第2話 王子がいない王国ーー無慈悲な女王ーー。

この国に男子はいらない。そういう風潮がいまだに強かった。東のレガート王国。双子で生まれた男の子も例外ではなかった。この子はいつか、国を滅ぼすという予言をかけられて、、中央國に売られて行った。

その事に父親となった、近衛兵隊長。ドゥーリスが反発した夜、彼は毒殺された。

『お前は種馬に過ぎん。』という一言で葬式は片付けられた。

この事件は女王フィガロの権力を最も非常に非道にし、国民から嫌われる原因となり、いまだに伝説となっている。

妹王妃は名前すら呼ばれない。もう用済みという事だ。

妹王妃は自分も毒殺したかった。しかし、王子が生きている、、かも知れぬ。という希望があるせいでいつかという時のためにしか死ねなくなった。生きる屍だった。


王女は15歳ごろ、初潮を迎えた。ヘテプレススの齢は、25歳。どう考えても親や兄の年頃だ。しかし、女王はこの子はお前の性の捌け口として使い、、大切な健全な子供をもうけろと言った。

ヘテプレススはもちろん反対した。


しかし、この子を育てるのは自分しかいないようだ。他にもいるが、信頼していいのかわからない。なぜ自分に。と考え、北の帝国の龍が襲ってきた時、わかった。自国に利益をもたらすためにしか考えてない。。そう思考が至った時、ヘテプレススは自ら、この幼いようなそれでいて温かい王女の手を離した。


『遠くへ行け』『この腐った王国ではないどこかへ』『あなたたちは幸せになって』


母親と父代わりの男が言う『世界』へと旅立つ少女が名乗ったのは、新しい名前だった。


「私はドゥーリスの子。ヴィーク。ヴィアンでもいいわ。この王国に相応しくない名前ならなんだってね!!」


いつのまにか龍を踏んづけてこう宣った。


ここから赤毛の黄金の瞳が旅立つだけだ。新しい冒険に期待よりも、不安の方が強かったが、強気になった少女は“今“生まれた。


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