第2話 暴れ牛
ーーそして朝。
レンガはユタに一旦の別れを告げて村から出ようとした。
が、1つ懸念点があった。
相手の出方によっては殺し合いーー場合によっては自分自身がこれから殺人犯になる可能性があるのだ。
ユタはユタで「これまでやられた冒険者の敵討ちだ」なんて言っているーーー
一応昨日相談はしたが「大丈夫だ。斧は貸してやる」なんて言っていた。
一応斧は持ったものの戦闘する気なんかさらさらないーー
…できれば話し合いでーーという心づもりだ。
緊張しつつ森に入る。
森は静まり返っていた。風も吹いていない。
だが後ろの方から何やらガサガサと音が聞こえる。
ーーー誰かいるーーー
振り返った次の瞬間、誰かが飛び出してーーー
「やぁ!」
「……はぁ!?」
昨日見かけてはいないーー知り合いじゃないーーが、敵でもないだろう。
「だ、誰ですか…?」
「俺はダイヤ。能力:治癒。よろしく、っしょ!」
「…自分は…レンガ。能力…は…すみません、記憶がーー……」
「なかなか複雑っぽいねぇ…ま、よろしく!タメ口でいいよ!」
どうやらダイヤと名乗る人物はなんとなく察してくれたらしい。
ーーできれば協力してもらえないだろうか。
そう思い声をかけてみることにした。
「あの…それでーー……」
「俺に協力してほしい!!」
「…!?」
なんと向こうから声をかけてきた。
恐る恐る聞いてみるとどうやら彼も冒険者らしい。
数日前同じくラダ村から出たもののこの先にいる何者かが倒せず進めないそうだ。
「実は自分もこのあとそいつを倒そうと…」
「なら話は早い!!行こう!!…………って言いたいとこだけど…能力も使えないんじゃ厳しいかもなぁ…」
「能力…ないわけじゃないと思うんだけど…」
「俺のは完全サポート型だしなぁ…」
「そうだ!!斧ならあるよ…!」
「斧…ま、傷の1つや2つは付けれるかもな…」
「え…ちょ…自分たちがこれから戦おうとしてるのって…ほんとに人間?」
「まさか調べもしてないのか…?やつは簡単に言えば暴れ牛。ま、してくるのは体当たりぐらいって噂だけどそれが強烈すぎてキツいらしいんだよ…」
…たしかにそんなやつには斧なんて気休めかもしれないーーそう思えてきた。
ーーーーーガサッ
ーードドドドドドドドドーーーー
嫌な予感がした。
振り返って確認しようとした。
次の瞬間
自分の体は地面に打ちつけられていた。
薄れていく景色の中にぼんやりと、角が生えた姿が目に入ったーーーーー。
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