第15話 日焼け止め
「もう、汗をかいたじゃない!」
空さんと夕に抱かれたというか、乗っかられて温海が暑がったから
空さんと夕は温海から離れたけど、温海は汗びっしょりだった。
「ごねんね~温海ちゃん」
「ごねんね、温海ちゃん。2人のイチャイチャが楽しそうだったからつい」
「べ、別にいですよ。海に入れば同じですし」
「そうだね~それじゃ、海に入ろね~」
「そ、そうね」
温海と夕は手を握って海に入るけど、海は浅いようで温海のスネぐらいの深さ。
泳ぐって言うよりは、海辺で楽しみ感じかな。
一方、空さんはレンタルしたビーチパラソルの下に座っているけど
「ねえ、文乃ちゃん、日焼け止め塗ってくれる?」
と声をかけるけど、まさにお約束のイベントが!
そう、海と言えば日焼け止めを塗るイベント!
まさかこのイベントがリアルで起こるとは、温海が個々の招待券を貰えなければ
実現しなかったから、温海ありがとう!
わたしは心の中で温海にお礼をすると
「もちろんですよ!」
と二つ返事をする。
「それじゃ、背中をお願いね~」
空さんシートにうつ伏せになり、水着のホックを外す。
空さんはインドアの仕事のせいか、色白であるけど肌は綺麗。
漫画家は徹夜が多いと思うし、空さんは酒豪でもあるけど肌はお世辞でなく
わたしたちと同じぐらいぐらいじゃないかな。
「空さんの肌、綺麗ですよね」
「そうかな、日に当たってないだけだよ~」
「そうだとしても、わたしたちと同じぐらいですよ」
「そんな、20代半ばが10代と同じな訳けがないよ~」
「いえいえ、お世辞ではないですよ」
「そう、ありがとうね~」
わたしは話をしながら日焼け止めを塗るけど、もちろん何事もなく塗り終わった。
「文乃ちゃん、ありがとね~」
「いえいえ、これぐらいいいですよ」
「何なら、文乃ちゃんも塗る?」
「海に入りますし、大丈夫ですよ」
「そうだね、それじゃ夕ちゃんと温海ちゃんと遊んできてもいいよ~」
「そうですね」
わたしは夕と温海の所で行こうとするけど、空さんは胸とか自分で濡れる場所は
自分で日焼け止めを塗っているけど……現実はこうだよね。
「文乃ちゃん、もしかしてラブコメのお約束を期待した?」
空さんはニコニコしながら言うけど、もちろん期待してました。
「もちろん、期待してました」
「もう、文乃ちゃんは正直だな、残念と顔にもでてるよ~」
「そ、そうですか?」
「そうだよ~。でも、わたしとそういうことしたら……18禁なるから、だ~め~」
空さんはそう言って、わたしのおでこを指で小突いたけど、これはこれであり。
「これはこれでありです!」
「もう、文乃ちゃんは逞しいな~」
「転んでもただでは起きませんから。では、2人の所に行きます!」
「いってらっしゃい~」
わたしは空さんに見送られて2人の所へ行くけど……よくよく考えたら
パラソルの下なら日焼け止めを塗る必要もなかったような気がする。
でも、念には念をってやつかな。それとも……空さんにからかわれたのかな?
もし、からかわれたとしても。それはそれでありだから問題なし。
「2人とも~楽しそうだね~」
海では温海と夕がみずをかけあったり、浅い所で海に入ってい遊んでいる。
その姿は恋人がイチャイチャしてるというより、お母さんが子供と遊んでいるように見えるのは何故かな。
言いかえれば、それだけ健全って事だけど。
「もちろん楽しいよ~」
「他にお客さんがいないから、あまり気を使わなくてもいいわ」
「そうだね。でも、建物には何人かいたよね」
「ここはホテルの宿泊客しか来れないから、有名人がお忍びで
あえて何もせずのんびりするために来ているわよ」
「へーそうなんだ」
「だから、他のお客さんの事を見たりしたらだめよ、文乃」
「なんで、わたしに言うかな」
「一番はしゃぐとしたら文乃でしょ」
「う、確かに」
温海が言うとおり、一番はしゃぐのはわたしだよね。
実際に、空さんではしゃいでるし。
でもでも、実際に推しに会う事なんてそうないんだから、そりゃはしゃぎますよ。
しかも、夕の親戚となれば余計に。
とはいえ、空さんだからまだいいかもしれないが、他のお客さんだと迷惑がかかるからね。
ちゃんとそのあたりはわきまえてるよ。
「その点はわきまえてるよ」
「ならいいけど。あと従業員の一部はわたしの事を気づいてるから、気をつけてね」
「あ、やっぱりなんだ」
「上の方だけど、何度か顔を合わせてるわ」
「そう聞くと、温海ってちゃんと社長令嬢なんだ」
「い、一応はね……」
温海は普段は社長令嬢って感じはしないけど、たまに令嬢らしい所があるんだよね。
でも、逆を言えばそれだけ気を使ってないって事だし、それだけ仲がいいって事かな。
「文乃ちゃんも来たし~もう少し深い所へいこうか~」
「そうだね、少し泳ぎたいし」
「ここの海は綺麗だから、ゴーグルとシュノーケルを借りてきたらいいわよ」
「確かに、楽しそう」
「そこにあるカウンターに行けば借りれるわよ」
温海は指さす方にカウンターがあり、色々レンタルが出来るようだ。
なので、借りに行く事にしたけど、温海は浮き輪も借りたのだった。
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