第52話 カレーライスの日
さて、今日はカレーを作る。ここしばらく色々あった。だから、カレーを作るのだ !
まずはカレー粉作りだ。
コリアンダー、クミン、オールスパイス、カルダモン、ナツメグ、ディルシード、チリペッパー、ターメリック、胡椒、エ・ト・セ・ト・ラ。
それらを計量する。
実のままのものは粉状にすりおろすために、コーヒーミルを使う。
粉状になったスパイス達を中華鍋に入れて油で炒める。乾燥しているスパイスに油でもどす、とカレー作りを教えてくれた先輩が言っていた。本当のところはよく分からん。
そこへ、すりおろした生姜とにんにくを加え、更に炒める。そこへ月桂樹の葉を砕いて入れて、もうちょい炒める。
カレーの良い匂いが辺りに漂う。
これでカレー粉の出来上がり。カレー粉は瓶に詰める。
カレー粉は多めに作ったので、あと1,2回は同じぐらいの分量を作れはするけれど、中々面倒なのでカレーを頻繁に作る気はしない。
さて、タマネギのみじん切りは面倒くさい。だからフードプロセッサーで。ミキサーでもいいけどね。
それをきつね色になるまでバターで炒める。タマネギのみじん切りを一度冷凍すると、このきつね色になるまでの時間が短くなるんだが、今回はそんな準備はしていない。根性で炒めるのだ。
で、きつね色になったタマネギに小麦粉と追加のバター。そこにカレー粉。で、すりおろしたニンニクとショウガ、フードプロセッサーでみじん切りにしたリンゴとニンジンを混ぜる。ここにトマトの缶詰、ドパッとな。
炒め続けているので、ちょっと手が疲れた。
この段階までくると、カレールーって言えるかな。
ちょっと一休み。コーヒーを入れる。コーヒー豆を挽いてちゃんとね。ドリップコーヒーってやつだ。そう、今日はちゃんとしたコーヒーじゃないとあかんのだ。
いつもはインスタント中心なんだけどね。
ちょっとここで、おやつも口にする。今日のおやつはパウンドケーキ。
体力回復付与つきだし、身体強化までつくからね、コレ。不思議だよなぁ。なんでこんなんが出来るのか。祖母ちゃんのレシピってホント謎だ。
それで、なんで俺は作れるのか。いや、深くは考えまい。仕事に繋がってお金にも成るし、喜ばれるし。
では、先に進めよう。
豚肉と牛肉を1:2.5ぐらいの割合で用意。塩胡椒してから袋に入れて、表面に小麦粉をまぶす。さて、準備が整ったお肉をフライパンで表面を焼く。最後にブランデーを回しかけてフランベ。肉の量が多いから二回ぐらいに分けて焼く。一つ、味見。うん、美味しい。
カレー粉を炒めた寸胴鍋に肉をいれ、肉を焼いたフライパンに水をいれて竹べらでこそぎ洗い。その水も鍋の中へ。洗剤で洗うのは、その後でだよん。
生のマッシュルームが売っていたので買ってきた。これを四等分にして鍋に。生クリームも追加。ここまで来ると見た目はカレー。匂いもカレーそのものなんだけど、味は無い。ホント、スパイスって味無いよね。この段階だと、びっくりするぐらい無味。
ここに入れるのが、塩。それからケチャップとソース。醤油も入れる。これでちゃんと味がつくのだよ。
追加で入れるのはレモン果汁無しの有塩野菜ジュース。この頃は、野菜ジュースにレモン果汁が入っている奴ばっかりになっちゃった。
レモン果汁が入るとちょっと苦みになっちゃうんで嫌なんだけどなぁ。
今度、自分で作るか、野菜ジュース。でも、そこまでやったらカレー作るのが更に面倒になるな。
俺はカレーにジャガイモを入れない。だって、ジャガイモ入れると冷凍できなくなるから。大量に作って、残れば牛乳パックで冷凍保存にするのだ。
一人暮らしの時にカレーが食べたいって作るだろう。そうすると絶対食べきれないぐらい作っちゃうんだよ。だから、冷凍保存、大事。だからジャガイモは無し。
ジャガイモが欲しければ、茹でて別添えにすれば良いのだ !
隠し味は色々と言われてるよね。俺の場合はまずはコーヒーとビール。だから、おやつにコーヒーを入れたのだ。残ったビールは俺の腹の中。
この二つはしばらく煮込んでから。それから、とっときの隠し味はドリアンジャム。
これ、タイに行った友人が面白がってお土産にくれたんだ。多すぎると駄目なんだけどね。試しに入れたらびったしだった。段々、ジャム減ってきていて。どうにか手にいれる方法ないかなあ。
あ、別のジャムも入れるよ。今回はイチゴジャムがあるんで、これで。辛みが足らなきゃ一味唐辛子も入れる。
カレー粉から始めるとカレー作りは半日がかりなんだよなぁぁぁ。だから、いつも作るっていうわけにもいかない。ホント、だから滅多に作らない。
何故、今日カレーになったかというと。
「珍しいモノが食いたい」
という酒呑の要望があったからだ。
酒呑が出掛けた趣旨というか目的は、俺にはよく判らない。ただ如意樹の果実を届けるっていうだけでは無いのだとは思う。
酒呑と俺は契約しているけれど、裏山の洞窟の事がメインでその他のことはお互いにあまり干渉してない。
だから、細かな話を聞かなかった。それでも、酒呑と契約をしてから1ヶ月半も会わないって言うのは初めてだ。
ようよう酒呑が戻ると連絡があった。んで、今日はカレー作りだ。じいちゃんに確認したけど、酒呑はカレーを食べたことは無さそうだったからだ。
ご飯は沢山炊いた。もし足りなければスパゲッティを茹でれば良い。このカレーはスパゲッティにも合うのだ。
あとは寸胴いっぱいに作ったカレーが足りるかどうかかも知れない。
おかずはポテトサラダに唐揚げとトンカツを揚げる。あとは菜の花と油揚の味噌汁だ。
そうそう、トッピングも用意しないと。ゆで卵にラッキョウ、福神漬け、チーズ。
まあトンカツも唐揚げもトッピングぽいけど。そうだ、ブロッコリーも茹でとこうか。
俺はカレーの時はカレーをがっつり食べたい。
「おう、なんと面白い味か」
初めてのカレーはどうやら気に入ってもらえたようだ。酒呑のカレーの上にはトンカツと唐揚げを乗せてみた。
「お前のカレーは、美味いな」
じいちゃんにも好評だった。じいちゃんは年寄りのくせに沢山食うので、若者用の献立で全く問題がないのだ。自分でカツカレーにして、トッピングのラッキョウやゆで卵も欠かさない。
「ホント、美味しいね」
何故、コイツが来たのかホントわからんが御門まで食卓を囲んでいる。
「お前、なんでここに居るんだ」
半眼で俺が尋ねると、御門はヘラッとした顔をして言う。
「いやー、酒呑様にお誘いいただいた。で、君、何かやった ? 」
はい ?
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