第11話 魔王としてなりたつフィーヨルの運命

一応、説明してこう。

この大陸では、北国がまだ暗黒時代から抜け出せないが、それでいて文化や文明は成り立っているので国としてなっている。


王に立つのは、それを『魔王』と呼ばれた。この大陸の魔族は北国から生まれることが多く、他の国には気づかれていないが、暗黒魔術を駆使するこの帝国を忌避する国は多い。

どの国よりも魔力文化(マナリズム)が発展しているので魔術師としていきたいものはこの地を訪れてうっかり闇に染まるのか多い。だからなのか、人間はいつしかこの国にいなくなる。上級魔族に見つかったせいで奴隷になるか何らかの実験に巻き込まれるか、、性欲の捌け口か、運が良ければ『眷属』としてなれる。

人間として君臨するには運も実力も備えた、上級魔術師で魔物も魔族も頭が上がらない。


ーーーフィーヨルもいつしかそうなった。



彼の場合はマナを性行為で体内に溜め込む、無理やりな実験に近い、時には下品な性欲の吐口として、奴隷として、嫌な部類の成り立ちだった。本人はこれで幸せらしい。かわいそうに、、。特に愛するレイギスの無理やりの性行為に溺れていた、、。


そんなフィーヨルにいつしか、水晶を一緒に見てもいいと言われて好奇心がまだあった彼はその景色に目を見はった。赤毛の色っぽい女性だ。黄金の瞳が魔族かと思ったが、レイギスが言うには彼女は正真正銘の人間だとか。

そして何よりーーーフィーヨルの血を分けた、双子らしい。

彼女が生まれた時、自分は国から、、、レガート王国から捨てられたのだと.。

それなら彼女もか?と聞いたところ、レガート王国は女王制度らしく生まれたフィーヨルはゴミのように扱われたらしい。それを聞いて、彼は息を殺した、、.、。

なぜ。

自分は自分を産んだ親が、食い扶持を稼げないから、捨てられたのだと思っていた。

ーーー幸せになれる可能性もあったのだ。

ーーーいや!!今の、、レイギスと交わる生活の方が幸福だ!!!

そう、自分に言い聞かせて問うた。

彼女、『ヴィクス』というこの美少女も捨てられかのかと。

そうしたら、レイギスにあざわられた。

だから言っているだろう。レガート王国は女制度だと。彼女はただ己の好き勝手しているだけさ。


ーーー水晶は突然割れたーーー


マナが限界を超えたのだ。

それを見て、笑ったレイギス。

フィーヨルが攻撃的なマナを、、無意識のうちに、見たくない景色を消したくて、水晶を壊してしまったのだ。

フィーヨルは自分では気づかないのだろう。嫉妬していた。苦しかったのだ。無理やりの苦しいあいくるしい狂った性行為たちや辱めの記憶が、今頃苛まれた。下級魔族たちとも自分の性欲を満たして食うていたのは自分の幸せだと思っていた。ただ、それはただの鬱散晴らしなのだったと気づきたくなかった。


ーーーレイギスはとうとう言う事にした。

「ねえ、フィーヨル、。君、私がお膳立てしてみせるから、この帝国の『魔王』に属さないか?」

それを聞いて、驚いた、、フィーヨル。

「『魔王』!???僕が、、、?」

疑問に思う。

しかしながら、レイギスは続けた。

「そうさ。君は本来なら貴族にも勝る存在だからだ。王子として生まれながら、捨てた『レガート』に復讐をしないかい?本来の自分を偽るのは疲れるだろう?ここでなら、もうキミのことを馬鹿にする奴もいなくなってきた。我らの指導者にふさわしいはずだ、、。私がそう教育を、、少し意地悪な形でしてきたんだ。今なら現在『魔王』を倒せる。現在『魔王』は統治できていない。キミにこそなってほしくて、今まで無理をさせてきた。」



長いレイギスの暴言に近い言い訳を、恋人して、いい方向に解釈して考えて、フィーヨルは自分のことを価値ある人間だと思い込むことにした。

ーー『魔王』になろう。そして、世界中を俺の世界にしてやる.。


「わかった!レイギス、僕、いや.俺はこの地の王になる!世界を支配する!王になって、レガート王を消して見せる!」


ーーーーー!!あゝ、愛しいフィーヨル!もう人間に戻れない!!


興奮したレイギスは今夜ほど激しく、彼の身体を教え込もうと、激しいキスをしてその場でフィーヨルを抱き込んだ。フィーヨルも興奮した恋人にしてやられたのか、興奮気味になって、、二人はまじわいながら、夜を明かした。


いつしか『魔王』になれるだろうと信じて。


そうして、その野望は叶う時が来たのはまた別の話。



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