第24話 ルーツの故郷
生まれてこの方、地元を離れたことのないこの私。
厳密に言うと、半年ほど秋田の方で暮らしたことがあるので全くではないのですけど、少なくとも都会に生息していたことはありません。
言葉としての「ふるさと」というイメージは分かるのですが、常に自分の周りがふるさとである場合、実感として認識するのはなかなか難しいものです。それが幼少期ならば尚の事。
日頃掲載させていただいている、私のふるさとシリーズも実際の処、それと理解って書いているというよりは、身の回りの日常を描いているだけに過ぎないというのが、本音なのかもしれません。
ふるさとは 遠きにありて 思ふもの
そして悲しく うたふもの
よしやうらぶれて
帰るところに あるまじや ────室生犀星
有名な詩にもある通り、故郷とは離れて初めてそれと分かるものなのかもしれません。
テレビも無え ラジオも無え
車もそれほど走って無え
ピアノも無え バーも無え
お巡り毎日ぐーるぐる♪
今聞くと、めっちゃディスってるやんw と思いつつ、お巡り毎日ぐーるぐるとはよく言い表したものだなぁ、とも思います。事件も事故も起きるほど人がいない我が村でも、確かにお巡りさんがぐるぐるしてます。毎日お疲れ様です。
「東北がらスターが出だってよ!」
そんな事を言いながら、当時たぶん5歳位だった(歳がバレるじゃんかw)私が、父親に手を引かれて連れて行かれたのが隣町のサンデー(青森県に本社を置く東北地方限定のホームセンター)。
このホームセンターは田舎あるあるで、レジの周りでミュージックテープを当時も売っていたのです。(ちなみに、カセットテープと言っても今の人には通じないのかもしれませんね💦)
ひどく特徴的なイラストのテープを何度か家族で聴いて、それからも暇な時に時々流していたのですが……。
私が一人の時に繰り返し聞いていたのは、むしろB面に収録されていた曲の方でした。たぶん、A面曲を知らない人はいないと思うのですが、B面曲は割と知られていないような気がいたします。
吉幾三/故郷(ふるさと)
私の中に、感情としての故郷・望郷・郷愁を最初に植え付けたのは、恐らくこの曲だったように思います。
私の故郷というのは、場所というよりは記憶の中にあるもう手の届かない場所にあったはずの過去の景色、なのかもしれません。
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