第20話 漫画みたい事が実際おこる

空さんは恥ずかしそうにしているけど、何事もなくてよかった。


「空さん、大丈夫ですか?」

「何とかね。久しぶりに泳いだら、足がつったんだよね……」


空さんはしょんぼりしてるけど、足をつってちょっとショックを受けたみた。


「昔は10㎞遠泳とかしてたのに、今は10mで足をつるなんて普段の運動不足がたたなぁ……」

「お仕事的に仕方がないですよ」

「ありがとう、文乃ちゃん。まだ20代半ばなのに、漫画のネタみたい事が自分に怒るなんて……」


確かに、久しぶりに運動して足をつるのは、漫画のネタとかにありますよね。

しかも、空さんは20代半ばで高校時代はアスリートだったから余計にショックなんだろなぁ。


「気にしないでくださいよ、何事も無かったですし」

「そうだね。漫画のネタに出来るしね」


空さんはそう言うと、パラソルの下もどりスマホでさっきの事をメモをっている。


「うーん、ネタにするとはさすがだなぁ」

「何事もなかったから~ネタに出来るんだよ~」

「それもそうか」


何かあったらネタと言うか、笑えないからね。


「ねえ……なんか疲れて来たから、そろそろホテルに戻りたいかも……」


温海がホテルに戻りたいというけど、顔を見ると確かに疲れた顔をしている。

温海は夕とわたしと遊んだり、空さんに泳ぎを教わってたから疲れたよね。


「そうだね、14時を過ぎたしホテルに戻ってもいいよね」

「そうだね~」

「悪いわね……」

「いいって、もう十分楽しんだから」

「わたしもだよ~」


夕は温海に抱きつくけど、何時ものむっつり具合が出ないからお疲れみたいだね。


「熱は……無いみたいだから~疲れただけだよ~」


普段から抱きついている夕だから、熱の有無もわかるのか。

まさか、夕の抱きつきが温海の体調の判断になるとは。

でも、お疲れならホテルに戻って休んだ方がいいよね。


「それじゃ、ホテルに戻ろうね」

「ありがとね……着替える前に……シャワーを浴びるわ」

「確かに、海水はべたつくからね」


海水がべとつくから、自由に使えるシャワーに行く。

荷物があるから、まずはわたしと温海がシャワー浴びて、次は空さんと夕が浴びにいく。


 温海はかなりのお疲れで、チェアーに横になっている。

わたしも念の為温海のおでこに触れてみるが、熱は無いようだし熱中症でもないようだ。


「熱はないようだね」

「大丈夫よ……ちょっとはしゃぎ過ぎたわ……」

「そのために来たんだから、気にしない」

「がめつい文乃がそういうなら、気にしないわ」

「がめついは余計だよ。否定はしないけど」

「否定しないのも文乃らしいわね」


温海は少し微笑むけど、何時もどおりだから大丈夫か。


「ところで、さっき夕が仲良くなる前の事を言ってたけど、温海は私をどう思ってた?」

「何よ、珍しくまじめな話?」

「なんていうか、わたしも温海と夕みたく、女の子が好きなのかなって思って」

「違うの?」

「違うというか、なんていうか。女の子が好きと言うか、百合は好きだよ。

ただ、恋愛として女の子が好きって訳でもないかなって」

「そう言う事ね。文乃は女の子が好きって空気は出してるわよ」

「そんなの出してたんだ」

「そりゃ、わかるって。でも、恋愛じゃないのも確かね」

「そうなんだ」


温海は夕と違い、わたしが恋愛的に女の子が好きではないと思ってたか。


「でも、カップルを追いかけるのはストーキングみたいものよ」

「ああ、それについては謝るしかないです」

「でも、それがあたったから……い、今があるのよ」


温海は何時ものテレを出すけど、これが出るって事は元気ではあるか。


「そうだね。だからここに来れたし、ありがとね」

「な、今日の文乃は何時もと違って……素直すぎる手調子がくるのよ……」


温海は照れながらこう言うけど、わたしだって素直な時はあるよ。


「わたしだってたまには素直になるよ」

「たまにって事は、自覚してるのね」

「一応はしてるよ」

「だったら、普段ももう少し素直になってほしいわね」

「それは断る」

「ここも素直になりなさいよ、ふふふ」


温海はそう言って、笑うけどこれなら大丈夫か。


「シャワーを浴びて来たよ~」

「それじゃ、片付けてもホテルに戻ろか~」


夕と空さんが戻って来たので、レンタルした物を返却する。

そして、更衣室で着替えるけど


「あ、あれ……下着を持って来てない……」


と温海が青ざめてたのだったけど、そういうお約束を温海さんがしますか。


「下着を忘れるのは定番ネタだけど、それをしますかね」

「入れたつもりだったのよ……そう言う文乃はどうなのよ」

「わたしはちゃんと持ってありますよ」


わたしあ荷物の袋から下着を出して、温海に見せる。


「ここは文乃も実は忘れてるパターンじゃないの」

「わたしはお約束クラッシャーでもあるから」

「よくわからないけど、パーカーを着て来て良かったわ」


つまり、それはノーパンなんですか温海さん。

わたしは言わなかっけど、温海は水着を脱いでささっと服を着る。


「これなら、スカートが短くても平気よ」


温海はパーカーを羽織ってそう言うけど、これならかかんでも平気かも。


「文乃も見てないで着替えなさいよ」

「そうだね」


既に皆着替え終わってから、わたしは急いで着替えを終えらす。

そして、船着場から船に乗りホテルへと戻るが、温海はノーパンな事をやはり気にしてた。

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