EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)54

クライングフリーマン

最悪の選択

 ======== この物語はあくまでもフィクションです ========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀(芦屋)二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。通称佐々ヤン

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。小柳と一時不倫をしていた。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 デビット・ジョンソン・・・アメリカ空軍軍曹。EITO大阪支部専従パイロット。

 草薙あきら・・・EITO東京本部。警視庁からの出向事務員。ホワイトハッカー。

 友田知子・・・南部家?の家政婦。実は、芦屋グループの社員。


 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO大阪支部。会議室。

「用賀君。夫婦喧嘩か、また。」「顔はやめろ、ボディーにしろって、言っているんですけどね。」

 大前は、それ以上は言わなかった。芦屋三姉妹は、個性は違うが、基本的に『怒らせると恐い』相手である。

 マルチディスプレイに。小柳警視正が映った。

「さっき、EITO東京本部の草薙君から連絡があった。テロ案件に思える。直接話してくれ。」

 大前は、軽いデジャブを感じた。以前と同じ展開だ。

 その直感が当たっていた。

「おはようございます。ダークレインボーやピスミラが、よくSNSを使うので、定期的にシステムで監視しているんです。先日の案件も、それがきっかけでした。大前さん。大阪市に『イタチボリ』って場所ありますか?」「あります。西区ですね。」

「そのイタチボリって所と、梅田の『うりうり新聞』が襲われます。『うりうり』は、今日、午後2時です。そして、イタチボリにある反社らしき組織が襲われます。どうやら、その組織は、『うりうり』襲撃の為に利用されたようですね。『うりうり』の金を、かの国に送金するらしい。以前から脅していたが、拉致があかないから強硬手段をとるんだ、ってLinenで会話していました。Linenは、ご存じの通りセキュリティが甘く、那珂国や阿寒国に情報が流れています。那珂国のダークレインボーに流れるかも知れないSNSで、わざと流している。だから、ピスミラだと思います。午後3時に。その組織は襲撃されます。」

「挑発的ですね。ダークレインボーが、奴らを嫌ってEITOに情報流したことも知っていて挑発ですか。あれ?作戦失敗するかも知れませんやん。」

「Linenで見つかられなかったらの話ですね、こちらが。先手を打ちましょう。」

 午後2時。うりうり新聞社。

 数人の男達が機関銃を持って現れた。

 連中は、フロアの人間を隅に追いやり。他のフロアには連絡させなかった。

 そして、男達の1人が、開きっぱなしのパソコンを操作し始めた。

「はいはいはい。そこまで、そこまで。」ぎんは、大声で入って来た。

 祐子、悦子、今日子は、胡椒弾をそこら中に投げた。胡椒弾とは、胡椒やガーリックなど台所調味料を練って作られた丸薬を弾にしたもので、専用銃もあるが、今回は飛散目的なので、大玉を用意して、拡散させた。無論、EITOエンジェルズのユニフォームは、そのマスクも兼ねているので、むせない。だが、男達も社員達も無防備なので、盛んにむさえた。

 小町は、送金プログラムが動き出したのを見て、配電室の二美にインカムで合図した。

「D!!」その短い言葉で辺りは停電した。

『D』はデスクトップの意味で、デスクトップを弄った場合は、配電盤で電源を切り、会社のサーバーをダウンする。『N』の場合は、配電盤の電源を切る以外にWi-Fiの通信アダプタとバッテリーを外すように、小町は二美に指示を受けていた。

 男が操作していたPCはダウンした。

 真知子、真美、ぎんは素早く機関銃にすいりゅうガンで水を撃った。この水は撃つとグミ状になり、機関銃は撃てなくなる。

 小町は、臨時通信用ガラケーで、ビルの外の一美に連絡した。

 ガラケーのサポートは全面終了、とは、携帯キャリアがユーザーに連絡したが、実は、警察用には、通信回線が残されている。詰まり、このガラケーは警察・EITO共用の通信機器だ。

 コレは、大文字伝子の叔父の大文字教授が遺した、通称『大文字システム』の一つだった。

 ぎんは、「ここの責任者は?」と尋ねた。責任者らしき男が前に出た。

「私が、デスクの越中です。」「越中さん、イタチボリの会社。名前、教えて。」

 午後3時。赤羽新聞社。

 ぎんから連絡を受けた総子は、ジュン達と、やって来て、『イタチボリ』の会社こと赤羽新聞社に向かう途中のピスミラのクルマを『煽り運転』で攻撃。捕まえて、用賀は、警察に通報した。そして、3時に間に合った。

 外で、騒ぐ声がする。騒ぎを聞いて、出てきた連中は、正に『半グレ』だった。

「半グレは〇〇商会とかいう名前が定番やと思ってたわ。」ジュンの声に振り返った連中に、幾つものシューターやメダルカッターが飛び、彼らの頬に擦り傷を作った。

 シューターとは、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。

 メダルカッターとは、50円玉台のメダルにプロペラ状の刃が付いているメダルで、中央を押すと、カッターが飛び出す。

「今度は反社やな。」と、真子が言った。

 そして、総子は口上を述べた。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!正義の戦士、EITOエンジェルズ。満を持して。」

「なんやこいつら、いてまえ!」

 そう言った、リーダー格の男に、いずみの投げたブーメランが当たった。

「いてまえ、いうのはナア、こうすることや!!」

 総子の合図で、バトルスティックやバトルロッドで立ち向かっていくEITOエンジェルズ。拳銃や日本刀は、彼女達に取って、オモチャでしかなかった。

 半時間後。

 弥生が、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た簡易通信機で、通常の大人の耳には聞こえない。主に、控えている警官隊への合図に使う。

 EITOは警察ではない。『私人逮捕』は出来ても、連行取り調べは出来ない。だから、警察に引き継ぐのだ。

「あんたらを利用して、始末しようとした奴ら、先に始末しておいたで。」と、あゆみが言い、稽古とみゆき、真子らが笑った。

 やがて、佐々ヤンこと佐々刑事が率いる警官隊がやって来た。

「どんな新聞やろな。赤い字で赤字かな?」と、佐々ヤンは珍しく駄洒落を言った。

「しょーもなっ!!」総子は一蹴した。

 午後5時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイに真壁が映っている。

「警視正は、記者会見を開いているので、事件の概要を連絡します。」

「了解。皆も知りたがっています。」と、大前は応えた。

「事件は、先月の『公園おきざり事件』の模倣をやろう、と越中が画策したことに始まります。『公園おきざり事件』とは、数人の男女が22歳の男性を袋だたきにして、下半身を露出させられて、殺された事件です。目撃者が発見された通報して救急車で運ばれた時はまだ生きていましたが、すぐに亡くなりました。被疑者達はすぐに逮捕されましたが、マスコミには、報道管制が引かれました。模倣犯抑止上、詳細は報道されなかった。事件の動機は、満員電車で痴漢にあった、と女性が駅員に突き出したんですが、えん罪でした。それを証明したのが、被害者の天宮俊蔵でした。詰まり、痴漢詐欺が露見してしまった報復でした。」

「それで、下半身が・・・。」と小町が言いかけて、大前に睨まれ、止めた。

「越中は『模倣した犯罪』が可能だと考えました。つまり、『ヤラセ』です。New Tubeに投稿すれば、反響が現れます。自社の部数アップに繋がります。赤羽新聞社という半グレは、うりうり新聞の下請けです。ゴシップになりそうなネタを探して、提供していました。そして、その赤羽新聞社にピスミラのスパイがいたんです。ピスミラは、最初うりうり新聞を脅しましたが、応じませんでした。配下に半グレがいるから、と思って。そこで、ピスミラは、両方から金を奪い、亡き者にしようとした。送金が終ったら、皆殺しする予定でした。赤羽は、『箪笥預金』があることが分かっていましたから、強奪して、やはり皆殺しにする予定でした。赤羽は、EITOエンジェルズに助けられた形になります。一美さん、凄い!惚れ直しちゃいました。あ・・・失礼しました。連絡は以上です。」

 午後6時。総子のマンション。

「えらい手が込んでるな。下請けの会社は、新聞社の名前の半グレで、ピスミラと手を組んだ積もりが、ダシにされたか。半グレは、総子らに感謝せんといかんな。命拾いしたんやさかいに。」

「総ちゃんは、大分リーダーシップの腕あげましたね。総帥に報告しておきますわ。」と、知子は言った。

 友田知子は、芦屋グループの社員だが、表向きは派遣家政婦ということになっている。

「ありがとう。いつも、知チャンが作ってくれる料理のお陰やわ。お世辞やけど。」

「お世辞やけど、は要らんやろ。」

 夫婦漫才を見て堪能した知子は、帰って行った。

 夕食を食べながら、総子は「褒めるんやったら、体全体でね。旦那さん。」

「はいよ。」南部は、にっこり笑うしかなかった。

 ―完―


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EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)54 クライングフリーマン @dansan01

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