第3話 相方との出会い。魔法使いの屋敷にて。

私はヴィクス。もしくはヴィアン。赤毛が目立つので、フードをして旅人のふりをしてまだ東の王国レガートから出ていけてない。。なんとはなしに、早くオバ様の(皆んなは女王陛下って呼んでる。。変なの。。)宮殿からは逃げて行かなければならないとは思っているけれど。


喉が渇いた。お金はお小遣いが少々ある。あとはまあ、自分の首を差し出せば、どこかで誰かがお金を偉い方達からもらえるらしい。あゝもう!本当に赤毛隠さないと!!

そんな一人ごとをつぶやくと、反応がした。

『どうしましたか?旅人さん?』

今は酒場にいるのだった!!いけないいけない!

ん?

この声、、どこから聞こえているの?


周りには賑やかにも、繁盛しているのか、席が埋まっているけれど、そこそこ距離がある。私の一人ごとを聞いたのって?

キョロキョロしているとーーーなんと足元から。。


『ここですよ。なんとまあ、!!ここで出会えたが運の尽き!!よろしくお願いします。』


ーーー一匹の黒猫だった。


ーーー猫が喋っている??そんなの、、昔、ヘテプレススおじさまから読んで聞かされた、絵本童話のものしか知らない!!私はあんぐりと大きく口を開けた。ぼーっとしてたら、いつのまにか猫は私の足元から綺麗にテーブルの上へと駆け上り、聞こえる距離に寄ってきてこう言った。

『私の工房へいらっしゃい。今のあなたに相応しいものを見繕いますよ。お代は入りません。』

夢を見ているのだろうか?ほおをつねってみる。うん、いたい。。。

猫は返事を聞かず、サッと駆け下り、そそくさと店から出る手前だ。

「あー!待って!!」

私は店主の何やらな大声を無視して猫を急いで追いかけた。


ーーー


猫を追いかけているうちに、昼頃になっていって、昼間でも危ないと言われる、森へといつのまにか入り込んでいた。

見失うたびに『ここですよ。』と、少し手前に(2メートルぐらい先に)黒猫は姿を見せてくれる。すぐに姿を隠してしまうが。そうこうしているうちに何やら、森奥の空き地の、すっぽりとした空間にたどり着いた。


一軒のレンガ造りの工房のような、個人に住まうには大きすぎる建物だった。


レンガ造りの工房には周りは小さな畑と花畑が囲んであって、人の匂いがする空間に見えるが、ちっとも人の気配がない。

どうしようもないので、私は「、、、お邪魔しまーす、、、。」と、恐る恐る、工房の扉を開けた。

そこには返事がなくて、中は意外にもホコリの匂いが強かった。人が住んでると思ったのは勘違いのようだ。まるで、魔法使いが意地悪して家に誘い込んだような気がしてくる。そう思考すると、心をよんだようにどこからともなく先ほどの黒猫の声がした、、。


『その通り。ここは私、うーん、名前なんて決めてなかったな。そうだ!マーリン。そう!私はマーリン。!。ここは魔法使いの家さ。誰も手入れする事なくてね。庭の木花はカモフラージュってわけさ。。さあ、奥へ。いらっしゃい。勇敢な少女さん。君に探していたものをあげよう。』


胡散臭い、自己紹介を聞いて、恐れる気持ちもあれど、声は先ほどの猫の声だったので、なんとはなしにこの住人は傷つけてこない確信があった。

街の鍛冶屋や錬金術師の工房で言えば、中央の部屋で何か光る水晶があった。黒猫はそこに佇んでいた。

声は猫からではなくて、水晶玉から響いた。

『私の隣に何かあるだろう。君と言う旅に役立つものさ。さあさあ!好きなのを選んでいくといい!!』


水晶の色を放つまるで研ぎ澄ましたばかりのように輝く。宝剣が一振りあった。あとは何か青い、銀糸の刺繍が入った高級そうな布地。あとは銀の匙と皿たち。どれも高く売れるだろう。

そう考えた時、水晶が『これらは決して一般人に売ってはいけないよ!!いいね?それを踏まえて持っていくんだ。そうだ。この際、ここにある宝剣だけのつもりだったが、隠し布も匙もあげよう!あとは、君の相棒としてこの子を連れて行くといい!』とおおらかに声を張り上げた。

私は息を呑んで魔法使いの言葉を繰り返した。

「ーーーありがとうございます。??。。いいんですか??わかりました!決して、普通の方達には奪われないようにします!感謝します。」

(お小遣いはこの剣で弱い魔物を倒して賞金稼ぎすれば良いかな。。)


銀の宝剣と、青い布、銀の匙と皿。それらをそばにあった荷物入れにぎゅーと詰め込んで。

最後に猫に挨拶した。

「ありがとう、これからよろしくお願いします。」


ーーー黒猫は目をキラキラとさせて、ニンマリとワルそうに笑んだ。先ほど、おしゃべりしていたのに、やけに不気味なおとなしさだ。なんか、つまらない。


そうして、魔法使いの館から、、ヴィクスと1匹は出て行った。


『さあさあ、冒険の始まりだね。』

水晶が一人ごつ。

今日も館はがらんどうだ。


魔法使いの道具はどう言うものなのか。。。


黒猫のみが知っている。



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