第5話 朝までには戻りますから!!!
【時は泊まれし、刻は刻まれし、鐘は告げる、鷹揚の声……、とまれしとまれしとまれし。】
ノワールが唄うと、急に、男たちが空間に浮かんだ。その姿でまるで浮世絵師の彫り物みたいな姿だった。奇妙だ。。
しかし、ギロリと急に片方の目玉でこちらを捉えた眼帯に気付き、ハッと息を呑み。
いや、!違う!
私が動いているのだ!!私とノワールだけが動いているのだ!
この動く時間の中で!!私たちだけが!
【そうです。ご主人様。時間は有限。大切に、、と。だれが言ったか知りませんが。。時が止まればいいなあと、思ったことはありませんか?ないですか。そうですか…いえいいです。しかし、理解してください。助けだと思ってください。コレからこの男たちをその宝剣で殺すか、隠れ布でご自身を隠すか、どちらかを今すぐ選んで実行してくださいませ。】
すぐさま、ヴィクスは宝剣を取り出して、彼らの腕や背中に深い傷を負わせた。
ヴィクスがフーーー!!っと息を荒げるとこまで隠さず、見逃さず、匿って、ノワールはご主人を頭にフードを被せ直させてあげて、告げる。
【そうです。それでいい。Illusion、、ーーーーそうして時は動き出す。】
その瞬間、ドバッと彼らの血をーー返り血を受けた。初めて人を切った感覚など、食事のナイフにすら、肉をなかなか通せなかった私がしている!!こんな高揚感ははじめてだ、、、、。。!!。。息が上がる頃。脚ををガシッと掴まれる。あの眼帯だ。ガクガクと足が武者震いしているのか今さらおじけついているのか。。その手に掴まれた脚が震えている。しかし、立っている!それが誇りだとでも言うようにヴィクスは睨み返した。
それでいてその男が幽霊か何かに見えた。
周りの連中たちもうーうーと唸っている。
「なんだー、、今のはよーー。。一瞬しか動いてないだろうお前たち!!幻術使いか何かか???」
【お前たちは酒を飲み過ぎたのだ。。私たちには関係ない。】
ノワールは丁寧に、【どうなさいますか?ご主人様。銀の匙で水を飲ませればたちまち彼らは傷を癒せます。】ヴィクスに尋ねた。
ヴィクスはまだイラついていた。しかしはっきり答えた。
「店主さん!!水を!!樽いっぱいありますか?お願いします!ください!彼らの酒代も出します!!」
「は、はーい!はいー!!」店主はあわわと悪魔を見る目でヴィクスたちを見ていた。
ーーーーー数分後ーーーーー
「すげ〜店主さん!!ここの水!!こんなに力が湧いてくるのは久しぶりだぜ!!」
「俺なんか虫歯も治ったもんだ、、一体全体どう言うわけだ???」
刈り上げやタトゥーがワイワイしているが、眼帯ばかりは睨みつけて。遠く離れたところで匙で掬い上げた水をヴィクスたちを睨みつけながらワイングラスで口つけていた。
「お前たち一体全体なんだ?不思議な力もそうだが、お前の容姿、あの近衛兵隊長様を思い出す。。」
!
【?】
「父を知っているのですか???!!」
言ってからしまった!と口を押さえる。
今度こそ眼帯は本気で泣いた。
「彼の方のお嬢さんでしたか、。申し訳ねえ申し訳ねえ。」
男性の涙というものは初めて見るものだった。。
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