第7話 オーロラ探検隊の前夜祭


 2024年7月23日前夜18時15分


 僕たちは、探検の前夜、再び、プラッチの家の一階茶の間に集まった。


 長い夜のはじまりだ。みんなでプラッチママが作ったオムライスを食べた。


 なぜか、マスター・婆ちゃんだけ、昨日の夕飯の残りらしき焼きそばを食べていて、何だか話しかけずらかったのを憶えている。


 オムライスを食べ終わると、みんなで鶏の唐揚げをつまみに、カルピスジュースで乾杯した。



「カルピスって、ゆきのイメージで、オーロラ探検隊にふさわしいんじゃない?」


 なんて、プラッチママがウインクしてみせた。


 さすがはプラッチママ。新潟生まれ、東京育ちは、伊達(だて)じゃないぜ。


 さっそく僕は、オーロラ探検隊の専用の飲み物をカルピスジュースに限定した。


「あしたは、みんな水筒にカルピスを入れて、持って来てくれ」


「ええ~っ。甘すぎて、ふとっちゃう!」


 ぎょぴ子よ。君がダイエットできないのは、何もカルピスのせいじゃないぞ。大福や豆もちの食べ過ぎじゃないか?


 僕は、口から出かかった言葉を飲み込んだ。最近やけに体型を気にし始めたぎょぴ子に向かって、まさか、そうは言えなかった。



 乾杯も潮時になると、携帯で写真を撮り合った。


 僕らは、誰が一番面白い顔か? を競って、カシャリ。


「あした、僕らのオーロラ探検隊は、歴史に名を刻むことになる!」


 プラッチがカルピスの入ったコップを片手にかかげて、叫んだ。


 なぜかマスター・婆ちゃんだけが、しきりに拍手している。


 その気持ちはわかるよ。だが、プラッチよ。今夜撮った僕らの記念写真は、これまた歴史に残る汚点にならないだろうか?


 君のタコの口や鼻ブタの写真が、君を100年間脅(おびや)かしませんように。



 写真の熱気が波のようにひいていくと、僕らは、最後に荷物の点検をした。


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