⒉
大学を後に自宅に帰ろうと思ったら、ブルブル、とスマホが鳴った。見れば実家の隣に住む
「はい、もしもし」
「もしもし、
坂間さんの早口を聞きながら、頭の中ではまず疑問がいくつも湧いて出てきていた。あのとき、父も母も外に出ているような雰囲気ではなかった。父は時々買い物に行くようではあったが、母が外出するといったことは、あの時誰に聞いても微塵も聞かなかったことである。
今夜こそは問い詰めよう。そして役所なり警察なりカウンセラーなり病院なりなんなりに連れてゆかねば。そう固く決心して、その足で最寄りの駅に向かった。二時間ちょっとはかかる。実家に電話をしたが誰もとるものはいない。弟は寝てるんだろう。母親も寝てるかしら。父親は叫んでいるかやはり寝ているかなんだろう。プロレスでも見ているのかもしれない。
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