第8話空さんはお酒が好き

大浴場から部屋に戻ったけど、温海の様子が心配だから

わたしも空さんも温海と夕の部屋にいる。


温海は水分を摂ってエアコンが効いた寝室でしばらく横になったら元気になった。


「迷惑かけてごめん……」

「こっちこそごめんね~温海ちゃんが恥ずかしがるのに~無理に一緒に入ったからね~」

「わ、わたしも......文乃や空さんと一緒に入りかったから......」


温海は照れるけど、わたしと空さんと一緒に温泉に入りたかったみたい。


「そうなんだ。でも、温泉だから別に裸を見られても気にしない」

「あたしは気にするの!」

「そうかな?わたしも結構平気な方だけど、夕と空さんは堂々としてたよね」

「なんていうか......夕と空さんだからとしか......」


温海は口ごもるが、要は親戚だからということかな。

夕と空さんは体格は違うけど、声や顔の雰囲気は似てる。

いうならばあと5,6年後の夕が空さんって感じかな。


「親戚だから似てるよね」

「そうなんだけど......」


温海は何か言いたそうだではあるが、なんだろう。


「何か言いたいの?」

「べ、別にないわよ。ただ、空さんと文乃は初対面なのに話があうんだぁって思ったのよ」

「なるほど。わたしは空さんの漫画の大ファンだし、SNSもフォローしてるしから

初めて出会った感じではないんだよね」

「そうなのね」

「あと、夕と一緒になれば空さんは温海の親戚になるよね」


わたしがそういうと、温海が真っ赤になる。


「な、なにいってるのよ、文乃は......」

「でも、彼女の親戚な訳だから、親戚付き合いをしてもいいんじゃないかな」

「そうだとしても、そんな事言ったら変に気を使うでしょ」

「それもそうか。旅行だし、温海のおごりだから変に気をつかわせちゃったかな」

「べ、別にいいわよ、文乃のためなんだから......」


温海は普通に照れるけど、これはこれで可愛い。


「温海ちゃんも元気になったみたいだし、そろそろご飯にしない?」


空さんがご飯にしないかと言うけど、確かにお腹も空いて来た。

時間は19時すぎだけど、食事は招待券に22時までとあるので食事をしに行くことにした。


 食事は食べ放題だから、好きな物を頼める。


「食べ放題だから、好きな物を食べられるよね」

「食べ放題って言っても、限度を守ってよね」

「わかってるよ。メニューは地物の海鮮にお寿司に各種料理か」

「わたしはもちろんお・さ・け。ビールもクラフトビールもあるし

地酒、ワイン、カクテル、焼酎、ウィスキー、ブランデー......これが飲み放題なんて正に天国パラダイス!」

「空お姉ちゃん、お酒を飲むはいいけど~今日は家じゃないからね~」

「わかってるよ、夕ちゃん。限度は守るから~それじゃ、先ずは芋のロックから~」

「食べる物は適当に取ってきますね」

「おねがいね~」


わたしたちは食べる物を選ぶ受けど、まずはシロエビのサラダ、トマトとモッツァレラチーズ、自家製ソーセージ、昼も海鮮丼だったけど空さんがおつまみということで

お刺身の盛り合わせ、ホタルイカの沖漬けも選んだ。

そして、わたしたちはソフトドリンクで空さんと乾杯をする。


「それじゃ乾杯~」

「乾杯!」


乾杯をすると空さんはお酒を飲むけど、大きなサイズのグラスの半分ぐらいを一気に飲んだ。


「う~ん、温泉の後の芋のロックはいいね~」

「え~と、焼酎ってアルコール度数が強いんじゃなかった?」

「みたいだけど~よくわからないな~」

「大体25度よ~これぐらい水よ~」


空さんはそう言うけど......25度は強いんじゃないのかな?


「空さんってお酒大好きだよね?」

「大好きって言うか~空お姉ちゃんが言うとおり~浴びるって感じかな~」

「それって酒豪ってことじゃ」

「うん、とても強いんだよ~」


確かに、お酒には強そう。

お父さんは焼酎を夏は炭酸、冬はお湯で割ってたけど、ロックは氷だけが入ってるけど

ほぼそのままじゃないのかな?


「ロックは氷が入ってますが、ほぼお酒そのままじゃないすか?」

「そうだね~ロックはゆっくり氷を溶かしながら飲むんだよ~」


空さんはこうけど、グラスの残りはほとんどない。

これじゃ、そのまま飲むといっしょじゃないかな?

でも、空さんは気にせず、同じようにロックを追加している。


「空さんはいいとして、わたしたちもいただきましょ」

「そ、そうだね、いただきます」

「いただきます~」


わたしたちも選んだ物を食べる。

トマトとモッツァレラチーズはオリーブオイルベースのバジルソースもかかっていて

ちょっと大人な感じがして美味しい。


 ソーセージは自家製だそうだけど、燻製の香りがよくパリっとした歯ごたえながら

お肉もジューシーで普段食べているソーセージと違う。


「うん、さすがにいいホテルだけあって何でもおいしい」

「料理に関してこだわりがあるわ」

「そうなんだ」

「こんなに美味しい物は~わたしもはじめてだよ~」

「お刺身も新鮮でおいしいよね、マグロも全然ちがうし、地物の魚もおいしいね」

「海が近いし、漁港から直接買っているから鮮度も良く安く提供できるのよ」


温海はまるでというか、実際に経営者の娘だけど、ちゃんと自分達のグループのホテルの事がわかってるんだ。


「温海が経営者って感じだよね」

「感じって言うか、一応は自分の所のホテルのことぐらい知っておかないとだめでしょ」

「そんなんだ」

「知らないよりはいいでしょ」

「確かに」


温海が将来家の会社に入るかはわからないけど、勉強はしてるんだな。


「もう~温海ちゃんも~文乃ちゃんも~せっかくの旅行なんだから~仕事の話は忘れようよ~」


空さんがそう言うけど、確かにそうだね。

あと、空さんはわたしたちが話してうちに、4杯目のお酒を飲んでいた。


「やっぱり~お刺身には日本酒~これは法律に記載すべきだよね~」


そう言って、空さんはマグロのお刺身を食べて、お酒を飲むと


「う~ん、最高だよ~今すぐ天に昇ってもいいよ~」


と言うけど、わたしとしてはせめて今の連載を完結させてから天に昇って欲しいな。


「天に昇るまえに、連載は終えてくださいよ」

「もう~ふみのちゃん、お仕事の話き・ん・し」

「わかっていますが、これはファンとしてですよ~」

「そういわれると~なにもいえないな~」

「それに、ファンサは大事ですから」

「たしかに~ふぁんさ~しないとね~ふみのちゃん~こっちにきて~」


空さんが手招きするので、わたしは空さんの元へ行くと


「ふぁんさだよ~」


と言って、わたしの頬にキスをしたのだった。


「え、あ、あの!?」


わたしも一瞬わけがわかなくなったけど


「1回じゃものたりない?なんなら~お口とお口にする~」


と空さんがいうけど、流石にそれは無理。


「い、いえ、頬で十分ですよ」

「そう、遠慮しなくてもいいわよ~」

「してないです。十分なファンサです、SNSにも書きません、わたしと空さんの秘密です」

「そう、わかったわ~SNSに書かないのは偉いから~ごほうびとしてもう1回~」


 空さんはそう言っ反対の頬にキスをすると、わたしは無言で席に戻った。


「......ねえ、夕、空さんって酔うああなるの?」

「うん、キス魔になるよ~女の子限定だけどね~」

「そ、そうなんだ。もしかして空さんも......百合なの?」

「どうかな~彼氏さんはいた事あるけど~女子高出身だし~女の子同士でもあまりきにしないかも~」

「そ、そうなんだ」


なるほど女子高のノリってやつか。

彼氏もいたって事は、空さんはストレートだけど女子高だったから

さっきみたくちょっとからかったのかな、よくわからないけど。

ちなみに、うちの学校は共学だよ。

それでも百合カップルが多いのは、元は女子高だったかららしいけど

共学になったのはわたしたちが入学する3年前ではあるんだけど。


「ほら~若いんだから~もっと食べて~地元の牛肉もあるし~マス寿司なんていいよね~」


そういって、空さんは食べ物を追加するけど、それと同時にお酒もさらに追加するのだった。

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