第21話 僕って売春婦?



 朝からひと騒動あったけど、その後は特に危険な事もなく、夕方にはサルモタウンに着いた。

 ここは道中の半ばにあるちょっとした町だった。

 この日は、朝から受精していた所為で気分も良くて荷物もすごく軽く感じた。

 

 ここに来るまでに、僕よりもリリーの方が疲れたからと言って何度か休憩を取ったほどだった。


「町に着きましたね。今夜は柔らかいベッドで寝れますね」

 町の門をくぐるとき、嬉しくなった僕は横のリリーに言ったがリリーは首を振った。


「ダメダメ。門の近くにテント張るから。門の近くなら衛兵もいるから襲われることはないぞ」

 けち臭いなあ、勇者でしょと言うと、


「お前を買うのに100Gも払ったんだからな。100Gは、十日分の宿代だぞ。文句あるなら100G払ってからにしろ」


 宿代一泊10Gなのか。

 一泊5000円くらいと考えたら、1Gは500円になるな。

 ということは、400Gで買われていったあの女の子は20万円。

 一か月の給料でだいたいあってるな。


 え、じゃあ僕はたったの5万円で買われたってことか。

 なんだか納得できないよ。


「じゃあ、100G払ったら、奴隷解放してくれるんですか?」

 悔しかったから聞いてみた。


「当たり前だろ。奴隷とはそういうもんだ」


 なんだ、奴隷は一生奴隷なのかと思ってた。


 自分を買った買主にその値段働いて返せば自由になれるのなら、雇用契約とあんまり変わらないじゃないか。


「じゃあ、ホワイトホースで売られてた女の子たちも、その分働いて返せば故郷に帰れるんですね」

「もちろんだよ。少しは上乗せして払わされるけどな」


 そうだったのか。

 非人道的な奴隷制度が普通になってるなんて、ひどい世界だと思ってたけど、それほどひどいわけでもなさそうだ。

 少しホッとした。


「でも、競りで裸にされたり恥ずかしい格好されたり、あれはひどいですよ」

 思い出しても顔が赤らんでしまう。

「まあ、ショー的な意味もあるからな。お前の裸見た奴の笑い声ったらなかったな。女だと思ってそこ見たらチンコぶら下がってたもんな」

 ケラケラ笑いながら、リリーが酒場のドアを開ける。

 僕もそれに着いて中に入った。


 酒場の中では、数人の男女がそれぞれ酒を飲んだり食事したりしていた。

 たばこの煙もうっすらと漂っている。

 古い木の匂いとタバコの匂い、なんだか住み慣れた我が家に帰ってきたみたいにホッとする。

 僕が暖炉で温まってるあいだ、リリーは奥のカウンターで食料などを買い物している。


「よおキミ、可愛いね。こっちに来て一緒に飲まないか?」

 僕を見とめたひげ面の大男が、横から声をかけてきた。


 身なりから見て農民のようだ。酒よりも、僕はお尻がうずいている。

 今朝もらったエネルギーもそろそろ切れかけみたいだったのだ。


「それよりも、気持ちいいことしませんか?」

 男にウインクしてささやく。


「え? でもお前可愛いから高そうだな。俺そんなに金無いしな」

 そうか、お金もらうこともできるんだ。それって、売春じゃん。


「お代は要りませんよ。僕も、好きなんで」


「え? 僕って、お前男なのか〜」

 がっかりした口調。


 やっぱり男の娘好きは少ないのかな、この世界。

 とは言ってもここでお尻だすわけにもいかないし。


「でも、まあタダならいいかな」

 次第に男の欲情が強くなってきたようだ。

 男の性欲が目に見えるようだ。


 いや、比喩じゃなくて本当に性欲のレベル値がうっすら見える。

 あ、これってその男の精子の溜まり具合なのかな。


「じゃあ、俺の借りてる部屋に行くか」

 男が立ち上がる。


 僕も立ち上がるけど、リリーが戻ってきた。


「ちょっと、待っててくださいね。エネルギー充填しに行ってきます」

 僕が言うと、リリーは、俺も飯食ってるからどうぞ、と見送ってくれた。


「あっちは本物の女の子みたいだな、あっちがいいかな」

 男が目移りしてる。


「駄目ですよ。あの子は勇者だから、お硬いですよ」

 僕は男の腕を取って部屋に引っ張りこむ。


 部屋に入って二人きりになったらこっちのものだ。

 お尻を拝ませて魅了してしまえば簡単なのだけど、簡単すぎるのもつまらないからちょっと違うやり方をしたくなった。

 僕はローブを脱ぐと、彼の方におしりを見せない様にして、突っ立ったままの男の前にしゃがむ。

 男の前帯を解いてズボンを下ろす。

 下着は履いていなかったから、男の太い肉棒がだらんと垂れている。


 タマタマを揉みながら、目の前の亀頭を口に含んだ。

 舌を絡めて鈴口から舐め始める。

 風呂もろくに入っていない不潔な部分なのに、嫌悪感はまるでなかった。

 

 美味しいご馳走みたいに思ってしまう。

 すっかりサキュバスの気持ちになってるなあ。

 でも、これがこの世界での僕の生き方なんだ。


 一番太い亀頭の部分を喉の奥までくわえ込むと、やっと肉棒全体を口中に含むことができた。

 喉奥が少し苦しいけど、サキュバスの僕にとってはその苦しみさえ快感だった。

 男もだんだん気持ちよくなってきたのか、僕の頭をつかんで腰を出し入れし始めた。


 そういえば、お尻に精液を注入された場合、身体が元気になったり特殊な能力を使えたりしたけど、口から飲んだらどうなるんだろう。

 考えてみるとグリスファーの魔導士の精を少しだけ飲んだのだった。

 あの後は変わったことはなかったように思うけど、もしかして量が少なすぎたのかもしれない。きちんと口の中に射精されたわけでもなかったし。

 まあ、どっちにしろ、この農夫の精液では、特殊な能力はなさそうだ。


 男の力が強くなって、僕の喉の奥に肉棒の太いのがずこずこ出入りする。

 そろそろだな。と思ってると、うんっと声がして僕の口の中にどりゅっと精液が噴出してきた。

 まず初めに思ったのが、すごい美味なこと。


 口中に広がる香りはまるで高級ワインみたいだったし、その味は和牛ステーキのレアで焼いた肉汁がじゅわっと広がるような、思わず笑みがこぼれる美味しさだった。


 ついうっとりしていると、男はふう、と大きく息を吐いてズボンを上げようとした。

 何だよ。もう終わりにするつもり? ふふふ、サキュバスからそう簡単に逃げられると思うなよ。

 

 満足そうにしているその男に向けて、僕はローブをめくってお尻を見せてやった。

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