第28話 皇帝の都市
三人の男の精をお尻に受け取って、何とか僕も一息ついた。
騒ぎになると面倒だからと言って、連れてこられた男は皆目隠しされていた。
どうやらリリーに連れてこられた男たちは、リリーを抱くつもりの様だった。
リリーも若い美しい女なのだ。ただでいいよなんて言われたら大概の男はホイホイついてくるだろう。
恥ずかしいから目隠しするねと言われた男は、目の見えないまま、縛られた僕のお尻に誘導されて挿入し、精を思い切り発射した。
その間、男の耳元でリリーは、らしくない喘ぎ声を聞かせてやっていた。
そう言うわけで、三人を相手にしたとはいっても、三回しか精をもらえなかったから僕としては満足感はいまいちだった。
でも、さっきまでの脱力状態からはだいぶんましになった。
「それじゃあ、行こうか。今日中にはチュードンに着けるぞ」
リリーは生まれて初めて訪れる大都市に期待ワクワクの様だった。
宿を出た僕は、また重い荷物を担いでリリーの後に着いて行く。
ところで、タバサたちは僕の精を売ってくるって言ってたけど、どこに売りに言ったのだろう。
こんな小さな村に金持ちの年寄りなんて貴族階級、居るのだろうか。
チュードンに近づくにつれて、道はきれいに整備されていくようだった。
大雑把だった石畳が少しづつきめ細かになって、道自体も広くなり、人通りも増えていく。
馬車の通行も増えてきた。
そして昼食休憩をした後、坂を上って峠から見下ろすと、目的地の都市が見えてきた。
石造りの城門が大きく見事だった。ゲーム内で何度も見た城門だけど、実際に見るそれはずっしりした質量感も伴って強大な権力を思わせる。
「やっと着きましたね。どうですか、初めて見る大都市は」
横にいるリリーに聞いてみた。
「すげえな。本当にあんな石作りの町があるなんて、びっくりだ」
田舎者丸出しのリリーの言葉が可愛い。
その時、おおーい、という声が後ろから聞こえてきた。
振り向くとリズがこっちに走ってくるところだった。
その後ろにはタバサも見えた。
「やっと追いついた。急いできたから疲れたわ」
リズが僕の真ん前まで来て、ふうふうと肩で息をした。
「それで、売れたの?」
僕の横からリリーが聞く。
「ああ。バッチリだよ。飲んで効果が無かったらお代は頂かないって言ってね。お茶一杯貰って休んでいる間に、そのばあさんどんどん若返って、大喜びで残りの二本も買い取ってくれたよ」
リズが言ってる間にタバサも近づいてきた。
「たださ、お金が足りないっていうんでいいものいただいてきたわよ」
タバサが袋の中から棒状のものを二本取り出した。
「これ、短剣二本。氷の短剣と炎の短剣だよ。リリーはさ、大剣は向いてないと思うんだ。重いだろ。これ、持ってみな」
そう言って差し出すタバサの短剣をリリーが受け取った。
「本当だ、これ軽いな」
リリーはそう言って一本の短剣を鞘から抜いた。
刃渡り50センチくらいの刀身からゆらゆらとオレンジ色の光が煙の様に立ち上っている。
「これが炎の短剣か」
リリーはそれを見つめて、でも首をかしげてタバサに返した。
「要らないのかい?」
タバサが聞く。
「それだと、相手を殺してしまうだろ、かわいそうじゃん。白炎の大剣なら感電させて気絶するだけで済むんだ」
リリーの言葉に、僕はおおっと唸ってしまう。
もしかしたらリリーは勇者の資格があるのかもしれないと思ったのだ。
やはり勇者たるもの、慈悲の心が大事だと思うから。
「そんな甘いこと言ってて大丈夫なのかな。でもまあ、そう言う事ならそれはタバサとジュンで持ってなよ。万一の護身用だ。あたしは弓が得意だから要らない」
リズが言って、短剣の一本を僕がもらうことになった。
どっちにすると聞かれて、僕は氷の短剣をもらった。
うわあ、冒険者って感じが出てきたな。その刀身のクールな煌めきを見て心がざわついてしまう。
「じゃあ、行こうか」
リリーが言って、僕ら四人は初めての大都市、チュードンに向かう坂道を下り始めた。
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