第5話 古い町並み その2

階段を上った先にある2階の部屋は、少し天井が低くく1階よりは狭いけど

それでも部屋としては広いかな。


「パンフレットによると、2階は番頭の部屋だったみたいだね」

「そうなんだ」

「番頭となると、ちゃんと部屋を貰えるのね」

「番頭って何となく聞いたことあるけど偉いの?」

「従業員の中では一番上ってところよ」

「そうなんだ」

「主人に変わって店を任せてもらったり、のれん分けと言って独立もできたわ」

「なんか、温海って意外と詳しいね」

「これはちょっとネットで調べた事があるだけよ」


温海はこうは言うけど、少し頬を染めて目線を逸らしてる。


「だとしても、調べるだけ偉いとわたしは感じるな」

「あ、ありがとう……」


温海はそう言って、恥ずかし後ろを向いた。


「温海ちゃんと文乃ちゃんってなかいいよね~」

「そうだよ~あの2人は仲がいいんだよ~」

「夕ちゃんとしては、嫉妬しないの?」

「嫉妬なんてしないよ~温海ちゃんは~わたし一筋だから~」


夕と空さんが話してるのが聞こえるけど、夕の自信はすごいなぁ。

わたしは別に温海を取ったりはしないけど、夕は夕で温海は

夕以外の相手を好きになる事はないって思ってる。

さらに言うと、温海も夕が好きで、他の相手に行く事もいないし

夕と温海は恋人だけど、強い絆で結ばれてると言う事はわたしも何となくわかる。


「もう、夕も恥ずかしい事言わないの」

「だって、本当の事だしね~」

「そ、そうだけど......」


温海は恥ずかしそうにするけど、ちょっと喜んでいるかな。


「ラブラブな2人もいいけど、2階から見る通りもいいわね~」


空さんはそう言いながら、2階の窓から通りを見る。


「格子があるけど、外からも中からも見にくくなってるのかな~」

「そうなんですかね?」

「外から見ないとわからないけど、日陰になるから気づかいかもね~」


空さんが言うとおり、格子があると外からも中から見にくいと思うし

東向きだから、午後になる日陰になるから外からは人がいてもわからないかも。

これだと、お互いのプライバシーが保てるし、中からはお客さんが来る事もわかるかな。


「格子の部分は出窓みたくなってるけど、雪が降る地方だからからかもね~」

「格子と障子しかないですが、雪がはいらないですかね?」

「雨戸があるから大丈夫だよ~。障子の格子側に雨戸用の敷居があるでしょ~」

「確かにありますね」

「夜になったら毎日雨戸を締めてたけど、格子と庇があるから雨や雪はあまりはいらないんじゃないかな」

「そうなんですね」


空さんが言うとおり、庇があって出窓みたくなってるからかなり強い雨や雪でないと

中まではいらないかも。

パンフレットでは江戸時代の造りってあったから、江戸時代はこんな感じだったんだな。


「15時20分をすぎましたから、そろそろいきませんか?」


温海がわたしと空さんに時間を言うので、スマホを確かめると確かにこんな時間だ。

ここから道の駅までの移動時間は、大体25分なのでそろそろ行かないとならない。


「そうだね、そろそろ行かないとね」

「それではいきましょう」


わたしたちは急な階段を降りて靴を履き、建物からでる。

そして、駅へと戻るけど空さんは


「この近くに日本酒の酒蔵があるけど、通り道だからちょっといいかな?」


と言うけど、地図アプリを見ると通り道なので構わないかな。


「いいですよ。空さんもなかなかこちらに来られないと思いますし」

「通りみちだしね~」

「あたしもかまわないです」

「ありがとね~」


空さんはそう言って何故かわたしに抱きつくけど、この辺りが夕の親戚だけど

空さんの胸もやはり夕の親戚だけある。


「そ、空さん、何で抱きつくんですか」

「ごめんね、嬉しくなるとつい~」


空さんはわたしからはなれるけど、嬉しくなると抱きつくのは夕の血筋なんだ。


「別にいですよ、推しに抱かれるなんてそうないですし」


わたしも本音として、推しに抱きつかれて嬉しいよ。


「文乃ちゃんありがとね~。さて時間もないし、行こうか~」


わたしたちは駅へもどりつつ酒蔵へと行くけど、結構大きい酒蔵らしく

昔からある古い建物の物と現在的な建物が通りを挟んで並んでいた。

さらに直売もしてるようだけど、時間がないのでそのまま駅に向かうけど


「せ、せめて写真だけ撮らせてね~」


と言って写真を撮るけど、空さんはさっきの建物と言い街並みや景色を撮影してる。

そして、カメラもスマホでなくちゃんしたカメラを使用しているけど

歩きながら空さんに聞いたら、やはり資料として使うそうとの事だった。


 駅へ戻ると、すぐに電車が来たので良かった。

電車の中も空いていてるから、道の駅の最寄り駅までは座れたけど

朝早く出た事もあり、電車の揺れで眠くなったと思ったら

温海に起こされたので、どうやら寝てしまったらしい。


「なんか……寝てた……」

「次で降りるから起こしたわよ」

「ありがとう……」


まだ完全に目が覚めないけど、電車は降りる駅に停車したので

伸びをしながら電車をおりると、道の駅へと戻って来た。

そして、車に乗りほえてるへと向かうと、ちょうど時間どおりにチェックインをしたのだった。

 

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