第16話 北国へ行く前にこいつを絞めて!

『台本通りにはいかないねーー』


そう。レイギスのことは、アルナードの中ではまだまだ生きててもらうつもりだったのだ。まあこういう展開もあると想定していた。なので落ち着いていた。


落ち着いてないのは主にヴィクス。

ゼェハァどう怒りと興奮で顔が熱っている。

宝剣ーーレイギスの天使時期の最高潮の魔力が込められていた逸品だ。愚かな者、汚い者、など、使い手が相手に振るう時嫌悪感にまみれていれば、最高の魔力を発揮して、骨しか残さない。

すでに骨もなくされていた、レイギスは、とうとうこの世から消滅した。


ノワールは猫の姿から人間に戻っていた。枷が解けたのだろう。彼は首元を触ってマナが残っているか確認して、レイギスの残していったマナは呪文のみ使えるようだ。レイギスには同情していなかった。ノワールもまた被害者だった。


バーバリーはヴィクスの肩を抱いて落ち着かせようとした。

ヴィクスは肩に手を添えてバーバリーの優しさを素直に受け取った。


「落ち着いてきたところ悪いけど、さらに悪いニュース聞くかい?」

アルナードはのんびり聞いてきて、ヴィクスはコイツは好きになれないな。と思った。

その後1時間かそこら、、ーー

ーーー北国でのフィーヨルの魔王への成り立ちを興奮気味に語ってきた。ーーー


ヴィクスはレイギスを殺して何を罪悪感に浸っていたのかわからなくなった。それだけじゃない。吐き気を催した。バーバリーでさえ、口元を押さえて、顔を青くしている。

これから行く北帝国は地獄の天蓋だろう。

ーーフィーヨルをどう救いだそう。これは洗脳を解くとかそういう問題じゃない。もっと根強い話だ。彼は普通の国では奴隷と言える立場に立たされていたのだ。。

ヴィクスは頭を振るって、頬を叩く。


そうだ。『勇者』になろう。

『魔王』である、いやーー、、なってしまった双子を愛してあげよう。

せめてもの救いとして殺さねば。


そう、自分に言い訳じみた、決意を固め、二人と一人、その場にいた全員に告げた。

『勇者』なら、天使の力も使わせてもらってもいいわよね?そう吹かせると、アルナードはゲハハ。と笑い、君の人生は無茶苦茶だな!って意地の悪い笑い方をしてきた。



『勇者』は生まれて、『勇者』のよくある使命を果たすべく、天使界に取り次いでもらって、『ダンデア』に乗り込む所存だ。



ーーー一方『ダンデア』ーー


『魔王』会議。今回のレイギスが天使の十字架に殺されたのは、魔界での王族たちに密かに広まった。新しく『魔王』に属した【スラー】【リナール】【フィーヨル】

フィーヨルに恋焦がれて、スラーも、リナールも、元人間なのに、無茶苦茶努力して、師匠すら殺して『魔王』になったほどの『魔王』だ

リナールはびくつきながらも怖がりながらも、人間としてフィーヨルのそばにいたかった。それはこの帝国では叶わないことだから『魔王』になった。


【ゲールミナ】が告げた。『勇者』がこの地に来ると。【メイナイノ】お得意の情報網と占いだ、。占いと情報が一致してきたので、ここは本腰構えて、その『勇者』を迎えなけれなならない。

その『勇者』がフィーヨルの双子でレガート王国の者だとはここにいる誰もが知らないことだった。






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