第12話 話をやきうに例える~年寄りのあれを紐解いてみた
「歳取ると同じ事何回も言うよね」
もしかしたら、あたしもそう言われる年齢に差し掛かってきたのかもしれない。
それはさておき────
私自身、この何回も同じことを言うという部分、まだうら若き人間だった時分には、やはり不思議でした。記憶力の低下が原因なのかな、くらいに思っていたのですが。
近年までの観察の結果、原因と云うかメカニズムと云うか(たぶん、そんな大層なものじゃない)解ってきたような気がするのでご報告いたします。
まず、誰かとコミュニケーションを取る際に、所謂『鉄板ネタ』的なものは誰しも持っていることと思われます。話題をふる際に安心して使える『勝負球』ですね。
普段、会っている人に話したならその球は二度目は使えません。誰か別の人に使うことになります。しかし、年齡を重ねるにつれて記憶が曖昧になると同時に、コミュニケーションを取る(取った)相手の数も増えてくるものです。
一対一の場合なら、それでもこの球を使った相手と使わない相手の区別がつくのですが、これが複数人数での会話になったりすると混乱が生じます。
こっちの人には投げたことあるけど、こっちにはまだ使っていない、などという状況も生まれます。このときに、一人でも話の内容を知っている人が含まれているなら使わない、という選択肢が取れればいいのですが、手持ちの話題(勝負球)の方も無限にあるわけではありません。殊に『自身のある鉄板ネタ』だったりすると思わず使いたくなるものです。
こうして、この『勝負球』使ったことがあるのは覚えてるけど、誰と誰に使ったかまでは把握しきれていない、対戦数の違う相手が混在する、という事が重なり年齡とともに使えるネタの手持ちも減ってきて、最終的に「同じ話を何度もする」という状況に追い込まれることになります。(
かの桂歌丸師匠は、地方公演の際に同じ場所で同じ噺は2回しない、何度も来てくださっているお客様をがっかりさせることになる、と話しておられたのが印象的でした(
さて、なぜこんな事を言うのかと申しますと、あたしのコメント芸もネタが少なくなってくると同じネタを何度も書き込む、又は、どこかで見たことあるネタだ! と思われることが増えてくるかもしれません。その際は、「あぁ、天川もそういう歳なんだな……w」と生暖かい目で見守ってくださると嬉しいのです。
そして結局、やきうではなく落語の話になってしまったと気づいたのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます