雪白さん、これは違うんです!! ———放課後にちょっとえっちなASMR動画を聞いていただけだし、サムネの女の子が雪白さんに似ているのも気のせいです!!

溶くアメンドウ

Track. 01 最悪の告白

(制服のキミの肩や背中を誰かが摩る音)


「もしも〜し。

 もう通用門閉じちゃいますよ〜。

 終点ですよお客さ〜ん」


(可愛らしい溜息)


「やっと起きてくれたね。

 イヤホンして顔伏せてるからてっきり、

 失恋でもしていじけてるのかと!

 …ちょっと心配してたんだ。にへへ」


(よいしょっ、と雪白ユキシロさんが

 キミの隣の席に座る)


「え? 雪白さんがどうしてここに、て…

 キミの事、ずっと探してたんだけど?」


(雪白さんが一瞬近づいて来る)


「う・そ・だ・け・ど。

 ——そもそもお話するのも初めてだもんね〜」


(動揺して握ってたイヤホンを落とす)


「何聴いてたの〜?

 よっと。ちょいっと御拝借〜♪」


(面白そうにキミのワイヤレスイヤホン

【ノイズキャンセリングにハイレゾ対応!】

 を摘み上げて装着する雪白さん)


「うわ!

 なんか音が妙に生々しいんですけど!!」


(うわぁ…とか、おぉ…とか小さい声を

 漏らしながら音声に集中する雪白さん)


「……え。

 これってさ、んー何と言いますか〜。

 ———ちょっとエロくないですか、んん?」


「ふむふむ。

 高性能なノイズ…せりんぐ?と

 高音中音に特化したサウンド?が

 生々しいって感じさせているだけ…ですか?」


(足を組み直す音と

 机を指先でトントン叩く軽い音)


(10秒程の静寂)


「弱いね〜、それじゃ。

 だってさ〜??」


(立ち上がった雪白さんが

 回り込んできて

 キミの耳元で囁く)


「(大袈裟に真似る感じ)

『ご主人様…♡

 卑しいメイドのミアナだけのものに

 なってしまってイイのですよ…♡♡』」


(また回り込んで隣の席に

 戻っていき椅子の足が床を引き摺る

 うるさい音)


「凄い息が耳に掛かってるみたいだったし

 なんか耳の中にベロ入れられて

 背中がゾゾゾゾッ〜〜ってなったのね。


 流石にイヤホンの性能うんぬんじゃあ

 覆しようが無いかな〜♪」


(んん、と催促するように鳴きながら

 雪白さんの手がブンブンと

 小さく風を切る)


「スマホ貸して?

 どおゆー趣旨の動画なのか気になる。

 見して、はーやーく」


(スマホの画面をパタパタ叩いて

 ロックを解除する音)


「素直でよろしい。

 イイ子イイ子〜!!」


(キミの頭がサワサワ撫でられる)


「どれどれ…

 ———幼馴染身分違いメイドと、、ちほー

 りょ…りょー…ここはなんて読むの??」


「りょーしゅ…領主ね。

 地方領主は生き別れて

 尚巡り合う運命にあった。

 そして婚約者がいると知ったミアナに

 全力で迫られるエーエス…


 ASMRか」 


「う〜ん。

 なんかこのメイドの女の子って

 ちょっとというか少しというか

 かなりというかさ?


 ———私に似てない? 激似だよねえ??」


「えぇ…なんでキミ急に泣き出しちゃったの?

 こ、殺してくれ!?

 確かにとんでもねえドヘンタイ君だなあって

 思ったし思ってるけどさ。

 

 人間誰しもそんな部分的な部分を

 持ってると思うし多分…あー、うん。


 強く生きていこうぜ? ね??」


(立ち上がった雪白さんが

 キミの肩をモミモミしながら

 ドードーと宥めてくれる音)


「———は?」


(動揺して後退りする足音と

 とっちらかった感じの息遣い)


「いや、あの、、、キミさ〜〜??

 ドヘンタイだって罵られた女の子に

 そのタイミングで告白する、フツー??


 …初恋です。中学の時から、好きでした…?

 同中おなちゅうだったんだ。

 キミと私って」


(雪白さんが深呼吸をする。

 よしっ、と覚悟を決めたような声)


「ごめんね。

 私段階踏まないとなんか

 納得出来ない質なんだよね〜。


 …じゃあ友達からよろしく…??

 ナヨナヨしてるのかイケイケなのか

 よくわかんねーね、キミ。


 (ギリ聞こえるくらいの声で)

 ———ちょっと、面白いかも」


(キミの頭をポンポンと叩く雪白さん)


「じゃあよろしくね、トモダチくん♪」

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