第15話 遣天使のアルナードの台本

「空の旅って快適ーー!!なんかシャワーもついてて嬉しい!いいのかしら?」

「よくないですぜ、お嬢さん。これは夢ですよ絶対」

すっかり空に懐いたヴィクスと天使とか言う男たちに警戒しているバーバリー。


操縦器官室から先ほどの金髪のいかつい美丈夫が元気よく声を掛けてくれてきた。

「双子の兄が囚われている、、と言うか、なんて言うか、いるんだろ?北帝国に。その、救う手伝いをしたくて!わーざーわーざ天使界から降りてきたんだぜ?感謝してほしーなあーー、、なんてね。」

関心するヴィクスと心配するバーバリー。

「それを知っているってことはやっぱりただものじゃないのね、お兄さん。」

「いやいや!お嬢さん!こんな情報、金出せばどこかに流れ込んできますぜ、、??」


でもよく考えても、羽は本物だ。これで空まで運ばれて、機空挺の中にいる二人と一人。

そんなだから二人はごちゃごちゃと同じ会話を繰り返す。

そこに爆弾を落とすことにしたアルナード。


「そこにいるオレの相方は、北国出身だぜ?」

それを聞いて、やはり、と、怒り顔で唸るバーバリー。

「やはり、北国から情報を得て俺たちも北国帝国に嵌めようと?」

そんなこんなで埒が開かない。

アルナードがレイギスを軽くごつく。

クソっと舌打ちをした、羽の生えてない、ダークグリーンに染めらたような色合いのどう見ても天使じゃないその男は白状した。


「ひさびさだな。『マーリン』としてあったときはチンケなガキだったくせに。そのまま黙って死んで仕舞えば良かったものを。オレのノワールと魔法道具を返していただくとしようかね.。。」

え、、この声。内心で驚く、、。

「『マーリン』?!あの時の方がどうして?そんなにボロボロになって。やっぱりオンボロ屋敷にいたせいかしら!?」

目を丸くするヴィクス。

アルナードがわしゃわしゃと金の頭を掻いて、レイギスを宥める.

「そんな捻くれたこと言うなって。本当は、双子の運命を力添えしたかっただけで、あいつの兄に、酷いことしたのは違うだろ?」

そういうアルナードに唸る。

「私は一度悪属として生きたかった!欲望の思うまま、美しいものを美しいまま穢したいだけだ!」


ヴィクスは悟った。目の前のグリーンの深緑の人物が、双子を苦しめていたのではと。魔王候補にしたのでは、と。


いつの間にか。スラリと宝剣を抜いていた。目は目を剥いてギラギラと黄金を輝かせていた。


『台本通りってのは上手くいかねーなって思ったよあん時は。』のちに語る。

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