第46話 そっちが試すなら



「適当なこと言ってるんじゃないぞ。手下がやられて不利になったからそんなこと言ってるんだろ。だいたいお前何者だよ」

 じわじわその髭男に近づきながら、リリーは懐疑的な言い方をする。

 僕は一瞬、やっぱり聖賢者だったのかと思いそうになったが、リリーの言うことの方が正しい気がしてきた。

 

「私は賢者モレアーノである。勇者を指導するのが役目じゃ」

 話し方は確かに賢者みたいな話し方だ。

「油断しないで。こいつなんだか胡散臭いよ」

 タバサも用心深い。

「お前が賢者だって証拠はあるのかよ」

 リリーの問いかけに、さすがの賢者も困った様子だった。


「ふふふ、どう言えば信じてもらえるのだろうな。疑心暗鬼な下賎な者達に」

 首を振りながら髭男が呟いた。


「向こうが試すなら、こっちも試してやればいいのではないでしょうか」

 今度はカオルが言い出した。

 試すって言ったって、どうやって、と聞くリリーに、カオルは僕の方を指さした。

 リリーがふふっと笑って頷いた。


「おい、ジュン。お前の淫乱ケツマン波をあいつにぶっ放してみろ」

 リリーが僕に命令した。

 本物の賢者なら僕の魅了の術なんかかからないだろう、という意味だ。

 しかし、僕の魅了の術は淫乱ケツマン波って名前がすっかり定着してしまったみたいだ。

 なんか悲しい。


 結局僕って、こういう出番しかないんだな。

 倦怠感にも似た諦めの気持ちと共に、僕は髭男に背中を向けると、ローブをめくって裸のお尻を拝ませてやった。


 ぐふっと髭男が呻いて、よろよろと王座から降りてきた。

 すっかり眼は術にかかっている眼だ。僕の方に近づきながらローブを脱ぎ捨てた。

 股間のものはすでに天を向いている。


 この時点でこいつは賢者じゃないってわかったわけだから、リリーの鞭で感電させて気絶させればいいのに、皆は成り行きを見守ってるだけだった。

 え? このままこの髭男に僕は犯されるわけ? このダンジョンで?

 そりゃあ、僕は男の精液をお尻に受けることでエネルギー補給になる男の娘サキュバスだけど、仲間全員に見られながらってのは、やっぱり恥ずかしいんだけど。


 僕のそんな気持ちなど誰も思い至らないようだ。

 皆が興味深げに僕のお尻に見入っている。

 こいつらひょっとして全員腐女子なんじゃないか、という言葉がふとわいてきた。


「ちょっと、もうこいつが賢者じゃないってわかったんでしょ」

 僕が言うけど、皆は反応しない。

「まあ、お前もエネルギー補給になるからいいじゃん」

 というのがリリーの言葉。

 やっぱりこういうのって興奮するよねというのがリズの台詞だった。


 見せものじゃないぞと怒鳴ってやろうとしたら、髭男の口が僕のお尻に接触してきた。

 ぬるりと舌がはう。


 ああん。こういう場面でもお尻の穴を舐められるのは気持ちいいなあ。

 この死霊術師はどんな能力を持ってるんだろうな。

 でも、僕に魅了される程度だから大した能力無さそうだけど。

 そう言えばグリスファーの村の魔導士の精を受けた事もあったけど、あのあと魔力がついた感じもなかった。


 男の腕が僕の腹を持ち上げるようにして、そいつの物の先端が僕のお尻をこじ開けてくる。

 濡れ濡れになった僕のアナルは、いつものようにそいつの肉棒をするりとくわえ込んだ。

 ああ、気持ちいい。いきそうになってしまう。う、うふん。

 思わず声が出てしまった。


 四人の女達に見守られながら髭男に激しくお尻を犯される。

 女達は勇ましく戦う戦士なのに、男の僕は敵にお尻を差し出して快感にあえぐという役回り。

 かっこいいヒーローとは正反対のキャラ設定に無常感を感じてしまう。

 でも、気持ちいいのには逆らえない。

 い、いくう、と叫んで僕はケツマンエクスタシーを感じてしまった。


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