第4話 季節の変わり目

 夏休みも終わり二学期もあっという間に一ヶ月が経とうとしていた。

私のクラスでは一ヶ月に一回席替えをしており、また席替えの時期になった。方法は、くじ引きですべてが自分の運にかかっていた。

思い切って引くと、紙には「二五」と書かれていて、二号車の後ろから三番目と自分にしては、かなりあたりの席だった。先生の合図によって席を移動させると、目の前が春奈ちゃんだった。


 春奈ちゃんとは、夏休みが開けてすぐにあった文化祭の時から一方的に気まずくなってしまった。ついに一番恐れていた事が現実になってしまったのだ。

 

 というのも、春奈ちゃんが優輝のことを好きということが確定してしまったのだ。同じクラスで仲良くしていた 前田 ほのか (まえだ ほのか)に優輝との関係を打ち明けて、春奈ちゃんのことも相談していた。ほのかが偶然、春奈ちゃんと恋愛の話になった瞬間があったらしく、怪しまれない程度に探ってくれたのだ。


 その事があったので、サッカー部の話を春奈ちゃんがしている時には過剰に反応してしまったり、班活動の時など話さないと行けない時には、少し戸惑ってしまった。


 その席になってから数週間が経った日の朝、ある情報が耳に入ってきた。

それは優輝がインフルエンザになったという話だった。とても傷ついた。

私は彼女であるにも関わらず、つい数ヶ月前に出会った春奈ちゃんの方が、今の優輝の状態を把握していたからだ。ショックだった。

けれど、なぜ優輝が、インフルエンザになったことを私に言わなかったのか、大体予想はついた。優輝のことだから、私に言ったところで心配してほしいと思われたくないとか、そんなことだろうと思った。

しかし、インフルエンザになった事を知っておきながらなんの心配もしないのは少し違うと思ったので、朝のHRが終わってから優輝に体調を気遣ったメッセージを送った。

一限が終わってから通知が来ていたので、携帯を見ると


「あれ、咲良に言ったっけ」


とゆう返信が来ていた。言った事を忘れるやつがいるか!と心の中で思いつつ、


「春奈ちゃんが言ってたー」


と少し悲しそうなスタンプも一緒に送った。するとまた次の二限の授業が終わった時に


「ごめ、心配かけると思って」


という思った通りの優輝らしい返信が来ていた。なんだか、これはこれで少し楽しかった。毎時間どんな返信が来るのか考える時間ですら楽しかった。

 これは後から知ったことだが、この日、春奈ちゃんも朝に、心配のメッセージを送ったところ、六限休みまで返信がなかったそうだ。それを聞いたときは飛び上がりそうなほど嬉しかった。彼女なのだから当たり前とも思ったが、それでも優輝に、特別だと言われているような気がしてたまらなかった。

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