ。5日目に入るとオークばかりが出て来るようになった。どうやらオークの縄張りに入ったようだ。
かなり前からララが察知していたので、警戒はしていたのだが大頭数で遠くから囲み徐々に包囲の輪を狭めて来たらしい。
かなりのオークにすっかり取り囲まれてしまった。どうやら頭のいい指示役がいるようだ。
ハイオークか、否、ジェネラルかキングが出て来たのかもしれない。
いくらレベル1のゴブリンでも数が多ければそう簡単にはいかない。ベテランの冒険者でも危ういであろう。これは今後の課題だな。
ここはララに頼るしかないようだ。
「ララ、頼む」
「にゃうぁ」
ララはボルテックスタイガーに変身すると俺を背中に乗せた。
そして低く唸る。
「ニャウウ」
俺達の下に青白く輝く大きな魔法陣が現れたのと同時に10mの所まで距離を詰めていたオーク達が一斉に襲いかかって来た。大丈夫なのか?
「ララ?」
「にゃ」
オーク達が剣を振り上げた瞬間、バリュッバリバリと音を立てながら魔法陣から波紋のように青白い光が広がって行く。
光の輪に触れたオークから順番に炭になっていく。瞬時に黒い炭の輪が幾重にも出来上がった。
あ~あ、……焼き過ぎだ。オークの肉は結構美味いので少しもったいない。
「雷属性の魔法かな?」
「にゃ」
終わったと思ってホッとしているとララが反応する。
「新手か?」
かなり大きい魔物が3頭こっちにゆっくりと歩いて来る。
オークジェネラルが2頭、そしてもうひと回り大きいのがオークキングと俺の前に表示された。
3頭ならなんとかなるか?危なくなったらララが助けてくれるし。
『職業を変更しますか?』
「ゴブリンに変更お願い」
『変更しました』
ゴブリンの剣とは違いオークから得た剣は錆も刃こぼれも無いので、これを使う。先ずはジェネラルからだ。
俺の突進を見て余裕で構えていたジェネラルだったが、自分が思うように動けないので戸惑っている。
もともとレベル30も有ったのに、自覚もなくゴブリンLV1になっていたのでは当然だ。
ただ体格は変わらず俺の身長の2倍は有る。なので狙いはまごついているジェネラルの右足の甲だ。そこを思い切り剣でぶった切る。真っ赤な血しぶきをあげ「ブギャ~」と言いながら転げ回った。
それを見ていたもう1頭のジェネラルは慌てて素早く剣で攻撃して来るがへっぴり腰なので軽く躱せる。そして同じように足の甲をぶった切った。
強者の矜持なのか、ただ観ていたキングだったが大きく目を見開いた。まさか覇気もなく弱そうな俺に、手下のジェネラルが殺られるとは思いもしなかったのだろう。
レベル55のオークキングが俺に襲いかかって来るが途中で足がもつれ、つんのめって転んだ。
残念、君もゴブリンLV1なんだよ。素早く近づきキングの頸動脈を切る。
この戦いでララも俺もレベルとスキルレベルが上がった。
名称 ララ(シンの従魔)
種族 ボルテックスタイガー
LV 14
体力 777
魔力 5500
属性 風・雷・闇
スキル 隠遁 (8/10)
気配察知 (8/10)
危険察知 (8/10)
認識阻害看破(8/10)
魔力操作 (8/10)
知覚共有 (8/10)
長所 用心深い・シンが大好き
短所 甘えん坊
変更可能職業 魔法同属性全て可
加護 女神セシル
名称 モチムネ・シン
種族 人族
LV 10
体力 256
魔力 3500
属性 無し
スキル 職業適性鑑定師(8/10)
・マスター特権 使用/変更(6/10)
・職業ストック帳
鑑定 (4/10)
魔力操作(3/10)
錬金術 (3/10)
亜空間 (5/10)
加護 女神セシル
レベルアップの他に特に変わった所と言えばマスター特権の部分で使用に有った【 】が取れている事だ。
おそらく何かを使用出来るようになった。と考えるのが妥当だろう。
じゃ、何?と訊かれても困るけど。
とりあえずどれだけ貯まったか職業ストック帳を開けてみる。
ゴブリンを始め今まで遭遇した魔物がズラッと表記されている。表の上部に[一致表示][スキル][魔法]という項目があるので一致表示を作動させると変更可能な魔物がどれなのか魔物毎にソートして表示してくれた。便利。
スキル項目を作動するとスキル名が出てきた。これは魔物名前が同列に表記されているので、その魔物が持っていたスキルで同様に魔法項目も同じように表示される。
例えば、身体強化・威圧・斬撃波・ブレイクシールドなどはオークキングだ。
え~と、つまり俺の希望的観測で都合のいい拡大解釈をするとマスター特権で魔物のスキルが使えますよ。
と言う事かな?……おそるおそる身体強化と念じると力がみなぎって来た。持っている剣も軽く感じるし素早く動けた。
「ふ、ふふ、うふふ」
思わず顔がニヤけてしまう。これで俺も魔法が使えるようになるんだ。しかも見た者のスキルも全て使えるなんて素晴らしい。
「にゃ~」
ニヤけて喜びを噛みしめるているとララがお腹が空いたと言ってきた。
「おっと、すまん。こいつらを食べようか?」
「にゃにゃ」
ララが風魔法でジェネラルを部位ごとに切断していく。最初はかなりグロくて大変だったが、今はもう慣れたので美味しそうな肉にしか見えない。慣れとは恐ろしいものだ。
肉塊を剣に刺してこんがりと焼いていく。まだ香辛料などは見つかっていないので、このまま焼けた所を切り落として食べる。
最近ではララも焼いた肉の方を好んで食べている。
「ジェネラル美味いね」
「にゃん」
腹は膨れたがジェネラルとキングがそのまま残っている。もったいないので亜空間に入れておくか。2、3日なら大丈夫だろう。
物を入れておく亜空間を最大限まで大きくした。
「ん?10mより広くないか倍になっている感じだ」
間違いない。レベルアップのせいだ。とすると数も増えているはず。
これも倍の24個になっていた。凄いね。
物を持っていれられない場合は亜空間をそこに移動すればいい。
ジェネラルとキングを亜空間に入れようとした時に亜空間の上部に時間管理の文字を見つけた。
よく見るとその横に入/切とあり、今は切になっている。
入にすればどうなる?俺の考えが正しければ時間停止と言う事だろう。これは時が経てば判る事なので気長に待つとしよう。
物事が1つ1つクリアになっていくのはいい流れだ。だんだん異世界チートっぽくなって来た。
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