第17話 進学の話
わたしたちは一度休んで、再び海でシュノーケリングをする。
そして何度か練習をしたら段々上手くなり、泳げるようにもなった。
「うん、綺麗な海で泳ぐのはいいよね。まさに南国」
「住んでいる場所からみたら、ここは北よ」
「そういう細かいツッコミはしないの、無粋だよ」
「事実を言ったまでよ」
確かに、ここは住んでいる場所から見たは北ではあるけど、十分に南国リゾート気分だよ。
でも冬は雪が降るそうだから、冬は冬で来てみたいかな。
「冬は冬で来てみたいね」
「そうね、冬は冬でいいわよ。ただ、風は強いわ」
「そうなんだ」
「でも、冬は夏よりもお魚が美味しいわよ」
「へー、そうなんだ」
「昨日の海鮮丼も美味しかったけど、冬は魚に脂がのってさらにおいしいわ」
「うーん、冬も来たいな~」
わたしは温海の方をじっと見る。
「今度の冬は多分無理よ。受験の準備をしないとならないから」
「え~もうなの?」
「それぐらいから始めないと、だめよ。特に文乃は受験もギリギリだったんでしょ」
「まぁ、そうけど、2人のお陰で成績は中の上にはなってるよ」
「中の上じゃ……あたしと夕と同じ大学にいけないでしょ……」
温海は頬を染めてこう言うけど、そういえば2人と同じ大学に行くって考えてなかった。
進学すること自体は考えたけど、わたしは温海と夕の成績と比べたら差が結構ある。
だから、2人と同じ大学へ行く事は考えてなかったけど、温海がややデレモードになったのと
これから先も2人を拝見できるなら、同じ大学を目指してもいいか。
「それじゃ、がんばって2人と同じ大学を目指すかな」
「そ、それなら、夕と勉強を教えるわよ」
「うん、お願い」
「め、珍しく文乃が素直だから、2人でちゃんと教えてあげるわよ……」
温海の顔が更に赤くなるが、ああもうかわいいな。
デレモードの温海をみたら、キスをしたくなる夕の気持ちがわかったけど
流石にする訳にはいかないから、温海に近づいて頭をなでる。
「ちょ、ちょっと子供じゃないんだからね……」
「温海がかわいいからつい」
「もう、仕方がないわね……でも、もういいわよ」
温海はそう言って、浮き輪でバタ足をしながら泳いでわたしから離れていった。
「珍しく~デレだったね~」
わたしと温海の様子を見てた夕も、温海がデレだったのは珍しかったみたい。
「温海がデレモードだったから、わたしも素直になったよ」
「温海ちゃんだけでなく~わたしも~文乃ちゃんと~同じ大学に行きたいよ~」
「わたしもだよ。ただ、成績の事もあるから2人と違う大学って思ってたけどね」
「大丈夫、わたしと温海ちゃんに任せてよ~」
夕はそう言って、わたしの手を取ると……手を引いてわたしの顔を
夕の顔に近づけると、そのまま頬にキスをした。
「!?」
空さん程じゃないけど、ほほとは言えキスをする場面じゃないから
ちょっと油断したから驚いたけど、夕だからと思えばそうでもないかな。
夕は時々だけどわたしにスキンシップ程度の軽いキスを頬にするからね。
というか、不意のキスは夕の血筋の伝統スキルな気がしてきた。
「空さんといい、夕と言い、キスが好きだね」
「んー、ちょっとしたスキンシップって感じだからね~」
「欧米か!」
「ん~、言われてみたら~そうかもね~」
しまった、わたしの世代ではちょっと古いネタで通じなかったか。
といういか、わたしもちょっと前のお笑い動画を見て知ったんだけど。
なんか、お父さんが会社の若い人と話題が合わないって言ってたけど、お父さんの気持ちがなんかわかった気がする。
「それより~温海ちゃんの様子を~見ないとね~」
「そうだね。まさか流されたりしてないよね?」
「大丈夫だと思うけどね~」
温海が泳いで行った方をみると、浮いている温海が居た。
ひとまず安心したけど、そういえばさっきより水面が上がっている気がする。
「なんか、水面が上がってない?」
「多分、満潮なんだよ~」
「ああ、潮の満ち引きか」
「同じ場所でも~少し深くなるけど~まずは温海ちゃんの所へ行かないとね~」
「そうだね」
わたしと夕は浮き輪で浮いている温海の所へいく。
少し流れを感じるけど、大丈夫だよね。
「温海、大丈夫?」
「別に心配されるに事はなってないわよ。ただ、潮が満ちて来てちょっと流れがあるわね」
「流され事はないと思うけど、一度上がろうか」
「そうしてもいいわよ」
「あと~そろそろお腹も空てきたたね~」
「確かに、お腹がすいてきたね」
海で遊んだから、お腹が空く頃かな。
スマホがないから時間はわからないけど、島に着いたのは10時すぎだから
多分、時間的にもお昼になってると思うし。
わたしたちは海から出て、空さんの元に戻りスマホで時間を確かめたら
時間は12時15分だったので、丁度お昼時だった。
「丁度お昼だね」
「そう言えば、お腹が空いたかな~」
「なんか~いい匂いも~してるしね~」
夕がそう言うけど、お肉を焼いている匂いがしている。
そういえば、バーベキューが出来るそうだけど、準備をしてた人がいたよね。
「肉を焼いてるみたいだけど、浜辺でバーベキューって正に夏って感じだよね」
「そうだけど、一応事前予約が必要よ」
「え、そうなの?」
「食材の準備があるからよ。でも、空いているから当日でも大丈夫かもしれないけど」
「それじゃ、聞くだけ聞いてみる」
「そうだけど、夕と空さんにも聞かないと」
「わたしは~別にいいよ~」
「浜辺でバーベキューか、お酒が飲めないけどかまわいないわよ~」
夕も空さんも良いというので、空さんと温海がカウンターへ聞きに行くと
食材が用意できるとそうなので、お昼は浜辺でバーベキューとなったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます