第3話 異次元の秋葉原

歩いているうちに、だんだんと夜になってきた。

未来の秋葉原に到着すると、思わず息を飲んだ。広大なスペースにびっしりと並んだ建物は、どれも光り輝いていて、色とりどりのネオンが街全体を包み込んでいた。昔の秋葉原とはまるで違う、まるで異世界のような雰囲気だ。

「ここが、未来の秋葉原だよ!」

友美子が嬉しそうに言った。

目の前のビル群には、ファンタジーなデジタルアートが映し出され、人々がその中を自由に行き交っていた。おれは一瞬、自分が異次元の世界に迷い込んでしまったのかと思った。

「この街は、エンターテイメントの聖地なの。ここでは、最新のゲームからアニメ、ホログラムの体験まで、様々な楽しみ方ができるのよ!」

友美子が説明するたび、懐かしい気持ちに満ち、しかし同時にその変わりように驚きも隠せなかった。

通りの片隅にあった巨大なモニターが、最新の仮想現実体験装置のプレイ映像を流していた。人々はその場で体験できる特設ブースに並び、大きな歓声を上げていた。

おれは想像し、わくわくした。

「あっちのカフェも面白いよ、全自動で注文ができるんだ」

友美子が言った。店内に入ると、タッチパネルでメニューを選び、数秒後には目の前に料理が運ばれてくる。全自動サーバーが、笑顔を浮かべながら料理を届けてくれる様子に、おれはただ驚くばかりだった。

「でも、こういうのが当たり前になると、逆に人間同士の繋がりが薄くなっちゃう気がするな」

おれがつぶやくと、友美子は少し考え込んでから言った。

「それも一つの見方だね。でも、みんなこういった技術を使うことで、他の楽しみ方や交流の仕方が増えてると思うの。例えば、VRで他の国の人とすぐに会えたり、遠くにいる家族とも簡単に会話できたりするよ。」

おれはその考えに感心した。技術の進化には確かに利便性があるが、人間性やつながりをどう保持するかがこれからの課題なのかもしれない。

「VR?」

おれが聞くと、友美子は「仮想現実体験装置?みたいなものかな?」と答えた。

「ところで、おれが好きだった店、ここにはあるのか?」

おれが友美子に尋ねると、彼女はすぐにわくわくした表情を見せた。

「ちょっと行ってみよう!」

友美子が走り出すと、おれも後を追った。

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