第16話 シュノーケリング
シュノーケルセットをレンタルして、ちょっと深めの所でシュノーケリングをする。
深いと言っても胸よりぐらいの深さだけど、わたしたちは身長差があり
わたしは159㎝、温海が147㎝、夕が167㎝なので、温海だとちょっと深い。
だから、浮き輪を借りて来て、ぷかぷかと浮いている。
「温海の浮き輪姿は似合っているよね」
「なによ、バカにしてるの?」
「いや、かわいいって事だよ」
「ならいいけど……」
相変わらずかわいいって言葉に弱い温海だけど、それがまたかわいい。
「海がとても綺麗だね~」
「そうだね、海の底が見えてるね」
「波も穏やかだから、シュノーケリングもしやすいわね」
「だね。でも、上手くできる物なの?」
「わたしはやったことないからわからないわ」
「わたしも~はじめてだよ~」
「え、わたしもだよ」
つまり、3人共シュノーケリングをするははじめてだった。
「えーと、とりあえず咥えて、水面に出せばいいんだよね」
「そうね」
「それじゃ、試しにやってみるよ」
わたしはゴーグルをつけ、シュノーケルを咥えて顔だけ海に浸けるけど
口だけで呼吸するのは意外と難しく、鼻で息をしようとして息苦しくなった。
「ぷはぁっ、意外と難しいね」
「そうなの?」
「口だけで息をするって意外と難しいよ」
「確かに、ふだん鼻で息をしてるから、口だけって難しそうね」
「でも、海自体は綺麗で、名前はわからないけど魚も泳いでたよ」
海自体はとても綺麗で、何種類かの魚が泳いでた。
だから、シュノーケリングしたら楽しそうだけど、先ずは練習かな。
「まずはシュノーケルをちゃんと咥えて、口から海水を飲まないようにして
ゴーグルは鼻もおおわれてるけど、鼻から息をすると海水が入りそうになるから注意ね」
「わかった~やってみる~」
夕が海に顔を浸けるけど、夕は初めから上手に出来たらしく、結構長く顔を浸けていた。
「うん、うまくできたよ~お魚が泳いでたよ~」
「そうなんだ。それじゃ、あたしも……」
次は温海がするが、浮き輪で浮きながら海に顔を浸ける。
ただ、泳げない温海は海に顔を浸けるということ自体が難しく、すぐに顔を上げた。
「げほ、げほ、海水を飲んだわ……」
「温海ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない、口の中がしょっぱすぎるわ……」
「それじゃ、一度上がって口をゆすがないと」
「ええ、そうしたいわ……」
温海が海水を飲んだで、一度海か上がり売店でペットボトルの水を買ってそれで口をすすいだ。
「う、口の中が乾くわ……」
「海水ってかなりしょっぱいからね」
「ええ、水をしっかり飲まないと」
「そういえば、暑くなってきたからわたしたちも水分をちゃんと摂った方がいいか」
「そうだね~あと、少し休もうか~」
「そうだね」
わたしと夕も売店で飲み物を買い、空さんの元へ戻る。
空さんはビーチパラソルの下で、わたしたちが海で村でいる間に
借りてたロングチェアーで横になっていた。
「みんな、戻って来たんだね~」
「はい、温海が海水を飲んだのと、少し冷えてきましたから」
「あと、水分もちゃんと摂らないとね~」
「そうね、結構気温が上がって来たからね~」
空さんはそういって、フルーツがグラスの縁にささってるドリンクを飲んでいる。
「なんか、そう言う飲み物を見ると、南国って感じですよね」
「そうね、これにお酒が入ってたら最高だけど昼からはね」
「でも、お休みですから気にしなくてもいいんじゃないですか?」
「そうだけど、編集部から夜に話をするって連絡が来たからね~」
「そうなんですか」
「今からなら夜に酔いは覚めるけど、お酒を飲むとアイデアも出ないからね~」
空さんは物凄くお酒を飲むけど、仕事がある時はちゃんと控えるんだ。
「空お姉ちゃんは~飲む時は飲むけど~控える時は控えるよね~」
「その辺はプロだからって感じかな?それに、ここにファンがいるからちゃんとした姿をみせないとね~」
空さんはわたしの方を見てニコニコするけど、既に素の空さんはみてはいる。
でも、ファンとしては良い作品を書いていただけば、それで十分でよ。
「空さんが良い作品を書いているだけで、ファンとして嬉しいですよ」
「ありがとね。でも、それが難しいからね~」
「た、確かにですね」
「でも、ファンの応援は力になるから、ファンサもしないとね~」
空さんはそういて、ロングチェアーから立ち上がるとわたしに近づいて……頬にキスをした。
「!????」
わたしは温海と同じ反応になるけど、夕の一族は不意打ちのキスで戸惑わせるスキルがあるみたい……。
「ちょっと、サービスしすぎたかな~」
空さんは笑うけど、やばいこのまま天に召されそう。
いや、天に召されたら空さんの漫画がよめないじゃない、がんばれわたし!
「文乃、大丈夫?」
固まっているわたしをみて、温海がそういうがこれでわたしは我に返った。
「あ、うん、かなりの不意打ちで天に召される所だったよ」
「大袈裟ね……」
「いや、それぐらいのクリティカルだったよ。空さんのファンじゃなかったら耐えなかった」
「よくからないけど、夕も同じ事をするからわかるわよ」
温海がニヤニヤいながら言うけど、夕に不意打ちにキスされる事を喜んでるのか
わたしが同じ風になった事を喜んでるかは知らないけど、夕の一族は油断しては行けなと学んだのだった。
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