第47話 鞭の充電



 魅了の術にかかった男は、五回僕の中に射精したあと深い眠りに落ちる。

 死霊術師の髭男が僕の背中に寄りかかって脱力した後、いつもは僕は身体をひねって脱出するのだけど、その時はリリーが髭男を抱えて僕から引き離してくれた。

 

 ありがとうございますと言って立ち上がろうとした僕を、リリーが押しとどめた。

「ちょっとそのままでいろ」

 リリーの手が僕の背中を押して、僕は四つん這いの格好を続けさせられた。

 お尻の穴を仲間の女四人にさらして、羞恥と屈辱を感じてしまう。

 どうしたんですか、と聞くと。

 一瞬、鞭の練習の時を思い出して、まさかここであれやるつもりではと思ったが、そうじゃなかった。


「さっき何度か最大パワーで使ったら、こいつの電気が弱くなったみたいなんだ」

 リリーが鞭を手にそう言う。

「ああ、そういえば充電が切れたら、男の尻に突っ込めって言われてましたね」

 カオルが納得したように言う。


 それにしても、電池切れるの早すぎないかな。もしかして不良品つかまされたとか。

 でないとしたら、もともと充電がいっぱいまでいってなかったのかもしれないけど。

 でも、考えてみたらここにはもう一人男がいるじゃないか。


「そいつのお尻使えばいいんじゃないですか」

 僕の後ろで寝ている髭男を指さす。


「いやだよ。淫電の鞭がクソまみれになるじゃないか」

 いかにも嫌そうな顔でリリーは言った。

 それもそうか。僕のお尻は排泄器官じゃなくて性器なのだ。

 だから汚れることもない。そう考えると、淫電の鞭の充電にもってこいのお尻の穴という事になるな。


 じゃあ動くなよ、リリーが言って僕のそこに鞭の取っ手を押し付ける。

 他の三人の女たちも興味深げにリリーの手元を覗いている。


 しかたないな、お尻の穴を緩めると無機質な革の取っ手がずぶりと入ってきた。

 ずずっと奥まで入ってくる。

 ただの革のグリップだと思っていたのに、それは間違いだったとすぐに分かった。

 びびびびっとそれが震えだしたのだ。

 

 ああ、なんだか気持ちいい。まるで電動バイブだこれ。

 しかも生き物のようにそれは僕の中でうごめきだした。

 快感のツボをずきずきと刺激してくる。


「ああ、これ。ちょっとやばいです。お尻の中で動いてます」

 そう訴える僕を四人の女たちは面白そうに見下ろしている。

 ああ、嫌や。気持ちよすぎる。いきそうだ。


「これって、男の快感を吸収して充電してるのかもしれないですね」

 カオルが想像を口にする。案外正しいかもって僕も思ってしまった。


 じゃあお前しばらくそうしてろ、そうリリーは言って僕から離れた。

 この部屋にめぼしいものがないか、探索しに行ったようだった。

 他の仲間たちもそれに倣って、僕は一人快感の中に置き去りにされた。


 しばらくして、おーいこっちに宝箱があるよというタバサの声が聞こえてきた。

 どんな宝箱だろう。何が入ってるんだろう。

 興味あったが、立ち上がろうにもお尻の中の微妙なバイブレーションが気持ちよすぎて足が立たない。

 

 だめ。いやん。気持ちいいけど射精するわけにはいかない。

 射精してしまうとせっかくため込んだエネルギーが出て行ってしまうから。

 抑え込もうとすればするほど、鞭の振動はあからさまに僕を頂点に導く。

 さっき髭男にお尻犯されてエクスタシーを感じたばかりだけど、この鞭の振動はそれよりも鋭く僕の性感帯を刺激してくるようだ。

 無理やり絶頂させられるのは結構きついな。


 アナルセックスなら、僕の方でもその肉棒をお尻で刺激してやって、男の動きをこっちから制御できるのだけど、機械に犯されるみたいな状態では、僕は何もできないで、ただただ与えられる快楽を感じることしかできないのだ。


 く、くう。

 もうだめ。いっちゃう!


 それでも僕は射精することだけは我慢することができた。

 メスイキで一気に頂点を目指しながら、その事を少しだけ誇らしく思うのだった。


 大きく息を吐いた。気づいてみると鞭の振動が止まっていた。

 ハアハアと荒い息をしながら、僕はお尻の中からそれを引きずり出した。

 充電完了なのか、グリップ先端の亀頭の形をした部分が淡く緑色に光っている。

 そういえば、さっき僕の中に突っ込まれるときはここがピンクになっていたな。

 ふう、もう一度大きくため息を吐いて僕は立ち上がった。


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