第8話 高校二年生
春休みが終わり、ついに二年生になった。優輝は一組で私は四組だった。同じ階になって廊下ですれ違うことも増えて更に楽しい生活が始まった。
二年生になってからは更に時間が早く過ぎていった。
優輝と公園でひたすら話しながらサッカーのパスをしたり、私の家でマリオカートをしたりしてすごく楽しい時間を過ごした。
二年生になって早くも三ヶ月が経った七月の中旬、球技大会の日が来た。その日は放課後に写真を撮る約束をしていたので家に帰ってから準備をしていた。すると部活が終わりそうな時間に優輝からメッセージが来た。
「ごめん、今日会えなくなった。すいません」
固い返事に不思議に思いつつも、ちょっと悲しくなったけれど平気そうな返信をした。理由がわからなかったので、サッカー部での打ち上げが入っちゃったのかなとか、会うのがめんどくさくなったかなとか色んな考えを巡らせた。
そんな少し暗い気持ちで、次の日、朝早くに用事があったのでいつもより一時間ほど早く学校に行った。職員室で用事を済ませた後に教室に戻ると、誰も居なかったので他のクラスに友達が来ていないか見に行くことにした。
すると一組の教室のドアから優輝が座っているのが見えた。
普段は時間ギリギリで学校に来る優輝がこんな朝早くに学校に居たのでとてもビックリして教室に入ると優輝も驚いたような顔をして
「おは、よう」
と言った。よく見ると足に包帯が巻いてあった。何があったのか問い詰めると、昨日の球技大会の後の部活で転んだ後輩が優輝の上に倒れてきたらしく、足を怪我して松葉杖になってしまったらしい。そのため、自転車で登校できなくなってしまったので、お母さんの仕事に行く時間に学校に来ていた。
ものすごくびっくりしたけれど、その後に昨日の自分に腹が立った。勝手な妄想で勝手に傷ついて優輝に少しでも怒っていた自分が本当に嫌になった。
それから、夏休みが始まるまでの一週間と数日は毎朝早起きして一組に行った。みんなが学校に来るまでの間、教室で何も話さず二人で寝た日もあった。
優輝に頼まれたわけでも、優輝が寂しいだろうと思ったわけでもなくて、勝手に優輝と話すために行った。
そして、球技大会の日撮れなかった写真もその時に撮った。
高校二年生になってまた、優輝と同じ教室で、優輝の隣の席に座れるなんて思っても見なかった。そんな、朝から優輝と話せる時間はとても居心地が良かった。
けれど、それとは裏腹になんだか夏休みに入ると、二人のメッセージのやり取りは減った気がして、優輝からのメッセージは更に冷たいと感じるようになった。
そのうちに、今までは優輝からの返信を待つ時間がワクワクしていたのに、優輝からの返信が怖いとまで思うようになってしまった。けれど、そうゆうことは今までにも何回もあったので、また会ってしまえば元に戻ると思った。
七月も後半になって優輝の誕生日になると、いつもの公園で会ってプレゼントを渡した。今年もかなり迷ったけれど少し奮発して洋服をあげた。
変わらずたわいない話をしてまたいつものようにハグをした。どうか最近感じた違和感が勘違いでありますようにと、そう願いながら。
そして八月三日の日。去年行けなかった花火大会に行った。優輝も花火は数年ぶりだったらしく、私も楽しみにしていた。
優輝は去年私がプレゼントしたイヤリングに、先月あげた洋服を着ていた。すごく嬉しかった。
そして一年ぶりに会場の駅に着いた。またこの景色を二人で見れて嬉しかった。少し歩いて良さそうなところを見つけると、柵に寄りかかりながら花火が始まるまで、たくさん話した。
街頭に照らされた優輝の笑顔がすごく好きだった。
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