第8話 サキュバスの特技
「ほら入んな。あんたらにも楽しませてやるよ」
そんな風に言われながら連れてこられた奴隷は男だった。
髭ぼうぼうの臭い身体の男が僕のほうを見た。
女の手で僕は足を解かれてベッドの上でうつぶせにされている。
女が僕のお尻を広げて、奴隷男にそこを見せた。
「ほら、ここに突っ込んであんたの精液全部こいつのケツマンにぶちまけろ」
女に命令されて、嫌そうにしていた男の表情が急に消える。
すぐに奴隷が進み出てきた。
それからはお決まりのパターンだ。
最初に僕の肛門にキスをした奴隷男は、すぐに勃起した亀頭をそこに埋め込んでくる。
僕のそこは、女からされた前立腺マッサージで痺れていたのに、苦痛に感じるかと思ったら逆だった。
まるで個別の生き物みたいに……。
僕のアナルは亀頭に吸い付くように開いて、歓喜の念とともにそれを飲み込んでいく。
僕の中でも、それまでの脱力感から、快感に気持ちが切り替わってきた。
さっきまでの、女の指による前立腺マッサージも気持ちよくはあったけど、こんなに身体全体が喜ぶような感動はなかった。
僕のお尻は単なる物理的な刺激を快感に感じてるんじゃないようだ。
男の精液をお尻に受けることが、この世界の僕にとっては最重要な事みたい。
だから、男の本物のペニスを受け入れる事こそが一番の快楽につながっているんだろう。
男が僕の中に射精するたびに、さっきまでの脱力感が拭い去られて元気が出てくる。男が眠ってしまう五回目の精を受けた時には、僕は元通りに元気ピンピンに戻っていた。
でも、空腹感はまだぬぐえない。
「なるほどね。お前の尻穴を見た男は連続五回射精して眠りに入る、そんな魔法を持ってるみたいだね。これは何かに使えるかな」
見張っていた女は腕を組んで何か想像をめぐらしていた。
「腹減ったかい? 水と食い物持ってきたから喰いな」
眠ってしまった奴隷男が担ぎ出された後、別の若い女がトレイを持って現れた。
「わかんないかい? あたしだよ」
え? と思って二度見してしまった。
その若い女は最初に僕の精液を飲んだリーダーの中年女だった。
白髪もすっかりなくなって、つややかな黒髪。
それに顔にも皺なんて無くて濡れたようなしっとりした肌になっていた。
そうなってみると意外に美人だった。
「いやあ、半信半疑だったけど、すごい効果だね。十年以上若返ったみたいだ。でも、こうなると飲みすぎ注意だね。子供に戻ってしまったら元も子もないから」
確かに、あれからこうなるのなら、あと一回飲んだら幼児になってしまうかもしれない。
腕の縄を解かれた僕は、トレイに乗った握り飯をほおばる。
少しぱさぱさした米だったけど、塩味がおいしかった。
食べながら考える。男の精を受精するだけなら、僕は食事しなくても生きられるようだ。
しかし、受精したり射精したりだと、普通に食事をしないといけない。
そんな設定みたいだ。
「ところで、あんた名前は? あたしはタバサっていうんだ。ここはアマゾネスの砦って呼ばれてるよ」
彼女にそう聞かれたが、僕は名前が思い出せなかった。
前世での名前、なんだっただろう。
胸元まで来てるのに、どうしても口から出てこない。
「僕は、ジュンです」
仕方なく、いつもゲームのキャラに付けていた名前を名乗った。
小学生の頃好きだった、おかっぱ頭の純子ちゃんから取った名前だった。
この時、僕は完全に前世と切り離されたんだと思った。
これは夢なんかじゃない。
この世界が僕にとっての現実なのだと。
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