第2話 未来
街には、SF漫画で見たようなものがたくさんあった。
街を歩きながら、周りの景色に目を奪われていた。空に浮かぶホログラム広告、空飛ぶ自動車、そして人々が持つ多様なデバイス。まるで夢のような光景だった。
友美子は、周りの新しい技術を説明してくれた。
「これがサイバーシティ東京よ!4000年以降、テクノロジーが飛躍的に進化したの。ここでは人々の生活がもっと快適で、自動化されているの。」
おれは首をかしげながら、彼女についていった。
「自動化?どういうことだ?」
「例えば、この歩道は歩行者用のマーカーがあって、自動で道を案内してくれるの。危ない場所が近づくと、知らせてくれるんだ。」
友美子が足元のデジタルマーカーを指差した。
その瞬間、周囲の景色が青く光り、表示が浮かび上がった。
「ほら、ここをまっすぐ行けば、おじいちゃんの好きなところに行けるよ」
「すごいな、これが未来の技術か。」
おれは感心しながらも、不安が胸をよぎった。ここには、知っているものは何もない。友美子に頼り切るしかない。
街を歩き続けると、巨大なスクリーンが映し出すニュースが目に入った。内容は、環境問題の解決策や、未来のエネルギーについてだった。おれが知っているニュースとはまるで違う。時代の流れや変化が、目の前に現れていた。
「これが新しい東京の文化よ。みんな最新の技術を使って生活しているから、昔のことがどんどん忘れられていってるの。」
友美子が言った。その表情には、少し寂しさが漂っていた。未来に生きる彼女も、過去に対する愛着を持っているのだろう。
「でも、なんで誰もこの時代におれが来たことを気にしないの?」
おれは疑問を投げかけた。
友美子は苦笑いを浮かべ、
「それはね、タイムリープが一般的に認知されているからだよ。これだけのテクノロジーが進化すれば、過去からの移動者がいてもおかしくないって思われている。でも、おじいちゃんのような人は珍しいみたいだから、ちょっとだけ目立つかもしれないね。」
そう言われると、おれは少し安心した。
異なる時代に来たからこそ、得られる経験がある。この未来の東京をより深く知ることができるかもしれない。
「じゃあ、まずはどこ行く?」
おれは友美子に尋ねた。
「おじいちゃんが好きだった場所、秋葉原に行こうよ!」
友美子が楽しそうに言った。おれは驚いた。秋葉原が一体どんなものになっているのか、ワクワクと不安が入り混じる。
「秋葉原、ね。どれほど変わったのか見てみたい」
おれは頷いた。
友美子は嬉しそうに頷き、二人で未来の秋葉原に向かうことになった。おれがこの一億五千万年の未来で見つけるものは、どんなものだろうか。心の中で期待が膨らんでいた。
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