第33話 酒蔵と味噌蔵 その2

次の酒蔵はお酒でだけでなく、お土産店やカフェも併設しているので

空さんがお酒を選んでいる間、わたしたちはカフェで一休みする。


「さっきサイダーを飲んだけど、コーヒーとケーキもおいしいよね」

「文乃はよく食べるわね」

「成長期ですから」

「その割に、成長してなわね」

「それを言わない。温海はもっと食べないと大きくならないよ」

「え~温海ちゃんは~いまのままでいいよ~」


夕はそう言って、温海をなでるけど温海は今のままがいいよね。

今は見た目の事をあまりうのは良くないかもしれないけど、温海はこれがいいんですよ。


「もう、他のお客さんがいるからそういうことしなの」

「でも~うれしいでしょ~?」

「嬉しいけど……するなら人目がない所でしてよね……」


温海はそういて照れるけど、いいですなもう。


「温海を見てると、ケーキよりご飯がほしいぐらいだよ」

「相変わらず何を言ってるのよ」

「何って、2人のイチャイチャを見てご飯を3杯食べられるって事だよ」

「それがわからないのよ」

「それだけ、2人のイチャイチャいいのよ」

「もう、夕が頭をなでるから、文乃がいつものように変な事いうじゃない」

「ははは~でも~これが文乃ちゃんらしいけどね~」


夕が笑ってる横で、温海は頬を染めながらアイスコーヒーを口にしている。


「お土産も売っているから、何か買っていいかな」

「そうね。色々売っているようだから」

「でも、酒蔵の後に味噌蔵にもいくみたいだけどね」

「お味噌か、だったらお味噌を買うわ」

「そういえば~空お姉ちゃんは~旅行のお土産で~p味噌を買って来てたけど~そのお味噌かな~」

「そうなんだ。そういえば、なんかここに来てるって言ってたね」

「うん、ここが好きみたいだよ~」

「確かにいい所だしね」

「冬は雪が降って~風情があるみたいだよ~」

「そうなんだ」


古い街並みに雪が積もったら確かに風情がありそう。

冬はお酒が美味しいっていうし、こう言われたらますます冬に来たいな。

そう思い、わたしは温海の方をじーっと見るが


「文乃、見つめても無駄よ」


と温海も気づいて、こう返した。


「いいじゃないですか、受験の1年前なんだから」

「それは余裕がある人が言うセリフよ」

「お二人さん、百合パワーがあればお二人と同じ大学へいけますぜ」

「また、よくわからないキャラが出て来たわね」

「でもでも、空さんも行きたいって思うし、2,3日ぐらいゆっくりしようよ~」

「それじゃ、冬休み前の試験の結果が前回より良かったら行ってもいいわよ」

「え、本当!?言質は取ったよ?」

「ええ、前回より順位が1つでも上がったら言ってもいいわよ」


温海は条件を出すけど、1つでも順位が上がったらなんてかなり緩いな。


「なんか条件が緩くありませんか?」

「だったら、もっと条件を厳しくしてもいいわよ?」

「いえいいえ、温海の女将さん、それでかまいませんよ」

「一体、どんなキャラなのよ」

「いやぁ、何か落語にでてくる感じのキャラが降りて来たから」

「なによそれ」

「まぁ、いいじゃない。それより約束は守ってくれるよね?」

「もちろん守るわ。なんなら、今のうちにから泊る所を押さえておくわよ」


温海はそう言って、電話をかけるが話方から親に電話をしてるらしい。


「うん、わかった。ありがとね、お父さん」


そう言って、電話を切ったが


「ホテルは一応押さえておいたわよ」


と言って、冬のホテルを本当に押さえたた。


「本当に押さえたんだ」

「ええ、この方がいいでしょ。あと、今回は山の温泉にしたわよ」

「そうなんだ」

「そして、もちろん招待券が使えるから次回も無料よ」

「ありがとう、温海……って、実は外堀を埋められてる!?」

「気づいた様ね、文乃。招待券はごく一部の株主とかお得意様にしか出さないものだからね。だから、無駄にしないでよ」

「え~と、普通はどのぐらいで出るんですか?」

「詳しい条件は教えてくれないけど、例えば1泊20万の部屋に年10回以上泊まるとか

株を1万株持ってるとかだと思うわ」

「え~と、1年で200万円ですか!?」

「宿泊だけでなく、他のサービスを使うから実際はもっとだと思うわ」

「……この話はなかったことになりませんか?」

「何言ってるの、文乃からいいだしたんじゃない。それに順位を1つだけあげればいいんだから緩い条件よ」

「ですよねー」


しまった、条件が緩いと思ったらそれ以上のプレッシャーを温海が与えて来た。

でも、冬休み前の試験まであと4か月はあるから、それまでに頑張ればいいか。

それに、条件は緩いし。


「まだ4か月はあるから、頑張りなさいよ」

「もちろんだよ、冬もただで豪遊するからね!」

「それは豪遊とはいわなよ」


温海にツッコまれるけど、顔は笑ってるから温海も本音では行きたいみいたい。

だから、わたしも頑張らないと。


そんな話をしていたら、空さんがお酒を買って戻って来た。


「みんなおまたせって美味しそうなのケーキを食べてるね~」

「まだ食べ終わっていませんから、空さんもどうです?」

「それじゃ、わたしも頂こうかな~」


空さんもテーブルに着くと、ケーキとアイスコーヒーを注文する。


「大吟醸入りのシフォンケーキと酒粕入りのチーズケーキかぁ、おいしそう」

「わたしもシフォンケーキを食べましたがアルコールは飛んでいますが、お酒の香りがしました」

「そうなんだ。麹のいい香りがするんだよね、文乃ちゃんもそれがわかるという事はお酒好きになりそうだね~♪」


空さんはそういて、ケーキ食べ、アイスコーヒーを飲む。


「空さん、冬も旅行に行くのですが空さんも行きますか?」

「ん~お仕事次第だけど、折角だから冬も行こうかな~」

「その前に、文乃がテストの順位を上げないと旅行に行けないわよ」

「そうだけど、1つぐらいあげるなんて大丈夫」

「余裕があるわね。確か、夏休み前のテストは順位を2つ下げてわよね」

「う、それを言わないで」


温海が言う通り、夏休み前のテストは順位2つ落としている。

1つぐらいと余裕があるように見せたけど、実は余裕はないだよね。

でも、旅行のために頑張るよ。


「さっきも言ったけど、まだ4か月あるから大丈夫だよ」

「あたしも信じてるから、ちゃんと勉強しなさいよ」

「もちろんだよ。それに、空さんとまた旅行をしたいしからね」

「わたしも、皆と旅行をしたいし、何より冬はお酒が美味しいからね~♪」


空さんはニコニコしながら、アイスコーヒーを飲み終わるけどケーキも食べ終わっていた。


「次も温海が手配をしてたから頑張るよ」

「期待しているわよ」

「冬も~みんなでいこうね~」

「わたしも楽しみにしてるよ、文乃ちゃん♪」


みんなも楽しみにしてるけど、なんかプレシャーだなぁ。

でも、温海がデレツンデレを出したんだから、わたしも頑張らないと。


「それじゃ、次は味噌蔵に行って、途中の温泉によって帰ろうね~」

「そうですね」


時間的にもそろそろ帰る時間帯なので、会計を済ますと味噌蔵にへ向かうのだった。

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