第19話 久しぶりに泳いでみたら……

「文乃ちゃん~起きて~」


夕の声がしたので目を開けると、空さんが来ていたパーカーが掛けてあった。

わたしはお腹いっぱいになって寝てしまったけど、温海と空さんの姿はない。


「おはよう、夕。温海と空さんは?」

「空お姉ちゃんと~泳ぎの練習をしてるよ~」

「そうなんだ」

「空お姉ちゃんは~水泳部で高校時代は~全国大会にも出たんだよ~」

「え、そうなの?なんか意外」

「漫画を描いてからって~インドアじゃないよ~」

「そうだけど、そんな風には見えないからね」

「10年ぐらい前にからね~今は泳いでないとか~時間がないからね~」

「確かに」


漫画の連載があるから、泳ぎに行く時間もないんだろね。

あとは、あのスタイルだからというのもある。


「そういえば、今何時?」

「まだ14時だよ~」

「14時って……1時間以上寝てたんだ」

「よく眠ってたよ~」

「起きるのが早かったからね」


朝の4時に目が覚めたから、お腹いっぱになって寝ちゃったな。


「空お姉ちゃんが~パーカーをかけてくれたよ~」

「そうみたいだね」

「それにしても~空お姉ちゃんと文乃ちゃんって~もう打ち解けたよね~」

「ま、それがわたしのスキルだから」

「確かに~学校に入学直後に~わたしと温海ちゃんを~追いかけてたからね~」

「まぁ、今思えばかなりやばい事してたけどね」


わたしは入学式の時に2人を見つけ、2人が百合カップルかどうかを調べてた。

今思えばかなりやばい事をしてたけど、今はこうして仲良しだから問題ないよね。


「温海ちゃんは嫌がってたけど~わたしは文乃ちゃんとは~仲良くできるとわかたよ~」

「へー、そうだっんだ」

「なんていうか……文乃ちゃんはわたしたち同じ感じがしたからね……」


夕が何時もの口調と違うけど……確かに百合好きではある。

ただ、夕が言っているのは恋愛として、女の子が好きって事なんだろうけど。

女の子が好きか嫌いかと言えば好きではあるけど、恋愛としてはまだまだわからない。

かと言って、男の事の恋愛も良くわからない。

ただ、夕がこう言う事とは……なのかなぁ。


「そう言われても、わたしはよくわからないかなぁ」

「文乃ちゃんは~恋愛に興味なさそうだしね~」

「確かに、ないかなぁ」

「わたしと~温海ちゃんを見て~どう思う?」

「どうって?」

「え~と、羨ましいとか、自分も女の子とつきあってみたいとか、温海ちゃんがかわいいとかな~」

「最後のは思ってるよ。2人がイチャイチャしてて楽しそうで、羨ましのはあるかな。

ただ、女の子と付き合いたいって事はないかな」

「そうだよね~なんか、変な話をしちゃったけど~海へ行こうね~」


夕はそう言って、わたしの手を取って海へ行くけど、夕がこんな話をするとは重ってなかったな。


「温海ちゃん、上手くなったじゃない」


海へ行くと、温海がクロールで泳いでいるのが見たけど

泳げなかっ温海が短時間で泳げるようになるとは。


「泳ぎは思ったより簡単ですね」

「そんなことないよ。こんな短時間で泳げる温海ちゃんすごいよ~」

「い、いえ、そんな事は」

「謙遜しないの~」


空さんはそう言って温海を抱くけど、何時も見る光景だね。

ただ、胸のボリュームはさらに増して、温海はちょっと惑ってはいるけど。


「もう~空お姉ちゃん~それはだめ~」


夕が海に入って空さんから温海を引き離そうとするけど、夕の嫉妬かなぁ。

夕ってわたし以外だと良く嫉妬するけど、わたしはいいのかな?

さっきの話といい、夕は私をどんな風に思ってるのかな。

お互い気を許せて、何でもって言う程じゃないけど、それに近いぐらい色々言える仲だね。


「もう~嫉妬しないの~ちょっとしたご褒美だから~」

「それにしても~そんな胸で温海ちゃんを誘惑しないで~」

「してはないけど、夕って自分より胸が大きい相手にはそうなるよね~」

「むー、それはいわないでよ~」


夕と空さんの話からすると、どうも夕は自分より胸が大きい相手に嫉妬してるみたい。

夕だって大き方だけど、空さんはそれ以上。

そういえば、夕はお母さんにも嫉妬したけど確かに胸が夕より大きかった。

わたしは夕より胸が小さいけど、まさかの胸基準!?

いや、さすがにそんな事とはない……よね?


「胸だけでなくて~温海ちゃんは~大人の色気に弱いんだから~」

「夕ちゃんだって、大人ぽいじゃない~」

「ぽいと本当の大人は~違うから~」

「そうだけど、温海ちゃんをとったりしなから~」

「あたりまだよ~」


どうやら、温海が大人の色気に弱い事を気にしているみたい。

温海はお姉ちゃんっ子だから、年上のお姉さんに弱いのわかる。

温海の姉の成子さんも胸が大きく、大人の色気というか、らしさがあるからね。

だから、夕は温海が年上のお姉さんに取られないか心配してるのかな。


「それはともかく、温海ちゃんはちょっとだけど泳げるようになったよ~」

「そうだね~泳いでたのを見たよ~」

「空さんの指導お陰ですよ」

「ありがとね。でも、温海ちゃんも覚えが早いからね~」


さっきも言ってたけど、短時間で泳げるようになったからね。

温海自身も素質があったって事だよ。


「文乃ちゃんが~以前教えたからね~」

「へー、そうなんだ~」


空さんはわたしの方を見るけど、教えたと言ってもこの前のプールの1回だけなんだけどね。


「プールで1度だけですよ。それも短時間です」

「そうなんだ。文乃ちゃんは泳げるの?」

「以前スイミングクラブに行ってた程度で、今は泳いでないです」

「そうなんだ。わたしも、高校卒業してから泳いでないよ~」

「夕から水泳部だった事は聞いてますよ」

「そうなんだ、なんか久しぶりに泳ぎたくなったかな~」


空さんはそう言って泳ぎ出したけど、10mほど行った所で急にもがきだした。


「え~と、なんかやばくない?」

「ん~久しぶりに泳いだから~足をつったかも~」

「そって、ダメじゃない?」

「でも、素人が助けるのは危ないわよ」

「それじゃどうしたら……って、ライフセイバーが向かってる」


空さんの様子をみて、ライフセイバーが空さんの元へと向かったけど

空さんは何とか足を着いたので、何事もなったようでよかった。

そして、空さんはライフセイバーに肩を支えれて、海から出ると

ライフセイバーから気を付けてくさいねって言わて、恥ずかしそうにしているのだった。

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