第12話 南ルドールから北へ?そんな時の波乱!
南に来てヴィクスたちは色々、大いに旅用の資源を入手できた。
ここから船旅の予定だ。
北の帝国へ行けるかチャンスだ。滅多に出ない船を待ちくたびれていた。
しかし、ただ、待っていたのではなくて、知り合った商人の手伝いを時々しながら、ヴィクスはノワールが魔術を使えない時のためにと、後、自分の自己肯定感のために。バーバリーや、南帝国で出会った(ヴィクスの魔性のフェロモン?にやられて襲ってくる)傭兵たちに、剣の訓練をつけてもらっていた。
最初の頃はーーー剣を扱う彼女は、大食いなのに、金のないせいで満足に食えず、細腰で、年頃にしては豊満とは言えないスマートな胸板になって、背だけが伸びて、とても一見では剣を扱える雰囲気ではない容姿に育った、、.。細身でなんだか背徳感がある容姿の美しい髪の伸ばした(自慢なので手入れは怠らない)中性的な美しい美人に育った。
毎日、鍛錬を行う彼女は、剣の模擬試合の見物料を取るようになった。負けたら、彼女を一晩好きにしていいという前触れで。勝てなかった時もあったが、そういう時は素直に勝った者に一晩、身体で一晩証明した。噂を聞きつけた客はぞこぞこやってきた、、。
美しい美少女が剣を握って、細身の身体をスリットの入ったドレスで舞う姿はエキゾチックな舞台のようだった。
ーーーそうしてーーー
金はそれで食っていけるほどになった後、バーバリーは、彼女の剣士の証としてペンダントを買ってくれた。最初は無駄遣いが嫌いだったバーバリーもなんだか彼女に甘くなってきた模様。
いつしか、彼女は、バーバリーに身体を許すことにした。ときの流れというか、ごく自然に彼女たちはまじ合う慎ましい大人の関係になっていた。訓練はもうやめた時、バーバリーは悔しそうに、「最初に俺が手を出しておきたかった」と宣って、その言葉を聞いた時、、嬉しそうにヴィクスは苦笑した。「それは私もよ。」と言って。
そんなこんな、大人になってしまった彼女は、双子は今どうしているだろうか.。と、そう心配していた。北国の帝国は『魔族』『魔王』『吸血鬼』さまざまな暗黒者がいると聞く。
おそらくだが、彼は貪り食われているーーーそんな予感がする。
もしそうなら救い出さねば。
そうして、何ヶ月経った頃、船、『ナオミ』が出港に出てきた。
ヴィクスとバーバリーはノワールと荷物を揃えて、出航した。
ーーーーしようとしたーーーーーー。
突然、、空から鳥の獣が何匹も船の邪魔をするように、やってきた。襲ってきたと言ってもいいだろう。ギャーギャーーー!!泣轟くつんざく奇声は人を不愉快にさせた。
南の国民たちは、特に港の方は大混乱だった。奉られているチーキルたちが奮闘することになった。チーキルたちにも気立がいいのかわからないが、自分の陣地に敵が無断で入り込むのは腹立たしいのだろう。
帝国兵も駆り出された。
逃げる一般の商人、関わりたくない武器を使える旅人たちは必死に逃げようとしたが、魔物に一番に喰われてしまった!
帝国兵たちは次々と喰われてしまった。
喰われていないチーキルはグジャグジャにされて形が成せなくなった。脚がもがれて頭を潰されていた。食べる鳥魔物たちは鋭い爪脚で人間たちの腕を潰して頭を中身を出して、脳みそをくっちゃりくっちゃり食べていた。
その光景を見ているヴィクスはどうにもできずに脚が震えてしまった。血の気が引いて、今にも吐きそうだ。
バーバリーが青い顔をして怒鳴り散らす。
「早く、!!ここから退散するぞ!!早くしろ!!びびっていいから逃げろ!!俺たちじゃどうにもならん!!」
ヴィクスの手を取って、一目散に港から離れる。
しかしながらノワールが人間の姿に戻った。ヴィクスは立ち止まってしまった。彼を見やる。
そうして、ノワールは両手を鳥魔物たちに振りかざす。
【あゝ時より生まれし、翼のものよ。鎮まるがいい。翼は折れて干からびそうして曲がって静けさに溺れろ。トキの此岸たちよ。おおきくなけなけれ。餌を消されし消されしときよ。】
彼の魔術が放たれた瞬間。
今度は、鳥魔物たちが血を撒き散らす方だった。
どういうわけか、ヴィクスがその血を浴びるように鳥魔物の頭がヴィクスめがけて飛んできた。そう。ノワールは魔法を使ったように見せないように、ヴィクスに手柄と血飛沫をあげたのだ。
鳥魔物たちは無惨に死体を晒した。大勢の人間とチーキルを惨殺して。平和だったルドールに禍根を残しただろう。
ーーー半刻後ーーー
ヴィクスたちは犠牲になった人間とチーキルの墓を建てた。ヴィクスたちは東風の祈りを捧げて、生き残った南の民たちも自己流の黙祷で一緒に祈った。
「これじゃ船は出せないな。」「あゝ私の夫が!!」「くそっ何でこんな南に北国の魔物が!!」「おい、俺の娘を知らないか?!!!」
黙祷の後はみんな混乱していた。
そうして、混乱した民たちは、ノワールたちを怒りのやりどころの標的にした。
「あんたたち、!魔術師だろう??!!!あんたたちがこの国に来たから北の魔物が暴れたのでは??!!!」
「そうだ!俺は見た!この黒い男が鳥たちを操っているのを!!」
「そうだ!赤毛の女!きっとこいつは魔女に違いねえ!!知っているぞ!北の魔女はいろんな男と懇ろになるスキものだってな!!きっとこの黒い奴さんに呪いを使わせたんだ!!」
ヴィクスも混乱して、墓穴を掘った。
「ノワールは魔法を使ったけれど!私たちの仕業ではないです!」
沈黙。
「今!魔法って言ったか?」「やっぱりな!!」「このサキュバス!!この国から出て行け!!」
民たちから石を投げつけられるヴィクスたち。
ヴィクスの存在感が強かったせいか、ここら辺の南の民はヴィクス、バーバリーの顔見知りが多かった。一緒に寝た男たちはこぞって殺そうとしてきた。
バーバリーがその男たちを殺し返して、この南の事件は幕を閉じた。
【ご主人様、、ここから中央国に行きましょう。】
「そうだな。かわいそうだが、俺たちの手に負えん。逃げるが勝ちだろうな。悔しいが。」
計画はズレた。最悪の形で。
ーーー北国の『魔王』はこの茶番劇を遠くから水晶で見ていたーーー
ーーー自分を救いに来るためとは知らずにーーー
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