第30話 江戸時代の陣屋を見学する その1
食事の後は古い町並みへと歩いて向かっているけど、道路は混んでいいて
車はまったく動かないから、確かに車よりも歩いて来た方が良いのがわかった。
「道は混んでいて、全然進まないですね」
「そうだよ。道も狭いし、駐車場へ行くまでだ大変だから、遠くても駅に止めた方が楽だよ~」
「距離も歩ける距離ですしね」
「あと、前の2人はイチャイチャして楽しそうだしね~」
温海と夕はわたしと空さんの前を、腕組んで歩いている。
街の中ではあるけど、歩道がない道路なので温海は離して
って言ってるけど、夕は
「危ないから~守ってるんだよ~」
と言って、話すどころかさらにくっつく。
そして、厚みは後ろから見てもいつものむっつり顔になっているのは想像できる。
「夕ちゃんっていつもあんな感じ?」
空さんが聞いて来たので
「いつもあんな感じですよ」
と答えた。
「そうか、夕ちゃんは本当に温海ちゃんが好きなんだね~」
「温海も夕の事は好きですけどね」
「そうだけけど、これは夕ちゃんが惚れたかな~」
「それは間違いと思いますが、詳しい事は聞いてはいませんが」
「詳しい事を聞くのは野暮だよ~」
「そうですね」
「あと……イチャつく百合カップルを見てると、おなかいっぱいだね~」
空さんは2人を見てお腹いっぱといけど、それはわたしもわかる。
なんていうか、温海と夕は性格が違うのもあるけど、積極的な夕と
あれこれしたいけど照れて出来ない温海というのさらにいい。
「積極的な夕としたけど出来ない温海がいいんですよね」
「そうそう、興味津々だけどいざとなって照れる温海ちゃんが最高なんだよね~」
「ツンデレといいますか、デレデレ過ぎてむしろツンって感じですよね」
「文乃ちゃんはよく見てるね~」
「百合カップルを見るために今の学校に入りましたから」
百合カップのために、成績が悪いわたしも頑張って進学校である
今の高校に入ったんだからね。
つまり、わたしにとって百合カップルはパワーの源。
No百合カップルNoLife......は言い過ぎか。
あと、2人のお陰で成績は2人より下ではあるが、テストで赤点も取らずに
何とかやっていけてる。
「空お姉ちゃん~文乃ちゃん~早くきて~」
夕がわたしと空さんを呼ぶけど、空さんと話しながら歩いていたら
2人との距離が結構開いていた。
なので、急いで2人の元へ向かった。
そして、4人で歩くと古い町並みの入口にある陣屋前に到着した。
「ここが陣屋なんだ、確かに江戸時代って感じがするね」
「江戸時代の陣屋の建物としては唯一現存のはここだけだってよ~」
「となると、貴重ですね」
「陣屋はわかりやすいえば江戸幕府の役所だけど、江戸時代から昭和44年まで役所として255年使ってたから、残ったらしいよ~」
「それはすごいですよね」
車を降りた時にも話したけど、江戸時代から昭和まで役所として使ってたのは普通にすごい。
しかも、建物は江戸時代の物で、陣屋として現存してるここだけだそうだ。
「中も見る事が出来るから見ていく~?」
「そうですね、なかなか来る事がないので見ていきましょう」
「あたしも構わないわよ」
「わたしは~みんなが見るなら~構わないよ~」
「それじゃ、見ていこうね~」
次にいつ来るかわからないので、陣屋の中を見ていく事にしたけど
入場料は空さんが払ってくれた。
そして、陣屋内は靴を脱いで上がるから、靴は備え付けの袋に入れて持って歩く。
入口を入ると中は畳敷きになっていて玄関の間があるけど、この玄関から中に入れるのは
郡代、代官に幕府から派遣された巡見人と言わば身分が高い人だけしか使えなかったらしい。
つまり、わたしたち庶民は江戸時代だったら、個々から入る事は出来なかった事かな。
玄関から右手が順路で、役人がお仕事をしていた間になっているけど
御役所という二十八畳の部屋で、こちらの間は身分が高い役人がお仕事をしてたそうで。
そして、その隣は御用場と言うまで、ここは地役人が仕事をしていた間だとか。
「同じ役人で違うがあるのかな?」
「あるから分けられてるんじゃないの」
「そうだけど、どう違うのかなぁって」
「パンフレットに書いてるあるでしょ。御役所は代官・群大の部下の手附、手代が土年貢の徴収や土木行政、警察、裁判をしてたそうよ。
御用場は山林や口留番所の管理をしてたそうよ」
「なるほど」
「そして、御用場は天領になる前に治めていた金森氏の旧家臣、いわゆる地役人が務めてたそうよ」
「そうなんだ。よくわからないけど、何となくわかった」
「なによそれ」
「別にいじゃない、次に行こう」
「全く、文乃ったら」
温海は呆れてるが、説明されててもよくわからないのは本当だから仕方がない。
わからない事を知ったかぶりよりはいいんじゃないかなぁって思ってはいる。
「そうそう、資料のために写真の撮影の他にスケッチもするから、皆は先行ってていいよ~」
次に行こうとしてたいら、空さんがこういうけど空さんはスケッチブックを出して中をスケッチをしている。
「空さんも時代物を描くのですか?」
「そういう訳じゃないけど、練習になるから描いておくんだよ~」
「なるほど」
「でも、時間がかかるからけどね~」
「いえいえ、構いませんよ。描き終わるまで待っても良いですし」
「さっきは次に行くって言ったでしょ」
「さっきはさっき、今は今だよ、温海さん」
「何言ってるの?」
「温海さん、そんなこわ言い方をしない」
「べ、別に怖い言い方なんてしてないわよ……」
温海はそう言ってちょっとしゅんとするけど、温海は温海で忙しいな。
ただ、空さんのスケッチを描く速度は早くて、わたしと温海がやり取りをしてる間に
「書き終わったから、次に行こうか~」
と言って、スケッチブックを閉じた。
「早いですね」
「昔から描くのは早い方だからね。あと、温海ちゃんとのやり取りは面白いね~」
「そ、そうですか?」
「そうだよ~2人も仲がいいけど、夕ちゃんが嫉妬するかもよ~」
空さんはそう言って笑うけど、夕は
「いつもの事だから~嫉妬しないよ~それに~わたしも楽しいし~」
といて、わたしと温海と腕を組んできたけど、何時もの如く当たってますよ。
「夕、狭いんだから腕を組まない」
「もう~温海ちゃんは~いつも胸が合ってるの~喜んでるのに~」
「なっ!?」
夕がこういうと、温海は腕を振る解いたけど、顔は真っ赤になっている。
「他の人の邪魔になるから行くわよ」
「そうだね~」
夕はニコニコしてるけど、わかってるんだろうなぁ。
「夕ちゃんもなかなかのやり手だね~」
「そうですよね。温海の事をわかってやってますよね」
「それだけ、温海ちゃんが好きって事かな~。あと、温海ちゃんってなんかからかいたくなるよね~」
「ああ、わかります」
空さんが言う通り、温海はからかいたくなる。
いじわるって訳じゃないけど、反応がいいというかまじめだから反応がいいって感じかな。
それが温海のいい所で、夕が好きになった所かなぁ。
「それじゃ、わたしたちも行こうね」
「ですね」
わたしと空さんは温海と夕の後姿を見ながら次の間へ行ったのだった。
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