第11話 特殊犯罪独立捜査機関設立
13歳になった。
そして、例の独立捜査機関が立ち上がった。
それは特殊犯罪独立捜査機関と正式に名付けられた。
俺はそこにエルリック・フォン・テラスター男爵という身分で機関の長として赴任した。
先の功績により国王陛下から男爵位を賜ったのだ。
家名を決めることとなり、俺は実家の俗称であるテラスターを選んだ。
この爵位は一代だけではなく子にも継げる永代爵位だった。
だが、俺は公爵家の次期当主の長子であり、後に公爵位を継ぐ予定だった。
無駄な爵位に思えるかもしれないが、その時は男爵位は公爵家に帰属し、公爵の権限でそれを他人に譲ることが認められている。
公爵家にとっても有り難いものだった。
まあ、爺さんがどうにかなっても、公爵位は父のものだ。
いつ廻って来るかわからない公爵位よりも、今の男爵位の方がいろいろと都合が良かった。
公子公孫など、爵位を持つ当主よりも公的な扱いは下なのだ。
公的でない部分で父親や祖父を恐れて扱いが良くなっているだけなのだ。
つまり、部下を持った時、13歳の俺の命令を無視するようなことも有り得るのだ。
そのためにも男爵位を持つことで、爵位により騎士爵を従えることが出来るというのは有難かった。
そう、組織の立ち上げにより部下を持つことになった。
騎士爵が2人と俺の手駒としてカレンをねじ込んだ。
「お待ちしてました。
テラスター男爵」
「し、シンディーなぜここに!」
俺が性奴隷として購入し、呪いを解き、実家を奪った偽子爵を討伐することとなった、あのシンディーがそこに居た。
何故かシンディーが女子爵として秘書になっていた。
彼女は12歳でありながら、子爵家を継ぐことになった。
祖父と父親が殺され後を継ぐ子弟が彼女しか居なかったのだ。
女性が継ぐのは珍しいことだが、シンディーが継ぐしかなかったのだ。
シンディーも今は俺と同じ13歳だ。
性奴隷とされて売られてしまったことで、世間の目は厳しい。
俺のお手付きと見做す者も少なくない。
なので、貴族学校にも通うことが出来ず、この特殊犯罪独立捜査機関に就職となったのだという。
「これからもよろしくね♡」
完全にロックオンされている。
俺もこのまま廃嫡されなければ将来は公爵だし、廃嫡されても最低男爵位は保証されているのだ。
嫁げばシンディーの子爵位を俺に譲ることも出来る。
実際、シンディーの全裸姿を見てしまっているので、責任取ってねというところだった。
爺さんの公爵も俺がシンディーに手を出したと思っている。
外堀は埋められつつあった。
2人の部下である騎士は、カーク・フォン・ウィシャートとスケズリー・フォン・アボットという20代後半の男たちだった。
共に平民上がりではあるが騎士爵として叙爵された騎士だった。
彼らが実働部隊として情報収集や捜査を行う。
そこにカレンも混ざる。
まあ、今のところカレンは捜査員見習いだな。
カレンには、凶悪犯の転生者を処分するという重要任務を与えるつもりだ。
こうしてたった5人の特殊犯罪独立捜査機関が立ち上がったのだった。
たった5人と侮るなかれ、その捜査権限は王命の名のもとに貴族はもとより、騎士団や 衛兵隊本部にまで及ぶ。
衛兵本部など捜査機関でもあるわけで、そこが捜査されるなど、前代未聞の強力な権限だった。
「何か、特殊な事件の情報は上がって来ているか?」
俺は秘書のシンディに訊ねた。
「まだなーんにもありません」
この捜査機関、権限の割には知名度が低く、全く情報が上がって来ていなかった。
「まあ、おいおい捜査対象が増えることだろう」
そのために、俺は凶悪犯の転生者を探す方法を考えなければならなかった。
凶悪犯罪の裏に凶悪犯の転生者あり。
そこには、この世界では取り締まり対象にもなっていないような新しい犯罪も含まれているはずだった。
「ああ、そうだ。
ジェイソン・フォン・アドラムの動向に注意を払ってくれ」
「え、騎士学校のお友達でしょう?」
「いや、いつか何かしそうだと近付いているだけだ」
「あらまあ」
シンディアが口に手をあてて驚きの大口を隠す。
なんだかしぐさが可愛い。
「それと、彼が何もしないにしても、捜査の訓練になるはずだ。
まずは、所有奴隷の把握と、その末路の調査だ」
ジェイソンはロリコンだ。
そのロリコンが興味の対象から外れた年齢の奴隷をどうするのか?
そこを見極めなければならなかった。
「「了解しました」」
カークとスケズリーが捜査に向かう。
「私は?」
カレンが訊ねる。
彼女は凶悪犯の転生者が見つかった時の切り札だ。
その戦闘力は、同年代の類を見ないほど強力だった。
隠蔽された犯罪スキルのバフが凄いのだ。
「スラム街で情報収集して来い。
殺して良いのは命を狙って来る犯罪者だけだからな?」
彼女には殺人衝動があるので、合法的に殺せる相手をあてがう必要があった。
その人数もなるべく制限したいところなのだが……。
犯罪スキルの衝動はなかなか抑えられなかったのだ。
そして、彼女が理由なき殺人をした時、彼女自身が討伐対象となり得た。
彼女は
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